好きなものを買うことに、合理的な答えはない。けれど暮らしに一枚迎えてみると、その理由は少しずつ浮かび上がってくる。
先日、美術家のナカムラクニオさんのアトリエで、二百枚ほどの作品の中から直感で選んだ一枚がある。最初は別の作品に惹かれていたのに、一週間後にまた訪れたとき、この絵に目が留まった。自分の中に色が流れ込んでくるようで、今の自分に必要なのはこっちだとわかった。
私にとって、色は単色では意味を持たない。緑は赤があるから癒しになり、青があるから黄色は希望になる。隣り合うことで役割が生まれる。この絵はその関係性をよく示していて、書斎に掛けても、寝室に移しても、空間に呼応してまた違う顔を見せてくれる。
まるで一枚の絵と何度も出会い直しているよう。生花を気分で飾るように、絵の捉え方や居場所はもっと自由でいい。

理由をあれこれ探す必要はない。ただ好きだから置いてみる。そのときどきの気分で場所を変える。絵は、飾り方次第で何度でも新しくなる。
絵と向き合って気づいたけど、白か黒かで答えを出そうとする癖を、ようやく手放せたことかもしれない。
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鈴木 栄弥 / Suzuki Emi
2級建築士、カラーコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、ファイナンシャルプランナー
静岡県富士市出身、1990.7.27生まれ。
日本女子大学 家政学部 住居学科 卒業。…
小学生の頃から間取りやミニチュアが好きで、建築模型がつくりたい! と、建築士になることが夢に。
ビルや建物ではなく、人が住む家のことを中心に学びたいと思い、住居学科で学び、
「人が楽しく暮らす住まいをつくりたい」という思いで就職しました。
現在は、エントリエで設計営業 兼 マガジン編集長として所属。気軽に「エイミー」と呼んでください!
わたしの手掛けるお家は、どれも決まったテイストはありません。
住まい手の体温を感じられるテイストに仕上げることが得意です!
●全国ジェルコデザインリフォームコンテスト
2024年 玄関・ホール部門 全国最優秀賞 受賞
2023年 リビングダイニング部門 全国最優秀賞 受賞
2020年 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会⾧賞 受賞
2020年 個室部門 全国優秀賞 受賞
2019年 リビングダイニング部門 全国優秀賞 受賞
●ジェルコ関東甲信越支部リフォームコンテスト
2022年 デザイン部門 キッチン賞 受賞
2021年 デザイン部門 優秀賞 受賞
2020年 デザイン部門 優秀賞 受賞
●RoomClip全国理想の住まいコンテスト
2022年 1000万円以上部門 全国最優秀賞 受賞
2021年 500万円以下部門 特別賞 受賞
2020年 500万円以下部門 全国優秀賞 受賞