村田 あやこ
あやちゃん/記事を書いた人
村田 あやこ / Murata Ayako
ライター
お散歩や路上園芸などのテーマを中心に、インタビュー記事やコラムを執筆。著書に『た のしい路上園芸観察』(グラフィック社)、『はみだす緑 黄昏の路上園芸』(雷鳥社)。「散歩の達人」等で連載中。お散歩ユニットSABOTENSとしても活動。
藤田 泰実
よっちゃん/イラストを描いた人
藤田 泰実 / Fujita Yoshimi
落ちもん写真収集家
グラフィックデザイナー/イラストレーター/落ちもん写真収集家。茨城生まれ、埼玉育 育ち。多摩美術大学造形表現学部卒。フリーランスのグラフィックデザイナー・イラストレーターとして活躍しながら、路上に落ちているものから人間の背景や余韻、人間味を感じ取り、そこから妄想してタイトルをつけストーリーを作り出す「落ちもん写真収集家」として活動。落とし物は人間ドラマという発想が注目され、テレビやラジオなどにも出演。
細野 由季恵
ゆきえちゃん/撮影・編集した人
細野 由季恵 / Hosono Yukie
WEB編集者、ディレクター
札幌出身、東京在住。フリーランスのWEBエディター/ディレクター。エントリエでは 副編集長としてWEBマガジンをお手伝い中。好きなものは鴨せいろ。「おいどん」という猫を飼っている。

SABOTENSのお散歩。2019年12月にスタートした『まちのミカタ』は、なんと今回で50回目となりました! まだ年明けの空気が漂う1月初旬。SABOTENSよっちゃんこと、藤田泰実さんの地元・大宮へやってきました。2026年最初のお散歩ということで、武蔵一宮 氷川神社(埼玉県さいたま市大宮区高鼻町)をお参りしたあと、書き初めで今年の目標をしたためました。

よっちゃんの地元・大宮へ

村田今日は大宮駅へやってきました!

藤田:ようこそ大宮へ!

細野:立派な駅だね〜。

造形家・伊藤隆道氏による「行きかう・線(1985年)」の写真
後日調べたところ、造形家・伊藤隆道氏による「行きかう・線(1985年)」という作品名でした

村田:コンコースに、ねじねじした大きなオブジェがあるね。

藤田:あれは「まめの木」っていう名前で、大宮の人たちの定番の待ち合わせスポットなんだよ。

村田:「ジャックとまめの木」に出てくるまめの木!上に登りたくなる形だな。

道路の向こうに見えるのは、大門町にある「いづみや」本店と第二支店

村田:駅前にはいい雰囲気の大衆酒場が並ぶね。昼間なのにもう開いてる……!?

藤田:近くに大宮競輪場があるから、競輪帰りの人たちがここで一杯やるんだよ。

村田:「本店」のお隣に「第二支店」まで!店内も結構賑わってるね。

手書きのメニューがずらりと並ぶ。値段もお安い。

村田:うわあ、メニューにもそそられるな。

藤田:どれも安いよね。

大宮駅正面の写真

村田:大宮は大きいまちだねえ。

藤田:駅前の高島屋は、開店して50年以上経ってるよ。高島屋のモザイクアート、素敵なんだよ。

村田:見たい見たい!

大宮高島屋のモザイク壁画とSABOTENS
大宮高島屋のモザイク壁画は、1960年代アメリカのポップアートを代表する画家ピーター・マックスの作品です

村田:おおーこれはかっこいい!富士山だ。

藤田:新年の散歩にもってこいだね。

村田:縁起がいい。

商店街の様子

村田:アーケードの商店街も賑わってるね。

謎のコンクリートの塊

村田:道端にも謎のコンクリート山がある。

藤田:なんだこれは。時々通ってるけど、全然気づかなかった。

村田:「大阪万博脈々様」「三角コーン」「あつすぎ!!ネコ」……。よく見るとところどころに謎めいたメッセージが。

藤田:大宮の闇を感じるね……。

まるで小旅行気分。氷川神社を参拝

しばらく歩いていくと、広々した道が現れました。

氷川神社の参道

藤田:このあたりは、氷川神社の参道。さいたま新都心駅から、参道が続いてるんだよ。

村田:そうなんだ!

細野:便利だねえ。綺麗な道!

氷川神社の参道に続く鳥居

約2キロもの長さがある氷川参道。参道沿いには20余種の樹木が、600本以上も植えられているそうです。

村田:あ、鳥居が見えてきた。平日だけど賑わってるね。さすが氷川神社の総本社(*関東地方を中心に約280社あるといわれる氷川神社の中で、ここが中心的存在)。

藤田:参道沿いにはお団子屋さんとかハンバーガー屋さんとか、いろんなお店があるよ。

細野:いいねえ。年始だから、まだお正月感があるね。

藤田:お正月はこの参道が屋台で埋め尽くされるんだよ。

細野:楽しいね!

藤田:参道の脇の木は、結構大木なんだよ。

村田:ゆったりした雰囲気だね。こんな大きい神社が駅のすぐ近くにあるなんて、いいねえ。

藤田:氷川神社には初詣から七五三まで、小さな時からお世話になっていたんだけど、実は昔は、なんだか怖いイメージのある場所で。

村田:へー、なんでだろう。

藤田:近所に住むおじちゃんに「よしみちゃん、氷川の神様は厳しいんだぞ」って口を酸っぱく言われたのもあって、なんだか見透かされている感じがしたんだよね。

村田:よくないことをすると怒られるぞって。

藤田:そうそう。努力していないと受験も叶わないし、厳しい目で見てるんだぞって。

村田:ひえー!それは気が引き締まるね。

藤田:大人になってようやく好きになったんだよ。今はよく朝のお散歩がてらお参りにくるよ。

境内をあるくSABOTENS

村田:向こうに池もある。風光明媚な場所だね。

細野:まちの小さな神社に来るくらいの気持ちでいたから、思いがけず旅行気分で、楽しい!

村田:ほんと、広々した公園みたいだね。

藤田:私がパワースポットだと思っている場所に案内してもいい?

細野村田:行こう、行こう!

静寂を感じる池

藤田:ここ。向こうに見える池がすごく静かで、好きなんだよ。

細野:不思議な場所だ。

村田:駅前の賑やかな雰囲気が嘘みたい。

藤田:誰もいないときは、池のほとりに座ってボーっとするのも気持ちいいよ。

村田:静かな気持ちになれそうだね。

後から調べてみたところ、ここ「蛇の池」は、氷川神社発祥の地ともされている自然湧水。古くからパワースポットとして知られているそうです。

花びらが散った後

細野:この花びら、どこからか流れてきたのかな。

藤田:綺麗だねえ。

賑わう境内

村田:雲一つない晴天で、いい日だ。

藤田:今日も晴れたね。

よっちゃんの聖地巡礼

氷川神社のお参りを済ませた後は、神社周辺をお散歩しつつ、よっちゃんの家へ向かいました。

藤田:あそこに見えるのが、私が通っていた幼稚園。

村田:そうなんだ!

藤田:向こうは、通っていた小学校。

村田:よっちゃんゆかりの地を聖地巡礼だ。どんな子どもだったんだろう。何かクラブ活動はしていた?

藤田:手話クラブに入ってたな。

村田:そんなクラブあったんだね!

藤田:あとは4年生の頃にムチムチしてきて、一番仲良しの子が陸上クラブに入るっていうから、嫌だったけど入ったことがあったよ。

村田:文武両道だ!ダイエットのために入ったの?

藤田:そう。長距離だったからすごくいやだったな。

村田:小学生の時点で、太ったから運動しなきゃっていう思考が偉いね。

藤田:あとは合唱部にも入ってた。

村田:すごいね!何個も掛け持ちしてたんだ。

藤田:小6の時に歌った合唱曲に、「みっちゃんを死なせたのはぼくだ」っていう歌詞があって。

当時の合唱部の様子を藤田さんが共有してくれました

村田:怖い……どんな歌だったの?

藤田:みっちゃんっていう友だちを「あの道を通って公園に行こう」って誘ったら、道中で交通事故にあって亡くなっちゃって、それを後悔する歌なの。サビが「みっちゃんを死なせたのは、ぼくだ〜!」って。

村田:合唱曲にしては重い歌詞だね。最後、なにか救いはあるのかな。「夢にみっっちゃんが出てきて『気にしないで』って言ってくれた」みたいな……。

藤田:「あの日から僕の心の中にみっちゃんがいる」みたいな感じで終わるんだよね。多分YouTubeにあるんじゃないかな。

村田:調べてみよう。

※調べたところ、「あの日から」(三善晃作詩/作曲)という曲だそう。最後は、みっちゃんに変わって僕が強く生きていくという歌詞のようです。

村田:あ、競輪場がある。

藤田:通っていた中学校がちょうど競輪場の隣にあって。ちょうど下校時間に、競輪でボコボコに負けたおじさんたちに絡まれて大変だったよ。体操着のゼッケンの名前を見て「おい、藤田!」って叫んできたりして。

こちらも当時の藤田さん

村田:怖い!

藤田:ゼッケンを手で隠しながら帰ってたよ。

その後も、“具合が悪そうな医者がいた病院”など、気になるスポットを紹介してもらいながら歩いていたら、よっちゃんの家にたどり着きました。

三者三様の書き初め

新年らしいことをしようということで、今日のメインイベントは書き初め! 書を嗜んでいたよっちゃんのお母さまに道具一式をお借りして、2026年の抱負を筆でしたためることにしました。

細野の書き初め

ゆきえちゃんがまずしたためたのは、「布オムツ開眼」という言葉。布オムツ!?

細野:自分の中で一番大事にしたい人格が、布おむつ時代だったなーって。去年友だちと、恥ずかしながら自分らしさの話をして(笑)。年を取るごとに、どんどん丸く穏やかになっていくじゃん。私は10代の頃、ビジュアル系のバンドが好きだったんだけど、周りからバカにされることがあって。

村田:確かに昔は、自分が触れてるコンテンツでクラスターが分かれるみたいなの、あったよなあ。

細野:だから好きなものを隠したり、いわれたことを許しちゃってたんだけど、「いや。許しちゃいけない。むしろ、好きなものに対する熱いエネルギーを持っていた気持ちを思い出して、尖ったままでいなきゃ!」って思いを新たにして(笑)。

村田:確かに。そういうのって、どこでストッパーがかかっちゃうんだろうねえ。

細野:「なんでもOK!みんないいよね!」みたいに丸くなっていく良さもあるけど、今ここでもう一度、トゲトゲを取り戻そうかなって。

藤田:本当にそうだね。

村田:それが「布オムツ」に込められている……!

村田の書き初め

村田:私は「珍人生を突き進め」にしよう。

藤田:珍人生、いいじゃん!

村田:無理して社会性を身につけようとしても、悲しいかな脳内は小中学生の頃とあまり変わってなくて。周りの同世代の人たちは社会にすんなり順応して穏やかな暮らしを送っているように見えるのに、なんで自分はまた舞い戻ってきちゃったんだろうっていう絶望感。

藤田:類は友を呼ぶってことなのか、私の周りはそういう友だちばっかり。みんなも好きにやろうとしてるし、自分も「好きにやっていいんだ」って。いい環境になってきたなと思うよ。

村田:不思議と、私も「もう、こうするしかないんだ」と開き直ったら、年々生きやすくなってきた気がするよ。こうなったら突き進みます、我が珍人生。

藤田の書き初め

藤田:私は、自分の大事にしたいものをどんどん解放していくという目標を込めて、「爆発的解放」にしよう。

村田:いい言葉だね。

藤田:仕事に忙殺されすぎず、もっとメンタルと体調を大事にして、自分発信の仕事を増やしていきたいな。40代半ばに差し掛かって、いよいよ軌道修正の時が来たのかもしれない。

村田:整理して隙間ができたら、きっとそこに新たなものが入ってくるよ。ターニングポイントだね。

細野:時間は有限だからね。私も限られた時間は、自分や好きな人のために使いたいな。

それぞれの書き初め

三者三様の言葉が出揃いました。

藤田:そういえばお正月に夫婦で今年の目標を話していた時、「自分に宿す人物を3人決めよう」っていう話になって。

村田:自分に宿す人物!

藤田:例えばちょっと迷ったりしたときに、その人を想像して指針にするの。

細野:いいねえ!

藤田:藤田:私はレディー・ガガに、エリザベス女王、悟空。

村田:パンチの効いた3人だ!

藤田:レディー・ガガは肉の服を着ちゃうくらいぶっ飛んでるけど、筋が通ってる。エリザベス女王も、激動の時代にリーダーシップを取ってきた。悟空は強い敵と戦うときに「オラ、ワクワクすっぞ!」って言う。こんな生き方、憧れるな〜と思って。

細野:素敵です!

藤田:荒波を乗り越えるため、戦いの戦士たちを選んでしまった。二人は、誰がいい?

細野:決めた!私はX JapanのHIDEと、Dragon Ashの馬場育三さんと、MEGUMI。

藤田:いいねえ!

村田:MEGUMIさん、出役だけでなく裏方としても年々いい仕事を重ねていっていてかっこいいよね。

藤田:どんどん綺麗になってるしね。

村田:私は、料理の所作がきれいな俳優・小林聡美さん、芸人としてのスキルが高いのに謙虚な阿佐ヶ谷姉妹・江里子さん、いい言葉をたくさん発するドラァグクイーンの肉乃小路ニクヨさん!

藤田:みんな最高!それぞれの3人を宿していこう。

さあ、今年はどんなまちや人に出会えるのでしょう。今年もどうぞ、よろしくお願いします!

本日の一コマ漫画

イラスト/藤田 泰実(落ちもん写真収集家)

こころに残る大宮の風景

村田のミカタ:すぐそばの鉢植えから舗装のスキマに旅立ったサボテン。今にも動き出しそう。サボテンを見習って、今年もはみ出しまくっていきます!
藤田のミカタ:「店前に愛が溢れる飼い猫写真」

書籍情報 『緑をみる人』(雷鳥社)

SABOTENSまちのミカタ_村田あやこ_書籍情報 『緑をみる人』(雷鳥社)_エントリエマガジン
  • 著者: 村田あやこ
  • 発売日: 2025年10月6日
  • ページ数: 384ページ
  • サイズ: 17.8 x 11.2 x 2.3 cm

アスファルトのひび割れ、マンホール蓋のふち、側溝の奥底、室外機の下……。整備された都市空間の隙間で、人知れず芽吹き繁茂する植物たち。「路上園芸鑑賞家」として活動を続ける著者が、世界13カ国18人の”隙間植物愛好家”を約2年にわたって取材。日本、フランス、トルコ、メキシコ、韓国、台湾、イタリア、スウェーデン、ブラジル、シンガポール、アメリカ、オランダ、ニュージーランドの緑をみる人たち19人のストーリーと、総数800枚もの写真を通して見えてくる、日常にひそむ地球の「野生」を描いた一冊です。