多分、世の中より少し遅れて、お正月気分がようやく抜けた一週目。年末年始にゆるんだ心身も、数日しか経っていないのにかちこちだ。仕事のことを考えていると「100歳まで生きるとしたら、あと60年もこの調子なのか?」と、うんざりした。
今朝、食器棚から木製のれんげを取り出した。こいつの存在を忘れていたけど、一本400円ほどで買ったれんげ。使い始めて数ヶ月で縁が毛羽立ち、口に入れるとちくちくして、大きく口を開けると、口の端が切れそうになった。以前の私なら、迷わず捨てていた。


ただ今回は、紙やすりで削り、拭き漆をしてみた。布に生漆を含ませ、薄く塗っては乾かし、また塗る。乾く条件は「高温多湿であること」。お手製の室(むろ)にいれて、時間をかけて乾かし、何度か繰り返す。時間もかかるし、効率は悪いけど削りながら木目を眺め、少しずつ艶が出てくる時間は、気分が高まる。
直したれんげは、口当たりが滑らかで、手に馴染むし「自分で直した」ものには愛着が残る。もうこれは、400円の道具ではない!
金継ぎをするようになってから、壊れたものをすぐに捨てなくなった。代わりに、直すか、向き合うか、一度立ち止まるようになった。タイパやコスパとやらを気にすれば、いいこともあるけど、その価値観だけで生きていると窮屈だなと感じることが年々増えていく。効率を優先するほど、なぜか疲れていくし(ただの老いかもしれない、とも)。
あと60年生きるのなら、もう少し、手間をかけて生きたい。面倒でも、非効率でも、自分で触れて、直して、作って。そういう時間の重ね方のほうが、私には合っているかも……と、思った翌日には、晩ごはんのお惣菜を買っているんだけど。
▷「家族が家族じゃなくなる家」を設計した人はこちら

鈴木 栄弥 / Suzuki Emi
2級建築士、カラーコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、ファイナンシャルプランナー
静岡県富士市出身、1990.7.27生まれ。
日本女子大学 家政学部 住居学科 卒業。…
小学生の頃から間取りやミニチュアが好きで、建築模型がつくりたい! と、建築士になることが夢に。
ビルや建物ではなく、人が住む家のことを中心に学びたいと思い、住居学科で学び、
「人が楽しく暮らす住まいをつくりたい」という思いで就職しました。
現在は、エントリエで設計営業 兼 マガジン編集長として所属。気軽に「エイミー」と呼んでください!
わたしの手掛けるお家は、どれも決まったテイストはありません。
住まい手の体温を感じられるテイストに仕上げることが得意です!
●全国ジェルコデザインリフォームコンテスト
2024年 玄関・ホール部門 全国最優秀賞 受賞
2023年 リビングダイニング部門 全国最優秀賞 受賞
2020年 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会⾧賞 受賞
2020年 個室部門 全国優秀賞 受賞
2019年 リビングダイニング部門 全国優秀賞 受賞
●ジェルコ関東甲信越支部リフォームコンテスト
2022年 デザイン部門 キッチン賞 受賞
2021年 デザイン部門 優秀賞 受賞
2020年 デザイン部門 優秀賞 受賞
●RoomClip全国理想の住まいコンテスト
2022年 1000万円以上部門 全国最優秀賞 受賞
2021年 500万円以下部門 特別賞 受賞
2020年 500万円以下部門 全国優秀賞 受賞


