布とインクを使って絵を描くシルクスクリーン作家・shota(ショウタ)さん。もともとグラフィックデザイナーだったshotaさんは、飲食業界に転職。そして現在は長野県にある浅間山のふもとで営むカフェ「KOICHIRO COFFEE(御代田町)」もまた、shotaさんの表現の場のひとつにもなっています。
描かれるのはshotaさんの暮らしの眼差しを感じる自然の風景や動物、植物。やわらかく生き生きとした線で描かれた作品は、あたたかく、見る人の心に静かにひらいていきます。

心を動かす言葉との出会い

題「だいじょうぶ」

絵で、癒しや元気を届けたい。そう思うようになったきっかけは、ある絵画展でいただいた言葉でした。

「しょうたさんの絵は元気が出ますね!」「肩の力が抜けました」。そんな感想をいただいた時、純粋に自分が楽しんで描いたものが、人の心に届いたことに感動しました。それ以来「誰かの癒しや明日の活力になるなら」という思いが生まれたんです。

自分が描き始めるとき、モチーフは決めていません。まずは好きな線を引いたり、色を置いたり。自由に描いていると、「鳥に見えるな」「これは花だな」と、あとから見えてくるものがあるんです。予定調和ではない描き方から想像していなかった絵が浮かび上がった時、とても嬉しくなります。

反対に、動物を描きたい!浅間山を描きたい!と思ったら最初にモチーフを決めて描くことも。ただ「猫」を描いていたのに、出来上がってみたら「シロクマ」になったりもします。

題「ひみつねこ」

自分の中で「いいな」と思った時点が、完成の合図です。

遊ぶように描く。自由から生まれた生命感

表現の手法としては、シルクスクリーンや墨、デジタルなど、現在は、さまざまな技法を使います。Illustratorなどのソフトも使いますし、線画も好きですが、シルクスクリーンには特別な思い入れが。

制作風景

シルクスクリーンを使いはじめたのは、以前の職場で家庭用のシルクスクリーンキットをいただいてからです。自分でTシャツやバッグを作る中で、「こういう使い方はどうかな」と、シルクスクリーンの本来の使い方とは違う方法を試す中で1枚の浅間山の絵が完成しました。その時、発色や線の質感が、自分にすごく合っているなと感じたんです。

作品を制作する上で大切にしていることは、ありきたりかもしれませんが、「楽しんで描く」こと。子どものように、絵を楽しんでいます。そうやってできた作品は、止まっているはずの画面の中でも、動物たちがなぜか息づいているように見え、生命が宿っていると感じています。

言葉を超える、表現の可能性

営んでいる「KOICHIRO COFFEE」というカフェで使っているロゴも、自分の落書きから生まれたものです。コーヒー豆のブレンドにもオリジナルの絵を使っているので、そこから作品に興味を持ってくださる方もいます。

KOICHIRO COFFEE

ありがたいことに、個人で活動されている方からロゴ制作のご依頼をいただくこともあります。カフェがハブになって、人と人がつながったり、絵の世界に触れていただけたりするのが、とても嬉しいです。

店内では、作品のほか、ロゴ入り珈琲の販売も

今後は、いつか、自分の身体よりも大きなキャンバスに思いっきり絵を描いてみたいです。

今年の7月5~6日には東京都で行われる『デザインフェスタ』への出展があるので、たくさんの方に絵を見ていただいて、癒しや元気を届けられたらと思っています。

絵は音楽やダンスと同じように、言葉がなくても伝わるもの。国境を超えて、もっとたくさんの人に絵を届けられるように、がんばっていきます。

題「nontitle」

出展情報:デザインフェスタvol.61

2025年7月5日(土)・6日(日)の2日間、東京ビッグサイト 西&南ホール全館にて開催されるアジア最大級のアートイベント「デザインフェスタvol.61」に、シルクスクリーン作家shotaさんが出展いたします。

イベント概要:

  • 日時:2025年7月5日(土)・6日(日)10:00〜18:00
  • 会場:東京ビッグサイト 西&南ホール(東京都江東区有明3-11-1)
  • アクセス
    • ゆりかもめ「東京ビッグサイト駅」徒歩約3分
    • りんかい線「国際展示場駅」徒歩約7分
  • 入場料
    • 前売券:1日券800円、両日券1,500円(両日券は前売のみ)
    • 当日券:1日券1,000円(両日券の当日販売はありません)
    • ※小学生以下は入場無料
  • 公式サイトhttps://designfesta.com/

shotaさんの作品を直接ご覧いただける貴重な機会です。ぜひ足をお運びください。

展覧会「わたしのかたち(2024/11/19~25)」での一枚(左がshotaさん)
一戸翔太/カフェ店主・画家
1986年生まれ。埼玉県蕨市出身、長野県在住。
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