

SABOTENS まちのミカタ、今回は都心・新宿にやってまいりました。SABOTENS・村田あやこの新刊『緑をみる人』(雷鳥社)の発売が10月6日に発売されることをを祝し、出来立てほやほやの本と一緒に新宿をお散歩。大都会・新宿のスキマではみ出す緑(※)たちを観察しながら、商売繁盛のご利益のある花園神社をお参りして、本がたくさんの方の手に届くよう祈願してまいりました。
はみ出す緑……SABOTENS・村田あやこが長年記録し続けてきた、本来植物が生えることを想定されていない場所に、自然の力で芽吹き成長する緑のこと。書籍出版のきっかけにもなった。
『緑をみる人』を手に新宿へ!

細野:今日は、あやちゃんの新しい本『緑をみる人』の目線で、新宿を歩きたいと思います!
藤田:出版おめでとう!
村田:ありがとう〜!嬉しい(涙)。ようやく二人にお渡しできるよ。


細野:『緑をみる人』は、どんな本ですか?
村田:「街のスキマの緑」をテーマにした本だよ。私自身、スキマから生えた草が気になって、ずっと写真を撮ってはInstagramに投稿してたんだけど、Instagram上で私と同じように、タイムラインが街角の草だらけのアカウントをいくつも発見して。この写真の向こうに、どういう方たちがいるのか気になって、2年にわたってインタビューを重ねて、お話と写真を載せました!
藤田:集大成だね!素晴らしい。
村田:住んでいる場所も、普段食べているものも、喋っている言葉も、年齢も違うのに、みんな不思議と街のはじっこやスキマばっかり見ているのはなんでだろうと思って。ニューヨークにもスキマばっかり見てる人がいるって知ると、遠く離れた場所でも一気に親近感が湧いちゃうよね。
いざお話を聞いてみると、みなさんすごく良い方々ばかりだった!

細野:今日も新宿で、都会の緑を探そう。
村田:探そう、探そう!朝の歌舞伎町は新鮮だな……あ、あそこに早速はみだしものを発見!

藤田:すごいね!ただ新宿だと、ちょっといろんなもんを吸い込んでいそうだから、触るのは危険だけど…

細野:インタビューを通して新たに得た視点はある?
村田:たくさんあるけど、お仕事上の経験が、スキマの緑への眼差しにつながっている方のお話は印象的だったな!例えば壁の水抜き穴の中の風景を撮っている方にお話を聞いたら、前は食品メーカーの研究者として、お菓子のサクサク感を出すためにスキマをいかにコントロールするか日々考えていて、街なかのスキマにも目が行くようになったっておっしゃってたよ。そんなきっかけがあるんだ!って。
藤田:面白い!
村田:他にも、大学でプロダクトデザインを教える先生は、街なかのスキマを見て、「こういう分割の仕方があるのか」ってインスパイアを受けることがあるって。日々、機械工学や人間工学に向き合ってるからこその視点で、新鮮だったよ!
細野:面白い!取材、楽しそうだね。
村田:すごい楽しかった!自分とは違った見方に出会えたり、反対に国を超えて共通点もあったりして。


細野:ここは、植えられている植物の下で、勝手に生えた植物がはみ出てる。
藤田:野性味あるね。あ、この下にもいるね。

村田:タバコにまみれて生えている。
藤田:さすが新宿。
細野:こんなところでも生きられるのに、いざ育てようとすると枯れちゃうから、不思議。
村田:ほんとほんと。
藤田:あ、なんか落ちてる。

村田:「魔芋爽」。これなに?
細野:これ、美味しいんだよ。
藤田:日本なのに日本じゃないものが落ちてる。
村田:新宿っぽい。
カラスが鳴くまち・歌舞伎町
『緑をみる人』には、英訳版も巻末に収録されています。海外の方にもぜひ読んでほしい一冊です。そこで、「歌舞伎町もきっと有名なまちだろう」と考えた一同は、“緑をみる人”の目線で歌舞伎町を歩いてみることにしました。

細野:歌舞伎町にやってきました。
藤田:やっぱり午前中は人が少ないね。
村田:夜だとこの辺の人通り、すごいもんね。
藤田:新宿って、でっかいゴジラがいたり、お城みたいな建物があったり、海外の方から見るとわけわからないまちだろうね。
村田:「カオスなまち・TOKYO」って感じだよね。


村田:プランターの中に、勝手に生えてるっぽいシダが混ざってるね。
藤田:下からもはみ出してるね。植え込みから下にこぼれたのかな。

村田:あ、こっちはすごいとこから木が生えてるよ!
細野:生えてるね〜。
カラス:カーカーカーカー
村田:新宿は、カラスが元気なまちでもある。……わー、見て!案内所の看板の上でゴーヤを育ててる!新宿産のゴーヤだ。

藤田:すごいなあ。
村田:ザ・歌舞伎町だ。普段のまちあるきではなかなか見られない光景。いいねえ。
カラス:カーカーカーカー
藤田:カラスがまた鳴いてる。
村田:歌舞伎町のカラスは声がでかいな。

村田:TOHOシネマズのあたりにやってきました。
藤田:植え込みのへりに猫チク(猫よけのチクチクしたシート)が敷いてある。
村田:きっと歌舞伎町だと、人よけに使われてるんだろうね。
藤田:あ、野良イスだ。歌舞伎町っぽいデザインのイスだね。

村田:この付近のホストクラブとかキャバクラから出てきたのかな。植物にイスに。いろんなもんがはみ出してるなあ。

村田:うわ、こっちにはビルのスキマからでっかい木!
藤田:勝手に生えてきた木かなあ。
村田:きっとそうだね。すごい。あの空いた広告スペースに『緑をみる人』の広告を出したい。
新宿らしい風景に続々と出会う
細野:見て、前を歩く警察の後ろに、手錠デザインのベルトをした人が歩いてるよ……!

村田:とんでもないリンクコーデだ。……うわ、こっちにはでっかいコーンがある。

細野:これくらい主張しないと、酔っぱらいには見えないのかも。
藤田:確かに。

村田:こっちにはコーン群衆地帯。どうしても守りたいものがあるんだね。
藤田:何を守りたいんだろう。
細野:駐輪禁止……
村田:駐輪をどうしても防ぎたいんだ。

細野:うわ、ネズミだ!
村田:どこどこ?……いるいる!
藤田:でっかい!
村田:後頭部は猫みたいでかわいい。
藤田:本当だね。肌艶が良さそう。
村田:いいもん食べてそうだね。新宿の高級食材で栄養たんまり取ってるに違いない。

村田:酒とはみだす緑のセット、いいなあ。
藤田:いいねえ。
大歓楽街の雰囲気に疲れていたところ、新宿遊歩道公園(新宿区歌舞伎町1丁目1)が見えてきました。

細野:安心するねえ、緑があると。
村田:清涼感のある小道だ。
藤田:だんだんゴールデン街に近づいてきた。
細野:ゴールデン街は昔ながらの路地の雰囲気だね。すごい。お店、間違っちゃいそうなくらい密集してる。
村田:ほんと。一度外に出たら戻ってこれなくなっちゃいそう。


細野:いいスポット発見!
藤田:盆栽が好きな人が置いたんだろうね。壁の落書きと、その下からはみだす緑もいい雰囲気だよ。
村田:よっちゃんは前、ゴールデン街のお店で時々カウンターに立っていたよね。
藤田:そう。2年くらい働いてたよ。
細野:そうなんだ!
村田:よくやってたね。どんなお客さんが来てたの?
藤田:常連さんも一見さんも、来る人来る人、珍獣揃いだったよ。
村田:珍獣……(笑)
藤田:新宿三丁目にある中華料理屋さんでも、昔アルバイトしてたよ。ヤクザがいきなり来てケンカし始めて警察を呼んだこともあったな。
村田:ひー!
細野:そういえば、あやちゃんに始めて取材したのも新宿だったね。
村田:そうだった!
藤田:あのとき、あやちゃんまだ顔出ししてなくて、目を隠してたよね。

村田:会社勤めしていたのもあって、顔を隠してたよ。風俗の案内板みたいだったね。
藤田:あの時期、あやちゃん顔出しするかしないかの瀬戸際で、おもしろかったよね。
村田:中途半端に出したり出さなかったりして、揺らいでたよ。
花園神社でヒット祈願!

村田:花園神社に着きました〜。
藤田:わーい。
細野:本が売れるようにお祈りしよう。
村田:ありがとう……ふたりとも優しい。

細野:無事に完成してよかったねえ。
村田:いやー、ようやくだよ。
藤田:よかったねえ。おめでとう。努力の結晶だね。
村田:去年の今頃はどうなることかと思ったけど。
藤田:素晴らしい一冊だよ。本が爆売れしますように。手に収まるちょうどいいサイズ感だね。
村田:ありがとう。カバーはエンボス加工で少し質感があって、見返しは芝が入った紙を使ってるよ。
藤田:とっても素敵。いいねえ。わくわくするね。
村田:形になると感慨深いね。
藤田:おみくじがあるよ。
村田:せっかくだから引いていこうかな。……わー大吉だ!

細野:最高じゃん!
藤田:おめでとう!あ、私も大吉だ!
村田:すごいすごい!……待って、「真の自由を得たければ、心中の奴隷を取り除くことから始めよ」って書いてある。奴隷……
藤田:あやちゃんの心の中には奴隷がいるのかな。
藤田:私は「金難あり」だって。悲しい。でも確かに最近、お金がすごい出ていくな。
細野:私も今年は、お金が出まくるんだよなあ。
村田:花園神社でいいパワーをいただいたから、きっと仕事によって出た分が戻ってくるよ!
藤田:いやあ、頑張ろう!
帰路に着こうとしたその瞬間、まさに新宿らしいビルの隙間から「はみだす緑」を発見。

細野:あ、見て。かわいい!
藤田:かわいい!壁からちょっと出てる。
村田:最後にいいやつに出会えてよかった!エントリエであたらしい暮らしを探す人も、こんなふうにおうちの近くのはみだす緑を探したら、きっと日々の暮らしが楽しくなることでしょう。
藤田:まとめたね!
本日の一コマ漫画

こころに残る新宿の風景


書籍情報 『緑をみる人』(雷鳥社)

- 著者: 村田あやこ
- 発売日: 2025年10月6日
- ページ数: 384ページ
- サイズ: 17.8 x 11.2 x 2.3 cm
アスファルトのひび割れ、マンホール蓋のふち、側溝の奥底、室外機の下……。整備された都市空間の隙間で、人知れず芽吹き繁茂する植物たち。「路上園芸鑑賞家」として活動を続ける著者が、世界13カ国18人の”隙間植物愛好家”を約2年にわたって取材。日本、フランス、トルコ、メキシコ、韓国、台湾、イタリア、スウェーデン、ブラジル、シンガポール、アメリカ、オランダ、ニュージーランドの緑をみる人たち19人のストーリーと、総数800枚もの写真を通して見えてくる、日常にひそむ地球の「野生」を描いた一冊です。
村田あやこ『緑をみる人』発売記念イベント情報
①第2弾!路上園芸 VS ガードパイプ 抱腹絶倒トークライブ
『まちかどガードパイプ図鑑』(創元社)著者・岡元大さんをゲストにお迎えして、『緑をみる人』の中に登場する日本や世界の路上風景について語らいます。会場にて一足先に先行発売いたします。

日時:2025年10月2日(木)19:00 START
出演:村田あやこ(路上園芸鑑賞家)、岡元大(ガードパイプ愛好家)
会場:農文協・農業書センター
東京都千代田区神田神保町3-1-6 6建ビル2F
TEL: 03-6261-4760
アクセス: 東京メトロ神保町駅 A1出口から徒歩1分
入場:無料
申込:農文協・農業書センターまで
TEL:03-6261-4760
Mail:book@mail.rural.net.or.jp
②『緑をみる人』刊行記念トークイベント 「世界のすきま植物について語ろう」
『やけに植物に詳しい僕の街のスキマ植物図鑑』(大和書房)を始め、街の植物を題材にした著書を多数出される樹木医・瀬尾一樹さんに、『緑をみる人』を題材に、都市の植物の生存戦略についてお話を伺います。植物目線でいつもの街の風景を見直してみたいという方、ぜひお待ちしています。

日時: 2025年10月11日(土)
開場 13:00 / 開演 14:00 / 終了 16:00頃
出演:村田あやこ(『緑をみる人』著者)、瀬尾一樹(特別ゲスト)
会場:本屋イトマイ(東京・ときわ台)
参加費:1,800円(当日現金またはクレジットカード)
定員:約15席
予約方法:本屋イトマイ公式LINEより受付中
LINE ID: 642thiin
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2、お名前
3、お電話番号
注意事項:
- ドリンク持ち込み可(店内メニューとの併用もOK)
- 座席は受付順(補助席・ソファ席の可能性あり)
- アーカイブ配信予定(時期未定/中止の可能性あり)
どちらのイベントでも、会場にて新刊『緑をみる人』(雷鳥社)を販売いたします。
街のすきまで逞しく生きる植物たちへの愛に満ちた時間を、ぜひご一緒にお楽しみください。
▷その他、刊行記念イベント(随時更新)