先日、工事中の写真が出てきた。思わず仕事の手を止めて、しばらく眺めてしまった。骨組みがむき出しになった家。あの瞬間の高揚感は、なんだったのだろう。

中古で買ったこの家には、もともと四人家族が35年間暮らしていたらしい。
35年か、顔も知らないご家族だけど、その時間はどれだけ濃いものだったのだろう。壁の中でこっそりと家族の成長を見守ってきた柱は、なんだか誇らしい顔をしている気がする。
物件購入は、庶民にとって大きな買い物だ。「失敗しない家選び」「後悔しないためには」。購入したはいいものの、ネットで調べるたび、だんだんと不安になっていた時期。だから骨組みを見たとき、ちょっとだけ安心した。

住みはじめて4年が経つけど、「つくっている時間」は今思い返しても日々いろんな感情が生まれていた。
今思うとくだらない喧嘩を家族としながらも、それぞれが尊重される場所について話し合った時間。
建築士のエイミーさんと白い紙に間取りを描いて、アイデアをどんどん重ねた時間。
何もない空間に、職人さんがひとつずつ形をつくってくれる時間。
考えて、話して、作って、また考える。人とやりとりしながら、家が少しずつ出来ていくあの過程。不安もありつつ、人と何かをつくる時間こそ、いちばん夢中になれる。
わからないことや知らないことは怖いもので、何かを始めるときには、不安とワクワクはだいたいセットでやってくる。でも、どうなるかわからないから面白い。
そういえば私は、「完成」よりも「途中」が好きなんだと思う。
だから、もしもう一度家をつくるなら、完成しなくてもいい気がしている。余白を残して、あとから手を入れたり、色を塗ったり。何回でも壊して、作って、また壊して、ゆっくり育てていけるといい。
▷「家族が家族じゃなくなる家」を設計した人はこちら

鈴木 栄弥 / Suzuki Emi
2級建築士、カラーコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、ファイナンシャルプランナー
静岡県富士市出身、1990.7.27生まれ。
日本女子大学 家政学部 住居学科 卒業。…
小学生の頃から間取りやミニチュアが好きで、建築模型がつくりたい! と、建築士になることが夢に。
ビルや建物ではなく、人が住む家のことを中心に学びたいと思い、住居学科で学び、
「人が楽しく暮らす住まいをつくりたい」という思いで就職しました。
現在は、エントリエで設計営業 兼 マガジン編集長として所属。気軽に「エイミー」と呼んでください!
わたしの手掛けるお家は、どれも決まったテイストはありません。
住まい手の体温を感じられるテイストに仕上げることが得意です!
●全国ジェルコデザインリフォームコンテスト
2024年 玄関・ホール部門 全国最優秀賞 受賞
2023年 リビングダイニング部門 全国最優秀賞 受賞
2020年 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会⾧賞 受賞
2020年 個室部門 全国優秀賞 受賞
2019年 リビングダイニング部門 全国優秀賞 受賞
●ジェルコ関東甲信越支部リフォームコンテスト
2022年 デザイン部門 キッチン賞 受賞
2021年 デザイン部門 優秀賞 受賞
2020年 デザイン部門 優秀賞 受賞
●RoomClip全国理想の住まいコンテスト
2022年 1000万円以上部門 全国最優秀賞 受賞
2021年 500万円以下部門 特別賞 受賞
2020年 500万円以下部門 全国優秀賞 受賞


