DUCK SEIRO
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DUCK SEIRO
家に住む人
2022年、エントリエに念願のリノベーションを依頼。2023年1月に完成。 夫・長男・娘+おいどんという猫と一緒に住んでいます。好きなものは、鴨せいろ。

この家に引っ越してきて、3年目になる。

引っ越してきた翌年の春、ビルトインガレージの一角に、小さな茶色いかたまりがあるのに気がついた。「あ、巣を作ってる!」。ツバメがスッとスマートにガレージへ飛び込んでいくのを見て、嬉しくなった。どうやらネットで調べたところツバメが巣を作る家は、縁起が良いらしい。それ以来、ガレージの天井を見上げるのがちょっとした日課になった。

だけどせっせと働くツバメをよそに、積み上げた泥は中央から何度も崩れ、出産はおろか巣づくりの進捗は遅かった。そのうちツバメは「来る日」もあれば、「来ない日」もでてきた。どこで油を売っているのか。手伝いたいけど、そういうわけにもいかない。

結局、去年は巣は完成しなかった。残されたのは泥に積み上げられた、ほんの少しの泥。掃除してしまうことも考えたけれど、なんだか人の作品を勝手に壊すような気持ちになってしまったのでそのままにしておくことにした。

そして今年。またヤツらが返ってきてくれた!

今度こそしっかりと完成できるように祈った。作業の様子を見ていたけど、一向に進まない。昨年の土台に継ぎ足しながら、泥をせっせと運んでくるんだけどやっぱりダメ。土が下にぽろぽろ落ちて、ガレージの床がなんともいえない汚れ方をしている。期待していたのだけれど、巣は完成しなかった。同じツバメか知らないけれど、どれだけ不器用なんだろう。“縁起”の方も気になる。2年連続未完成の巣というのは、半分だけ縁起がいいとか、そういう中途半端な感じか。

ちょっと話は逸れるけれど、類は友を呼ぶとか、ペットの顔が飼い主に似ているとか、そういう話がある(この間見た白いプードルとおばさんの顔も一緒だった)。

近くいる者同士はどこか似ているところがあるのは真理のように思う。

そんなことを考えていると、このツバメもどこか自分に似ている気がしている。最近のわたしはというと、作りかけの作品、作りかけの資料……作りかけのものがあちこちに散らばっていて、どれもなかなか完成が程遠い。だけど、どれもその先に楽しみが待っている。

今年も、巣は残しておこうと思う。三度目の正直で来年は完成するかもしれない。先延ばしの楽しみがある未完成さは、悪くない。


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鈴木 栄弥
設計営業・ウェブマガジン編集長

鈴木 栄弥 / Suzuki Emi

エイミー

2級建築士、カラーコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、ファイナンシャルプランナー

静岡県富士市出身、1990.7.27生まれ。
日本女子大学 家政学部 住居学科 卒業。

小学生の頃から間取りやミニチュアが好きで、建築模型がつくりたい! と、建築士になることが夢に。
ビルや建物ではなく、人が住む家のことを中心に学びたいと思い、住居学科で学び、
「人が楽しく暮らす住まいをつくりたい」という思いで就職しました。
現在は、エントリエで設計営業 兼 マガジン編集長として所属。気軽に「エイミー」と呼んでください!

わたしの手掛けるお家は、どれも決まったテイストはありません。
住まい手の体温を感じられるテイストに仕上げることが得意です!

●全国ジェルコデザインリフォームコンテスト
2024年 玄関・ホール部門 全国最優秀賞 受賞
2023年 リビングダイニング部門 全国最優秀賞 受賞
2020年 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会⾧賞 受賞
2020年 個室部門 全国優秀賞 受賞
2019年 リビングダイニング部門 全国優秀賞 受賞

●ジェルコ関東甲信越支部リフォームコンテスト
2022年 デザイン部門 キッチン賞 受賞
2021年 デザイン部門 優秀賞 受賞
2020年 デザイン部門 優秀賞 受賞

●RoomClip全国理想の住まいコンテスト
2022年 1000万円以上部門 全国最優秀賞 受賞
2021年 500万円以下部門 特別賞 受賞
2020年 500万円以下部門 全国優秀賞 受賞

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