「クスノキを彫るたびに、部屋にやさしい香りが広がる」。fukuoとharukoによる夫婦ユニット「木とまめ舎」が生み出すのは、動物たちのユーモラスで心温まる木彫り作品です。
木とまめ舎が生まれたきっかけ

ユニット名はふたりで意見を出し合い、素材である「木」、飼っている小鳥(マメルリハインコ)の略称で「まめ」、工房やアトリエの意味から「舎」を組み合わせました。
癒しとユーモアを感じられる動物をモチーフとした、手作業による木彫りの作品作りを行っています。また、木を彫る際に出る木くずを綿と一緒に詰めたフェルトブローチなども制作し❛使える素材は使いきる❜ことを大切にしています。
木彫りの制作を始めたきっかけは、fukuoが夫婦で同じ趣味を持てたらと思い、さまざまなものを調べる中で、彫刻家・田島享央己さんの木彫り教室に入門したことです。

現在、fukuoは立体のオブジェを中心とした木彫り作品の制作をする傍ら、月に1回開催している木彫り教室(ワークショップ形式)のメイン講師も務めています。
harukoはブローチなどの木彫り小作品やポストカード・作品集の編集制作のほか、木彫り教室のサブ講師として、主に初めての方のサポートにあたっています。
また、別屋号の『ハルサクイロ』(Instagram:@harusac.iro)ではフェルト小物や天然毛刺繍作品を制作しており、個展以外のイベント時にはそちらの活動をメインとしていることが多いです。
クスノキの香りとともに
木彫りの材には、彫刻に適したクスノキを主に使用しています。切り出したり彫ったりするたびに部屋に心地よい香りが広がり、日々の生活の中で癒しのひとときとなっています。
表面に彫り跡を残すのは、手作業による作品の証とするためです。お伝えするとよく驚かれるのですが、一見ツルツルして見える作品でもよく見ると彫り跡が分かる程度の仕上げ彫りを行っており、基本的にヤスリがけはしていません。
仕上げにすり込む蜜蝋は木材の乾燥を防ぎ、自然な艶を出すために使用しています。


木とまめ舎が生み出す、動物たちの魅力
動物を中心としたモチーフを多く制作されているお二人に、その魅力について伺いました。
fukuo: かわいらしい表情や仕草はもちろん、時折見せるちょっと憎らしいような表情や、人間味あふれる部分に特に魅力を感じています。
眠そうなとき、怒っているとき、ご飯を食べているときなど、喜怒哀楽が伝わる瞬間が特に印象的です。我が家のインコたちも、たびたびモチーフになっています。

haruko: 小鳥と暮らし始めてから、鳥界隈の世界の奥深さには驚かされ続けています。犬や猫などよりもグッズが少ないせいか、来られる方の熱量も凄いです。その熱量に引っ張られるように、どんどん魅力と奥深い世界に引き込まれて、もう戻れません(笑)。
そして鳥だけでなく野生動物の生きる姿には、人間が忘れてしまった何かを教えてもらえる気がしています。
リラックスした可愛らしい表情はもちろん、怒っているときも妙に人間臭くてとても魅力的だなと思います。あと、実際に知っている子はやはり思い入れが一段と深くなりますね。亡くなってしまった実家のトイプードルのバッグチャームを作って母にプレゼントしたら、そっくりだと喜んでもらえました。
作品が生む出会いと、これからの挑戦
作家活動をはじめてから、どんな変化がありましたか?
fukuo: 最初は思いつく動物を自由に作ることから始めました。だんだんと展示の機会も増えていき、作品を見た方から「今にも動き出しそう!」「発想が面白い」などの感想や「自分も何か作ってみたいです」との声をいただくうちに、誰かが一歩踏み出すきっかけになればと願うようになりました。
haruko: 作家活動を始めてさまざまなイベントや展示に出させていただく中で、思いがけない出会いがたくさん広がりました。絵でも立体物でも「何かを生み出せる人」にすごく惹かれるので、いろいろな展示を見に行く機会も増え、人生が豊かになったなと感じています。

最後に、今後挑戦してみたいことについて伺いました。
fukuo: 大きな作品の製作や、他の木彫り作家とのコラボレーション、グループ展の開催に挑戦したいと考えています。
haruko: 私は木彫りだけに留まらず、異素材をミックスした表現の幅をもっと深めていきたいです。大阪で一度単独の個展をさせてもらいましたが、いずれ東京でもできたらいいなと考えています。

イベント情報・展示予定
2025/11/22〜12/14
「ならしかの休日 vol13」
場所:奈良蔦屋書店
詳細はこちら:https://www.instagram.com/nara_tsutaya.books/
2026/5
東京都西荻窪で個展予定
取扱店舗
東京都国分寺市
ピッコリアニマーリ
Instagram @piccolianimali
大阪市大正区
ho-ho-ふくろう雑貨
Instagram @hohozakka
| 木彫作家 木とまめ舎 fukuoとharukoによる夫婦ユニット。2羽のマメルリハインコと暮らす日常がインスピレーション源となり、クスノキを使ったユーモラスで心温まる動物の木彫り作品を制作。 @kitomame_sha ☑ WEB https://kitomamesha.shopinfo.jp/ |

