エイミーことエントリエ編集長の鈴木 栄弥が気になる人を訪ねて、自分らしい暮らし方や生き方のヒントをいただいてしまおうというこのシリーズ。第15回目のゲストは「折紙の輪っか飾り」をモチーフにしたアクセサリーをつくるOTO OTOのhoiさんです!
「人生に無駄なし」は本当
やってきたことは、今に活きる
hoiさん。デザイン文具メーカーにて文具や雑貨に関わりながら、商品の魅力を伝える営業職のおもしろさを学ぶ。ふとしたきっかけで参加したハンドメイドのグループ展にて「折紙の輪っか飾り」をモチーフにしたアクセサリーを出品し、作家活動をスタート。2014年に自身のブランド「OTO OTO」を立ち上げ作家として独立。現在はネット販売をメインに、全国各地のハンドメイドイベントへ出展などを行っている。
*「OTO OTO」のサイトはこちら
http://otooto.net/
輪っか飾りモチーフは「喜ばせたい」気持ちが生んだ
「minne ハンドメイドマーケット2018」で、私がブースに立ち寄ったのがhoiさんとの出会いでした。作品のおもしろさや「繋げる」というコンセプトに目が止まったんです。
hoiさん:エントリエさんとは、それからのお付き合いになりますね。エイミー編集長は、作品以外のしつらえも含めてブース全体を丁寧に見てくださって。
ポップなどブースの隅々まで工夫されていて、hoiさんの感性やお客様への気遣いも出ていたというか……。作品の「折紙の輪っか飾り」をモチーフに選ぶという発想にくぎ付けになりました。すごく新鮮でした!
hoiさん:実は、「折紙の輪っか飾り」は当時付き合っていた彼の誕生日がきっかけで……。彼の誕生日を“お誕生日会”みたいにお祝いしてあげたいなと思ったんですね。子どもの頃のようにたくさん首にかけてあげたくて、折紙の輪っか飾りをいっぱいつくりました。
そしたらつくっていくうちに「あれ、これもしかしてアクセサリーにしたらかわいいんじゃない……?」ってなって。作品づくりのモチーフとしてのアイデアが生まれたんです。だからOTO OTOが生まれたのは、その彼氏のおかげですね(笑)。
そんな誕生秘話があったとは……!「喜ばせたい」という思いからOTO OTOは生まれたんですね。
hoiさん:そうです。たくさん首にかけたら喜ぶかな~ってワクワクした気持ちでつくっていたので、その気持ちもOTO OTOのコンセプトにつながっていると思います。
昔から、自分のしたことで人が喜んでくれる姿を見られることを嬉しく感じていました。“誰かを笑顔にできる”というのは、結果として自分の幸せにつながるんですよね。あと、サプライズが好きなんです。趣味と言っても過言ではないかもしれません(笑)。
やりたことが見つからない
「最高の自分」になれるもの探し
もともと「ものづくりがしたい」という思いは抱かれていたんでしょうか?
hoiさん:いえ。大学を卒業して当たり前のように一般企業に就職しましたが「これがしたくてこの会社に入った」というのがなくて、いざ会社に入っても自主的に働けず、楽しくありませんでした。自分のやりたいことをやれていないように感じていたんです。でもこれといってやりたいこともなく、何をしていいかも分からなくて……。
そんなとき「安藤 裕子」さんという歌手のライブを観たんです。ステージ上の安藤さんは、喋るのは苦手そうで控えめな感じなのに、歌い始めるとみんなを黙らせる。圧倒されるんです。私も彼女みたいに全部が上手じゃなくても、たった1つのことで最高の自分になれるものが欲しいと思ったのが、動き始めたきっかけでした。
それで勤めていた一般企業を辞めて、文房具の会社に転職されるわけですよね。
hoiさん:はい。まだやりたいことが分からないのは続いていましたが、文房具を扱う会社の営業職の仕事を見つけたんですね。デザインに力を入れた素敵な文房具をつくる会社でした。営業として4年半働きましたが、仕事は楽しくていろんなことを勉強できたと思います。
ハンドメイドで作品づくりをすることになった経緯はどのようなものだったのでしょうか?
hoiさん:あるとき、友人でギャラリーの経営を始めた子がいて、その子の「うちで何かやったら?」という一声から、趣味でアクセサリーをつくっている友人たちと「みんなでグループ展でもやってみない?」という話が出て。そこで私も、初めてアクセサリーをつくってみることにしました。
でも、アクセサリーといってもビジューやパールを使ったようなキラキラしたものをつくりたいという気持ちはなく、自分らしさの出せるものが何かないかなと……。何においても人と同じではなく、自分らしさを追求してしまうところがあって。
その頃が、ハンドメイドブームの少し前で、時期も良かったのかもしれません。
どんなのにしようか考えていたとき、ちょうど彼の誕生日のタイミングだったことや文房具の会社に勤めていたからこそ、「折紙の輪っか飾り」を思いついたのだと思います。実際に形にして販売してみたら、お客さまからの反応がすごく良くて……。これだったら私らしくやっていけるんじゃないか、と直感で思いました。
初期に制作した、輪っか飾りをモチーフにしたアクセサリー
一目惚れというか、一気にファンになるお客さんが多そうですね。
hoiさん:ありがたいです。意図したわけではないんですけど、皆さんどうも集めたくなるみたいで。集めていく楽しさというのもあるんだなというのは、私にとっても気付きでした。OTO OTOはわりと最初から成功しましたが、それは前職の経験があったからこそだと感じています。例えばOTO OTOを始めた当時は、出店イベントで作品を上手にアピールしている人はまだ少なかったように思います。
でも、私には文房具の会社の営業という経験がありました。当時の仕事は会社の商品を雑貨屋さんや文房具屋さんに紹介してお店に置いてもらう仕事だったんですけど、それだけじゃなくて。置いてもらった商品がどうやったらお店の中で良く見えるか、どうやったらお客様の手にとってもらえるかを考えることが大事だった。
だからイベントでも最初からたくさんPOPなどを置いて、魅力を分かりやすくしたんです。作品をつくるだけじゃなくて、魅力の伝え方も自然に考えることができたというのが大きかったと思います。
なるほど。これまでにやってきたことが作家としての活動にも大きな影響を与えているんですね。
hoiさん:誰が見ても有無をいわせないくらいすごい商品だったら、つくるだけで良いと思うんです。でも、そんなすごい商品はそうそうない。だから、作品をつくったら、今度はその魅力を届ける作業をする。それでないと伝わらないと思うんです。私の作品は勝手に良さが伝わるというものではないような気がするので、伝える努力はしないといけないと思っています。
あとは社会人経験そのものがすごく役立っています。例えば挨拶するとか、笑顔でやりとりするとか。そういったことが身に付いたのは会社に勤めていたから。今現在、会社員されている方で、なんとなく悶々としている方もいると思いますが、その経験は絶対に無駄にならないです。
全員の「好き」じゃなくていい
誰かの「好き」になれれば
ブランド名の「OTO OTO」はどうやってつけられたんでしょうか?
hoiさん:私が作った造語なんです。元からある言葉だとおもしろくないなと思って。それで「輪っか」に見える「O」、つながるという意味での「TO」を使うことにしました。最後も「と」なので、どんどんつながっていくイメージもありますよね。ここからもっといろんな物語が続いていったらいいなと思っています。
おもしろいですね。では作品にはどんな思いを込められていますか?
hoiさん:「輪っか飾り」は子どもの頃につくった人も多いと思うので、そのときのワクワクした気持ちや懐かしさを感じてもらえたらいいな、という思いで始めました。それは今も変わらないですね。「あの輪っかがアクセサリーになってる!」という驚きを与えられるのも嬉しいです。
小さいアクセサリーにすれば大人でも身に付けられるし、ちょっとしたワクワクをファッションとして、ぜひ取り入れてみてほしいです。
たくさんの人の「ワクワク」の源になってくれたら嬉しい?
hoiさん:そうですね。ただ100人の人がいたら100人全員にOTO OTOを好きになってもらわなくてもいいんです。それよりも、100人の中の1人にとって「すごく大好きな存在」になりたいですね。
深く愛されるブランドになっていきそうですね。最後に、これから「こうなっていきたい」といった展望などがあれば教えてください!
hoiさん:OTO OTOが、誰かの良いきっかけになれたら嬉しいですね。
以前、私のインタビュー記事を読んだことが作品づくりの後押しになったという作家さんがいて、それを聞いた時にものすごく嬉しくて……。記事だから作品そのものではないんですけど、作品だけでなくそこに込める思いなども含めて、OTO OTO全体が誰かの心に届くといいなと思います。
*OTO OTO
【minne】 http://minne.com/otooto-hoi
【instagram】 https://www.instagram.com/
【twitter】 https://twitter.com/otooto_hoi
お話を聞いた人
●エイミー編集長
鈴木・栄弥(すずき えみ)。小さな頃から建築士に憧れ、建築模型つくりやチラシの間取りを見て生活を想像することが好きな暮らし妄想系女子。現在のホームテック株式会社では、2級建築士として働きながら『ライフスタイルマガジン エントリエ』の編集長を勤めている。
この記事を書いた人
●文 すだ あゆみ
1984年東京都生まれ、横浜市在住のママライター。活字中毒で図書館と本屋が最高の癒しスポット。すき焼きの春菊が苦手。ここ数年、筋トレにはまっている。