朝、鏡の前で髪を整える時間は、その日の気分や体調があらわれるひとときです。
サクラ・サク、名前の由来は娘さんのお名前から。そして産後の実体験から生まれたヘアターバンは、毎日の暮らしの中で「無理なく心地よく身につけられること」を大切にしてきました。隠したいという気持ちから生まれ、今では気分を整える一枚として。日常にそっと寄り添う存在です。
はじまりは、髪の悩みと向き合った体験
出産後、前髪の生え際の髪がごっそり抜けてしまった時期がありました。外出のたびにどう隠そうか、また自分の髪質の困りごとを考えていた際、「ヘアターバンなら隠せるかもしれない」と思ったのがサクラ・サクのはじまりです。
現在は、東海地方の特産品の生地を使って制作しています。私は新潟県出身で、結婚して名古屋に来るまで、東海地方に特別な縁はありませんでした。でも活動を通して、関西や関東、沖縄や北海道など、全国の方とつながるようになり、「せっかくなら、この土地の特産品を使ったものづくりができないだろうか」と考えるようになり、少しずつ今の制作につながっていきました。
もちろん、どんな生地でもヘアターバンに向いているわけではありません。サンプルを取り寄せたり、実際にお店で触れたりしながら、ひとつずつ確かめていきました。現在使っている「遠州綿紬」や「知多木綿」は、洗濯に強く、使い続けるほどにやわらかくなっていく生地です。日常の中で育っていく、その感じも含めて気に入っています。

人と出会い、土地を知る、イベントという場
普段は家族以外の人と会う機会が少ない分、イベント出店でのお客様とのやりとりは、私にとって特別な時間です。他の出店者さんとの交流も楽しく、感覚の近い人たちからたくさん刺激を受けています。
地方のイベントでは、その土地のお客さまの雰囲気や、どんなものが手に取られるのかを感じ取れるのも面白いところです。観光で訪れるだけでは分からないことを知れるのも、イベント出店の魅力だと思っています。仕事ではありますが、日々の楽しみでもあり、幸せな時間でもあります。

印象的な出会いとして、主人の海外赴任でタイに住んでいた頃の出来事があります。
私が40代を迎えるタイミングで、日本のお客様からInstagramのDMが届きました。「このターバン、黒はありませんか?」というメッセージでした。
当時、私は生成りやギンガムチェックなど、ナチュラルな生地を中心に作っていて、黒無地のターバンは作ったことがありませんでした。コロナ禍で日本に帰れない中、義母に生地を送ってもらい、時間はかかりましたが黒のターバンをお届けしました。

その時、「どうして今まで黒を作ってこなかったんだろう」と、はっとしたんです。
タイに住む同世代の日本人女性たちと話す中で、「もっと実用的で、毎日使える色やデザインが必要なのでは」と考えるようになりました。身近に意見を聞ける環境があったことも、大きな学びでした。
タイでの生活は短いものでしたが、ハンドメイドイベントへの参加や、お客様からの言葉を通して、制作に対する自信につながる大切な時間です。今でも友人としてお付き合いが続いているお客さまの一言がなければ、サクラ・サクの現在のスタイルはなかったと思います。
装いを思い浮かべながら


制作の際は、「この柄は、どんな場面で身につけてほしいか」を思い浮かべながら生地を選びます。生地を組み合わせる時も、「このワンピースに合いそう」「この色のニットに合わせたら素敵かも」と、コーディネートを考えています。その時に思い描いたことは、販売の際にお客様への提案としてお伝えしています。
ヘアターバンを通して伝えたいのは、「何歳でもおしゃれを楽しんでほしい」ということです。
「もうおばあちゃんだから」と言われることがありますが、私はそうは思いません。着てみたい、してみたい、と思う気持ちがあれば、ぜひ挑戦してほしい。そのお手伝いができたら嬉しいです。少しでも「つけてみたい」と思って手に取ってくれた、その気持ちに応えられるよう、ヘアターバンは種類豊富に揃えています。
これからは、もっと日本全国のイベントに出てみたいと思っています。理想はスーツケースひとつで各地を巡ること。そんな夢も描きながら、制作を続けています。
| サクラ・サク ヘアターバンクリエーター兼デザイナー。 名古屋市を拠点に、イベントやマルシェを中心に活動中。 @hand_made_sakura_saku ☑ minne @rienori1102 |

