エイミーことエントリエ編集長の鈴木 栄弥が見つけた気になる人を訪ねて、自分らしい暮らし方や生き方のヒントをいただいてしまおうというこのシリーズ。第5回目のゲストは、ソープカービング作品の制作・販売をするchaikha(チャイカ)の作家、武田 綾子さんです。

大人になってからでも、
好きなことは学べる

武田 綾子(たけだ あやこ)さん。タイの伝統工芸「タイカービング*」の技術を学ぶため、会社員を辞めてタイへ短期留学。現在も定期的に新しいデザインや技術を学ぶためタイへ足を運んでいる。2016年からは、オリジナルのソープカービング作品を制作・販売。「chaikha(チャイカ)」というブランドを立ち上げ、イベント出店やワークショップの開催、企業への作品提供など積極的に活動を広げている。(*カービング・・・彫刻のこと)

 

会社を転々とする生活を捨て、
単身カービング留学へ

カービング作家になる前は、どのようなお仕事をされていたのですか?

武田さん:美術大学を卒業してからアルバイトをしたり、デザイナーをやったり、IT系の会社で事務職で働いたりもしたのですが、どれも数年で転職することを繰り返していて……。

このままではいつまでも転職を繰り返すだけだなと思っていた時、カービングに出会いました。

どういうきっかけだったのでしょうか?

武田さん:もともと、ものをつくることは小さい頃から好きだったんです。そして20代の頃に初めての海外旅行で行ったタイにドハマリして……。あるとき、それを知っていた会社員時代の知人が、現地でカービングなどのものづくりの技術を学ぶことができる短期留学があることを教えてくれたんです。

その時まで、カービングのことは知りませんでしたが、「大人になってからも勉強をしに留学することもできるんだな」って思いました。ただ、そのときはタイミングではなくて、自分が行くことは考えませんでした。

それから数年経って、やっぱり気になって調べるうちに「タイ」と「ものづくり」、両方の好きなことを叶えてくれるのはやっぱりカービングだ!と思って。なんとなく頭の片隅にあった夢を実現させてみようと思い、1ヶ月間タイのバンコクへ行くことにしました。

 

行動力がすごいですよね。

武田さん: 周りからはやったことないのによく行こうと思ったね、と驚かれることもありました(笑)。でもなぜか、全然自分に合わなかったらどうしようとか、ネガティブな気持ちはありませんでした。

 

カービングのどのようなところが魅力でしたか?

武田さん:小さい頃から細かい作業をひたすら集中してやることが得意で。カービングはその作業の連続でした。もともとはお花にはあまり興味がなかったんですが、自分の手の中でお花ができていくのを見るのはとても楽しかったです。職を転々としていた私のなかで、あっているものを見つけた!という感じでした。

それは嬉しいことですよね……!


「好き」を仕事に変えた日々。

 

留学後はどうされていたんですか?

武田さん:絶対に仕事にしたい!と思い、「chaikha」を立ち上げました。せっかく留学をしたこともあり、趣味で終わらせたくないなという気持ちが強くて。その後も、修行のためにタイに通っています。

そうなんですね! 修行はどんなことをするんですか?

武田さん:新しいデザインや技術を学びます。上には上がいる業界だから、全く終わりがなくて。コンテストや検定とかのためではなく、自分がこれだったら欲しいなというものをつくるための修行ですね。

「chaikha」という名前の由来はなんですか?

武田さん:ブランドの名前を考えたときに、英語とかでかっこつけるよりかは、タイ語を使った柔らかい表現にしたいなと思ったんです。そこで、タイ語でchaikhaと名付けました。

意味は、chaiが「うん」とか「そうそう」というYesの言葉で、khaが女性の「です」「ます」口調のこと。直訳すると「そうです」という意味なんです。意味だけを言うと変な感じですが、タイのまちにいると、女の子たちが「chai chai」と言っているのが聞こえたりして、とってもかわいいんです。音の響きもいいし、ポジティブな意味でもあるので、いいかなと思って名付けました。

現在の活動を教えてください!

武田さん:現在は、ネットやイベントでの販売がメインです。自分の店舗を持っていないので、毎週日曜日には横浜の「象の鼻テラス」で「ZOU-SUN-MARCHE(ぞうさんマルシェ)」に出店させてもらっています。この場所はまず空間が好きで、ほかの出店者さんたちも、なんとなくこの空間にあうような人たちで、のんびり、ふんわりとしていられるのがいいですね。それ以外にもパシフィコ横浜や東京ビッグサイトで開催されるような大きなイベントにもたまに出店しています。

 

「いいな」という思いを繋げていきたい

お客さんに、「chaikha」の作品をどう思ってもらったら嬉しいですか?

武田さん:私の作品はパッと見るだけでは、石鹸だということに気づかれないことがあります。だから、まずは近くに来てもらって「これはどうなっているの?」とじっくり眺めてみてほしいです。

興味を持ってもらって、最終的にお部屋に飾ってくれたなら、ふとしたときに眺めたり、香りに癒しを感じたりしてもらえるといいなと思います。大切な人へのプレゼントとして、これをあげたいなと思い出してくれるのも嬉しいですね。

やっていて良かったな、と思うときを教えてください!

武田さん:インスタグラムをやっていて、同じようにカービングをやっている人との繋がりができたときですね。ほかにも、アクセサリーや工芸品をつくっている人、外国の方もフォローしてくれて、自分がつくったものを「いいな」と思って繋がってくれる。自分がつくったものを見て人が驚いたり、喜んでくれたりするのがすごく楽しいですね。


大切にされているこだわりはありますか?

武田さん:自分が欲しいと思うものをつくるということですね。画像検索でもたくさんのソープカービングがでてきますが、ほかとはちょっと違う「chaikha」らしい作品をつくるようにしています。家の中に置かれたらどう見えるかといったところも気を使うようにしています。

そして、タイが大好きすぎて始めたことなので、タイにまつわることを大切にしています。象とかタイとか、タイ要素はどうしても入れたくなりますね。

 

タイの人々にとって、長い間生活に深く関わってきた象は特別な存在。「象の鼻テラス」はタイが大好きな武田さんの思いを象徴する場所でもあります。

 

chaikha(チャイカ) HP
https://chaikha.shopinfo.jp/

 

●編集 細野 由季恵