#18 蓮根編
ハスのまち・蓮根
村田:蓮根駅、はじめて降り立ちました。なんで「蓮根」(はすね)っていう名前なんだろうね。
藤田:「はすね」か! 「れんこん」かと思ってた!
細野:たしかにレンコンだ……(笑)。蓮根は、東京?
村田:板橋区だよね。
藤田:どっちにいこうか。
細野:「志村」っていう地名も気になるね。
藤田:志村けんさんの、志村。
村田:駅周辺は閑静な住宅街。かわいいお店が並んでいるね。
藤田:あのシャッターのイラスト、素敵じゃない? 「緑と文化の香る街」。
村田:横のシャッターには「笑顔と挨拶の街 蓮根」。
村田:シャッターにもハスが描かれていて、敷地の奥にもハスの鉢植え! 「蓮根」にちなんで、まち中にハスがあるのかな。
キョロキョロしながら歩いていくと、気になるものをあれこれ発見します。
村田:ちっちゃいガードレールだ。かわいい。
細野:ちっちゃい!
藤田:顔みたい!
村田:ほんと。顔だ、顔。
細野:……このガードレール、意味あるのかな。
村田:たしかに。何から何を守ってるんだろう……?
藤田:あの歯、かわいい!
村田:歯の周りを見て。「歯は歯は歯は歯は歯は歯は……」
藤田:ちょっと怖い……。
村田:狂気だ。
藤田:見た目は小動物みたいにかわいいのに、中身の主張が強いメンヘラ女みたいだ。
村田:一見ほっこりだけど、近づくと危険。
店名で名前を集めるゲーム、突如開催?
少し移動すると、蓮根駅の高架下へ。周辺はスナックや居酒屋など、飲食店が軒を連ねています。
村田:カネノナルキと焼酎のペットボトル。飲み屋街みたいな雰囲気になってきたね。
細野:このあたり、夜は賑わうのかな。
村田:このスナックは植物でぎっしり! 「健康で明るくてまじめな方大歓迎!」って書いてあるよ。
藤田:暗くて不健康で、すぐ無断欠勤する人がいたのかな。
藤田:わ、かわいい!
村田:「HAVE A NICE DAY」だって。
藤田:いいね。
村田:高架下で、健気に佇んでいるね。
藤田:野良イスだ。
村田:ちっちゃくてかわいい。お店の待合用かな。
村田:鮨処「藤」。
藤田:もし自分のフルネーム(藤田泰実)を集めながら食べ歩きするとしたら、まず「藤」でお寿司を食べて、次に「田」がつくお店にいって……
村田:さっきのスナックは、店名に「泰」が入っていたね。最後に「実」がつく店にいけば完璧。
藤田:「田」がつく店、あるかな。
村田:「スナック田舎娘」……。
細野:「串揚げ田中」……。
村田:いいね!
藤田:あやちゃんも「彩」っていうスナックありそうじゃない?
村田:たしかに。「スナック彩子」があれば一気にいける。
細野:そういえばよっちゃんは、ゴールデン街で働いていたよね。
藤田:そう、チーママやってたよ。
村田:よっちゃんがチーママやっていたのはコロナ前だったから、海外から来たお客さんも多かったよね。
藤田:そうそう、すごい来てたよ。あやちゃんも何回か来てくれたよね。
村田:何度かいったよ。いつも満席だったよね。
藤田:お客さんにお酒のつくり方を聞くこともあったな(笑)。
村田:「カシスソーダってどうやってつくるんですか」とか(笑)。
藤田:「うち、そういうスタイルなんで」って。
暑さで頭が回らない
高架下を抜けると商店街に。蓮根にちなんで「はすねロータス商店街」という名前です。
細野:「れん根や」さんがあるよ。
村田:「蓮根」だけに。
村田:クリーニング屋さんのキャラ、いいね。
藤田:ピースしてる。
細野:ヒゲは日焼けしちゃったのかな。
藤田:それか誰かにむかれちゃったのかな。
村田:むきたくなるヒゲ。
藤田:すごい明るいライオン。
村田:笑顔で「いらっしゃいませ」って。
藤田:日本のベスト3くらいに入る明るさだ。
藤田:考えてみて、気づいたら夏になってるじゃん。
村田:この勢いだと年末もあっという間だ。寒いな、と思ったらもうお正月になってたりして。
藤田:もういま7月の終わりってことは、12月ってことだから。
村田:四捨五入したら12月だ。
細野:四捨五入……。
藤田:9月になったら3月ってことだよ。
猛暑だったこの日。炎天下を歩いていると暑さでいまいち頭も口も回らず、中身のなさすぎる会話を繰り広げるSABOTENSです。夏のお散歩は危険だということがわかりました。
村田:あ、落ちもんだ!
藤田:なんの人形かわからないけど、かわいそう。
村田:これは、落ちもんじゃなくて、置きもん?
藤田:あ、ボウリングの玉だ。
村田:なんでこんなところに。
藤田:誰かが置いているのかも。
細野:引っ越しのときにどうしようもなくて、置いていったのかな?
村田:プロボウラーの夢破れし跡。
藤田:昔はチヤホヤされていたかもしれない。
志村のエミネム
細野:あ、地名が志村になった。
村田:「志村健康福祉センター」だって。
細野:志村健……
村田:「志村けん」だ!
藤田:受付の人に「すみませーん」っていったら、「なんだチミは」って返されたりして。
村田:志村けんの真似ができないと、ここで働けない決まり。
村田:見て、「FUCK THIS LIFE」っていう落書き。誰かが人生を恨んでいるよ。
藤田:ここから映画がはじまる。
村田:こんなのどかなまちで。
藤田:志村のエミネムだ。これ、CDジャケットになりそうじゃない?
村田:後ろが畑っていうギャップもまたいいね。
藤田:見て、野良芝生。
村田:はみだしてる。
藤田:これは……落ちてるってことでいいのかな? 落ちもんにしよう。
しばらく歩いていくと神社を発見。暑さにやられてボーッとしてきたので、お参りしながら木陰で涼んでいくことにしました。
村田:あ、神社だ。いってみよう。
細野:お邪魔しまーす。
村田:涼しい!
藤田:木があるといいね。見て、小さい山があるよ。
村田:富士塚みたいな感じかな。登ってみようか。
藤田:不思議と登った気になるね。
細野:これが修行の代わりなのかな。
藤田:こんなに短い距離だけど。
村田:これでいろんな困難に打ち勝てる。
村田:お参りして木陰で涼んで。力がみなぎったね。
藤田:拝むと力がみなぎる神社。これで3人とも、今日を乗り越えられるでしょう。
匠の路上園芸!
神社の木陰とお参りで体力を回復した一行。再び嗅覚の赴くままに歩いていくと、建物の一角が植物に包まれたおうちに出会いました。
村田:わ、素晴らしいね、このおうちの園芸! 鉢から見事に広がったノウゼンカズラが立派。室外機の上のサボテンもかわいい!
藤田:金魚もいるよ。凝っているね。
村田:すごいね〜!
奥さま:こんにちは。
村田:おくつろぎ中のところ、すみません。見事ですね〜! 奥さまが手入れなさってるんですか?
奥さま:旦那がせっせと育てていますよ。
村田:そうなんですね。この辺をお散歩してたんですが、すごいきれいだったので、思わず立ち止まってしまいました。
奥さま:ありがとうね。
おうちの中から、ご主人も出てきてくださいました。植物の写真を撮らせていただきながら、お話を伺います。
村田:見事な園芸ですね。メダカや金魚もいて。
ご主人:嬉しいこといってくれるね。
村田:ヤツデにマンリョウにノキシノブ……。どれもみずみずしいです。
ご主人:花よりか、緑のほうが好きなの。
村田:自然体で、いいですね。
ご主人:(窓の前の植物を指差しながら)これはフジだよ。お風呂の窓から水をやってるの。
村田:ナイスアイデア!
ご主人:水道から水を運んでくるのは大変だし、水を無駄にしないの。
村田:お花はホームセンターとかで買ってくるんですか?
ご主人:八百屋を何十年もやっていて、野菜と花を扱う市場にいってるから、顔なじみの店で捨てちゃう植物を引き取ってくるの。
村田:そうなんですね!
土管や流木を鉢に仕立てたり、枝や階段からハンギングしていたり。空間を立体的に使った見事な園芸空間。自作のネームプレートも添えられており、どの植物も愛情を持って育てられていることが伝わります。
村田:暑いところで長々と失礼しました。ありがとうございました。
ご主人:こちらこそ、ありがとうございました。
村田:楽しくてつい長話をしてしまった。
細野:素敵だったね。手を加えている方とお話できてよかったね。
村田:育てているお話を聞くと人生を感じるな。素敵な園芸を見られてよかった。大収穫だ。
細野:ご夫婦いい方たちだったね。
藤田:本当に優しかったね。
駄菓子屋で童心に戻る
アジアン料理屋さんでお昼を食べて体力を回復した一行。再び歩きはじめたところ、駄菓子屋さんを発見しました。
村田:あ、駄菓子屋さんがあるよ。
藤田:いってみようか。アイス食べよう。
村田:いいね。
藤田:見て、ゲームがある! やってみよう。
藤田:このイラスト大好き。
村田:なんともいえず、最高だね。
藤田:3人でトライしてみようよ。どれにしようかな。
バレーボールにサッカー。店先に並ぶゲームを大人3人でひとしきり楽しんだ後、お店の中をふと覗くと店内にも、駄菓子やゲーム。小学生時代に戻った気持ちで、駄菓子屋さんを楽しみます。
村田:わ、中にもゲームがある!
藤田:旗揚げゲームもある。
村田:じゃんけんのゲームも懐かしい!
▷じゃんけんゲームを楽しむよっちゃん
藤田:駄菓子って、なんで何歳になっても楽しいんだろう。
村田:ワクワクするよね。
蓮根は、夜に来てみたいまち
駄菓子屋さんで買ったスイカバーを食べながら、今日のお散歩を振り返ります。ずいぶん歩いた気がしましたが、ふと向こうのほうを見るとスタート地点の蓮根駅が目に入ります。
移動距離にするとわずかでした。
藤田:今日は全然歩いてないんじゃない?
細野:あそこに見えるのが蓮根駅だよね。ダメだね夏は。GoProが悲鳴を上げるほどの暑さ。(持っていた動画撮影用カメラに「カメラの温度が高すぎます」という文字が表示されました)
村田:灼熱だったね。時空が歪んでるくらい、全然移動していなかった。
藤田:10キロくらい歩いた気がしたのに。集まってから3人の様子がぽーっとしておかしかったよね。
細野:でもいい運動になった。
細野:蓮根はどうでしたか?
村田:生活味のある、暮らしやすそうなまちだったな。
藤田:まち全体がミニマムな感じ。
細野:ミニマムに見えたのは、あまり歩いていないから……? 静かだし住みやすそう。涼しいときに来たら、また見どころが変わりそうだね。
村田:商店街もいい感じだったもんね。いい出会いもいろいろあったな。お店の方も、園芸家のお父さんも優しくて。
藤田:夜と昼とで、また雰囲気がかわりそうだね。
村田:夜に飲むのが楽しそうな店がいろいろあったな。レトロで味のある建物がいろいろあったね。それも楽しめました。夜来てみたいまち。
本日の一コマ漫画
心に残る蓮根の風景
お知らせ お散歩動画公開中!
「SABOTENSちゃんねる」では、過去の「まちのミカタ」の取材中に撮影した動画を少しずつアップしています。ぜひお暇な時にでもご覧ください!
●取材/SABOTENS
●執筆/村田 あやこ
●編集・お散歩見守り役/細野 由季恵