家族とエントリエ - LIFE STORY

個を大切にした“家族が家族じゃなくなる家”| リノベーション事例 #55

鈴木 栄弥
設計した人
鈴木 栄弥 / Suzuki Emi
設計営業・ウェブマガジン編集長
小学生の頃から間取りやミニチュアが好きで、建築模型がつくりたい! と、 建築士になることが夢に。静岡県富士市出身、1990.7.27生まれ。日本女子大学家政学部住居学科卒業。ビルや建物ではなく、人が住む家のことを中心に学びたいと思い、住居学科で学び、「人が楽しく暮らす住まいをつくりたい」という思いでホームテック株式会社に就職しました。現在は、エントリエ事業部で設計営業 兼 マガジン編集長として所属。お気軽に「エイミー」と呼んでください!私の手掛けるお家は、どれも決まったテイストはありません。住まい手の体温を感じられるテイストに仕上げることが得意です!
村田 あやこ
記事を書いた人
村田 あやこ / Murata Ayako
ライター
お散歩や路上園芸などのテーマを中心に、インタビュー記事やコラムを執筆。著書に『た のしい路上園芸観察』(グラフィック社)、『はみだす緑 黄昏の路上園芸』(雷鳥社)。「散歩の達人」等で連載中。お散歩ユニットSABOTENSとしても活動。

今回登場するご家族は、建売住宅からの住み替えでリノベーションを決めたHさんご家族。「ご家族それぞれの居場所がほしい」という思いから、築36年の一軒家を購入し、リノベーションを決めました。コンセプトは、必要なときには家族が個としての自分を思い出せる“家族が家族じゃなくなる家”。お互いに気配を感じながら思い思いの時間を過ごせる、心地いい住まいが完成しました。

物件について

所在地東京都八王子市
建物種別木造戸建て(築36年)
リノベ面積130㎡
費用2,000万円台

暮らす家族

ご主人、ゆきえさん、長男(小学生)、長女(小学生)

話し手

ご主人、ゆきえさん

担当スタッフ

鈴木 栄弥

リノベーションのきっかけを教えてください。

ゆきえさん:以前は新築で購入した建売住宅に家族4人で暮らしていたんですが、それぞれの居場所が十分に取れていないことで不満が多かったんです。たとえば、キッチンとリビングダイニングが一体化していて、ご飯を食べる場所もテレビを見る場所も同じ。また、私はフリーランスでリモートワークがメインですが、ワークスペースがなく、仕事も同じ場所でした。さらに夫も子どももリビングで過ごす時間が多い。つまり、みんながいつも同じ場所にいたんです(笑)。普段は良いのですが、ひとりになりたいときやケンカしたときも逃げ場がなく、そういう状態が長く続くのはよくないなと思っていました。

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新築戸建てから、中古戸建てを購入されたのですね。

ゆきえさん:先ほどお話しした状況もあり一年以上希望の引越し先を探していたんですが、本腰をいれて探していたわけではなかったんです。でも、あるとき父が買ってくれた冷蔵庫が家のドアから搬入できないと言われ、それまで積もっていた不満が突然爆発して。その日のうちに検索してたどり着いたのが、今の家です(笑)。

リノベーションをお願いするのは、エントリエ一択でした。2018年から一緒にエントリエのWEBマガジンに携わらせてもらい、たくさんのお施主さまにインタビューしてきました。その中で家を作るうえで、担当者との信頼関係の大切さを感じていて。鈴木 栄弥さん(以下、エイミー)のことはよく知っていて、お仕事の面でも信頼していましたし、私のことも理解してくれているのを感じていました。夫も、私が信頼している会社ならということで、エントリエにお願いしました。

中古物件を購入するうえで、なにか心配なことはありましたか?

ゆきえさん:リノベーションありきで検討はしていたものの、やはり築35年の物件を購入するのは勇気が入りました。でも、(エントリエと同じ会社の専門部署である)構造耐震設計室のスタッフさんが現地で一緒に家をみてくれたのもとてもありがたかったです。資料を使って、耐震・断熱性能が国の基準に対してどれくらい上がるかというご説明もいただきました。エイミーさんや直接の担当ではない建築士 北島 一広さんも細かく家を見てくれたおかげで、「大切に住まれていた家だな」ということがよくわかり、覚悟が決まりましたね。階段が一段ずつ高さが違うといった個性的な特徴はありましたが(笑)。

ご主人:わたしは前の家の結露がとにかく嫌だったので、窓を全部取り替えたいということは現地調査で伝えていました。エイミーさんにはそのお話もずっとさせてもらっていて、おかげさまで冬の時期でも結露が全くなく、窓を交換したのは本当によかったです。

リノベーションにあたり、どのようなご要望がありましたか?​​

ゆきえさん:家づくりのテーマは、「家族が家族じゃなくなる家」。家族それぞれの個室をつくるだけでなく、ほどよい距離感を保ちたい。また、「寝る」「食べる」「働く」「くつろぐ」といった空間を用途によって分けていただくよう、ご相談しました。

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家族の気配は感じるけれどひとりにもなれるエイミーさんのご提案はとても素晴らしかったです。例えばキッチンに立っていたらリビングが目に入らない、書斎にいたら声は聞こえるけれど姿は見えないといったように、「視線を区切る」ことを意識してもらいました。リビングの一角に、ダイニングからは死角になる場所に「ヌック」をつくって、子どもたちが本を読んだり遊んだり、こもれる空間も設けられました。

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ご主人:妻も私も、ひとりで過ごせる場所が必要でした。また子どもたちがいずれ思春期になって部屋にこもりたくなったときのために、居場所をつくってあげたいと思いました。

我が家では私が洗濯担当なのですが、前の家では、妻や息子の部屋を経由しないとベランダに出られない間取りだったので、洗濯のたびに気を使わなければいけなくて。気兼ねなく洗濯できるよう、ベランダのすぐ横を自分の部屋にして、部屋の隣をランドリールームにしていただきました。

「夫も洗濯の動線が短くなったことで、洗濯係が楽しそうです。等間隔に干し終わった洗濯物を作品と呼んでいます(笑)。」とゆきえさん

あとは前の家ではお風呂場のすぐ横が洗面所だったんです。それだと誰かがお風呂に入っていると洗面所が使えず不便を感じていたため、洗面所と脱衣所を扉で分けてもらいたいと伝えたと思います。

ご家族それぞれが自分らしく過ごせることを大切にされているんですね。

ゆきえさん:それまで気づかなかったのですが、夫は子どもたちのプライバシーや自発性を大切にしていましたね。たとえば衣類の収納は、子どもたちに自発的に片付けてもらえるよう、それぞれの個室にクローゼットを設けました。エントリエの施工事例で見かけた、家族みんなの衣類一式を収納できるウォークインクローゼットにも憧れていましたが(笑)。

間取りから自分たちで考えることのできるリノベーション。体験してみていかがでしたか?

ゆきえさん:建売住宅にももちろんいいところはあったのですが、リノベーションのようにすべてを自分で決めることができるのは、納得感が違いますよね。思い入れのある家になりました。子どもたちにとってもいい経験になるといいなと思い、子ども部屋の壁紙は自分たちで選んでもらいました。

▷お子さんたちの希望も叶ったそれぞれのお部屋

担当者とのやりとりで、印象的だったことはありますか?

ゆきえさん:実際に住み始めると、エイミーさんや大工さんが、私たちにはわざわざ言わずとも細かな部分までこだわってつくっていただいたことに、後からどんどん気づいて驚きました。

たとえばダイニングとリビングの間にある階段。床材でつくっても良かったのですが、腰掛けることも想定し、通常の階段よりも踏板の奥行を広くして、硬くて丈夫、肌触りがなめらかなタモ材を採用してくれています。角の部分は、斜めに切った板同士を突き付けていて、その斜めのラインを1段目と2段目で揃えるというこだわりも…!

丁寧にヒアリングしていただいた上で、造作の収納や棚も、私たちではイメージできていなかったところまでたくさん汲み取ってくださっていて、感動しました。

「リビングとダイニングが階段で区切られたことで、食べ物のゴミがリビングに落ちるといったこともなくなり、掃除が楽になりました」とゆきえさん。

ワクワクした瞬間を教えてください。

ゆきえさん:プランを見せていただいた瞬間と、工事が始まって家ができていく段階ですね。プランは、イメージ写真を添えた状態で見せていただき、見た瞬間「ここに住みたい!」とわくわくしました。工事でお世話になった大工さんも、すごくいい職人さんで。プロの視点で、住み心地や仕上がりも細かく配慮して進めてくださる方でした。

書斎

縁側のウッドデッキの施工では、子どもにもインパクトドライバーを打たせてくれて、一緒につくっていってくださいました。紙の上で見ていた間取りが実際に形になっていく過程を見に来るのが、毎回楽しくて。完成した家を見たときは「ああ、ここに住めるんだ」と感激しました。信頼できる方々とコミュニケーションしながらつくっていけたことで、自分の家がより好きになれました。

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after

暮らしてみて、いかがですか?

ご主人:気兼ねなく洗濯できるようになりましたね。洗面所と脱衣所も分けたことで、ストレスがなくなり、毎回使うたびによかったなと思います。

ゆきえさん:自分のスペースがちゃんと確保されていることで、心の衛生状態がよくなりました。家族であっても、嫌なことやひとりになりたい日はありますよね。いい距離が保てるようになったことで、夫婦喧嘩もなくなりました。

ご家族に猫さんを迎えての新しいお家。お子さんたちにも変化があったのではないでしょうか?

ゆきえさん:子どもたちも、「遊びはここ」「お菓子を食べるのはここ」と約束を守ってくれるようになりました。ゲームをしながらお菓子を食べて、リモコンが汚れてしまう、みたいなこともなくなりました。わかりやすい環境って大切だなと痛感しましたね。以前は理不尽に怒ってしまっていたんだな、と思いました。

リノベーション工事中に出会った猫も家族に加わったのですが、プラモデル好きの息子は、猫にも気を遣ってくれて、接着剤を使った細かい作業などは自分の部屋で、ちゃんとドアを閉めてやってくれるようになりました。洋服好きの娘は、部屋にクローゼットができて洋服を一覧できるようになってから、コーディネートのバリエーションが増えて楽しそうですね。

STAFF VOICESuzuki Emi

“家”がそれぞれにとっての“とまり木”であれ!

例えば、上記のインタビューでご主人が息子さんの寝ているところを起こさないようにベランダに出ていたという話がありましたが、お子さまからも『寝てる横をお父さんはそっと通って自分を起こさないようにしてくれているんだ』『工作が好きだけど、お母さんが気にすると思うから自分の部屋だけは汚れてもいいような素材がいいな』など。ご夫婦のみならずお子さまからも、相手を思いやる優しさが詰まった日常の話をたくさん伺いました。 家族だからと言っても、気遣いながら生活することは確かに必要なこと。だけれども、気遣うあまりに自分が遠慮したり、時にはぶつかったり。そのせいで一緒に暮らすことがストレスにつながってしまって、家が休まる場所でないのは悲しいなと思います。 その気遣いの負担を無くすことができ、一緒にいてもそれぞれが自分を大切にできる動線や視線をデザインした間取りにすることを、今回は特に意識しました。 構造上、リビングとダイニングの床に段差が生じてしまうことを利用し、スキップフロアのように、用途は区切れるけれどもゆるくつながった空間をつくったり、あえて死角をつくったり。視線は散らばりながらも人の気配は感じられるようになっています。玄関の吹き抜けも生かし土間も広くして、玄関ホールもひとつの居場所になっています。断熱の為に窓を交換していますが、同時に大きさや位置、開き勝手、ガラスの色も工夫し、中と外の両方からの視線を意識し、より居心地のよい空間に生まれ変わりました。 家の特徴を最大限に生かした、Hさん家族みんなが帰ってきたいと思える、安らぎの居場所になっていたら嬉しいです!

鈴木 栄弥
設計営業・ウェブマガジン編集長

鈴木 栄弥 / Suzuki Emi

エイミー

2級建築士、カラーコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、ファイナンシャルプランナー

静岡県富士市出身、1990.7.27生まれ。
日本女子大学 家政学部 住居学科 卒業。

小学生の頃から間取りやミニチュアが好きで、建築模型がつくりたい! と、建築士になることが夢に。
ビルや建物ではなく、人が住む家のことを中心に学びたいと思い、住居学科で学び、
「人が楽しく暮らす住まいをつくりたい」という思いで就職しました。
現在は、エントリエで設計営業 兼 マガジン編集長として所属。お気軽に「エイミー」と呼んでください!

わたしの手掛けるお家は、どれも決まったテイストはありません。
住まい手の体温を感じられるテイストに仕上げることが得意です!

●全国ジェルコデザインリフォームコンテスト
2023年 リビングダイニング部門 全国最優秀賞 受賞
2020年 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会⾧賞 受賞
2020年 個室部門 全国優秀賞 受賞
2019年 リビングダイニング部門 全国優秀賞 受賞

●ジェルコ関東甲信越支部リフォームコンテスト
2022年 デザイン部門 キッチン賞 受賞
2021年 デザイン部門 優秀賞 受賞
2020年 デザイン部門 優秀賞 受賞

●RoomClip全国理想の住まいコンテスト
2022年 1000万円以上部門 全国最優秀賞 受賞
2021年 500万円以下部門 特別賞 受賞
2020年 500万円以下部門 全国優秀賞 受賞

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