エイミーことエントリエ編集長の鈴木 栄弥が見つけた気になる人を訪ねて、自分らしい暮らし方や生き方のヒントをいただいてしまおうというこのシリーズ。第8回目のゲストは八王子で雑貨店を経営する門脇さんご夫婦です。

仕事の延長でつくった「秘密基地」

門脇さんご夫婦。奥様は前職から雑貨店店長に転向し、デザイナーであるご主人と2人3脚で八王子の倉庫街に店舗兼デザイン事務所を構え、雑貨や植物プランター、ヴィンテージ雑貨・家具、我楽多を扱う「CREAP STORE」をオープン。個性あふれるアイテムでお店に訪れるお客様を笑顔にしている。

 

倉庫街にまさか雑貨屋さんがあるとは……!「CREAP STORE」は、外観も個性的だし、店内もおしゃれな空間です。

奥様:ありがとうございます(笑)。倉庫を店舗にしたのは「秘密基地」というイメージを主人が持っていたからです。ほかにも、こだわったのは店舗設立に「いかにお金をかけないか」ということ。見ての通りこの場所は、店舗用のテナントではないので……。柱が黒いのも、昔の電柱を使ったもので天然の黒さ。

内装は主人と以前住んでいた所の隣人のアイディアで、自分たちらしいお店を目指していたらこんな感じになりました。ほかにも、知り合いの人たちに手伝ってもらって総勢6名。実質2週間くらいで完成しましたよ!ちゃんと断熱材も入れてクーラーも入ってます(笑)。

とってもステキなお店です。オープンのキッカケを教えてください!

奥様:主人はデザイナーで空間デザインの仕事もしていて、照明や家具を扱うことも多くて。そういった仕事で使用するものを誰かに提供する場をつくる仕事も良いんじゃないかって。あとは結婚するまではガラス加工メーカーで営業事務をしていましたが、子育てをする中で、家族が一緒にいられる時間を見直していきたいなと思って。

 

「デザイン性と機能性」を重視した雑貨たち

雑貨はもともとお好きだったんですか?

奥様:そうですね。すごい好きです。昔は自分もピンバッジを集めたりしていました。

雑貨ってついつい見ちゃうし、集めたくなるものもありますよね。

お店に置く商品はどのように選んでいるのでしょうか?

奥様:私は不便なものが嫌いなので身に付ける小物やキッチン用品でも「デザイン性が高くて使いやすいもの」を選ぶようにしています。それとこんな辺鄙な場所にあるお店なのでほかのお店と同じようなものは置かない。珍しいものを選ぶようにしています。

 

主人がミッドセンチュリー(*1950年代を中心に、家具デザイナーイームズなどが活躍していた時代)のデザインがすごく好きなんですね。私も製法やデザインが時代を超えてもなお斬新だなと思っています。そうしたしっかりとしたデザイン性を感じるものを選んでいます。いろんなものに通じているし、奥が深いなって感じています。

 

いまは「まちのため」といえるようになる途中

このエリアで開業する=まちを活性化させたいといった思いもあるのでしょうか?

ご主人:そうですね。何とかしたいっていう気持ちもありますが……。自分たちの気持ちや感覚を高めないとお客さんに自信もって提供できないと思うので。まずはそこからですね。今はまだ「まちのために」といえるまでに達していない。偉そうなこといえないです(笑)。

まだまだこれから、という感覚なんですね。

ご主人:この地区ってお店が点々としていて活性化されてないんです。そういうのもあって大型マルシェなどのイベントでもう少しアピールできても良いんじゃないかなって。イベントに参加することで向き不向きや足らないところを補え合えたり、新しいつながりができたりする。個々が日々努力していって、いろんなアイデアや方向性が出すことができます。

 

「ものの見方」はひとつじゃない

先ほど接客中の姿をお見かけして「声かけが明るくて活気がある」なあと……。ここに来るだけで、元気をもらえそうですよね。

ご主人:ありがとうございます(笑)。お店のある恩方地方はベッドタウンで八王子市内に出るにも時間がかかるんです。でも、ここに来ればまちに出なくても、またはここでしか出会えないものと触れ合える。そういう意味で、八王子の知られざる世界がここにあるかもしれません。

例えば照明でも一つ一つ違っていて、いろんなパターンやデザインがあると分かる。ものの見方はひとつじゃなく、多角的から見ることができる。そんなことを提案したいなと思っていて。

おもしろいものって知らないだけでたくさんありますもんね。

ご主人:そうなんです。あとはおじいちゃんおばあちゃんたちの情報提供の場にもなると思って。「何か困っているのかな、何が求められているのかな」っていう、お互いが情報交換できる場であると良いなと思います。

 

ご夫婦2人のこれから「食べることに関わりたい」

これから「こんなふうになっていきたい」などの展望などはありますか?

ご主人:正直なところ、何をやっていても安定なんてなくて。生きるために仕事をするだけ。この雑貨屋もデザインやアイデアは安売りだからいつまで続くか分からない。

だから、5年後10年後には違う考えを持って生きていることが、これからの生き方のような気がしています。これからどうなるか分からないけど……「飲食」に関わること、はやってみたいですね。結局他人同士だけど、生きるうえで「食べる」ことを一緒にできるって良いな、と。だから、二人でできれば良いかなと。

 

セレクトするものは、ほかでは買えないもの。「例えばあのカニ……。プランター屋さんの社長が『無機質なものにしたら良さそう』とつくってくれたのですが、値段も本物のカニレベルの8,000円くらいで売っていて。全然意味が分からないですけど(笑)。」一期一会の出会いがあります。

CREAP STORE / クリープストア

Ι営業日・営業時間
サマータイム営業中
平日 15:00〜19:00
日祝 15:00〜19:00
定休 水/土曜

ΙHP
https://www.creap.store/

Ιtel
042-659-1870

Ι住所
〒192-0153 東京都八王子市西寺方町669

Ιアクセス
陣馬街道、八王子市街地方面から信号機「小田野」を右折、
一つ目の信号(元木橋手前)を右折、川沿い50m直進入り口(駐車場有り)

●編集 細野 由季恵