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中古の戸建住宅は、十分な耐震性能を確保できる? – リノベをマナブ。 #59

築古の戸建住宅を購入しフルリノベーションをした際、十分な耐震性能が確保できるのかを気にする方も多いと思います。今回は、耐震性能の基準と、耐震性能を向上させる方法をお伝えします。

耐震等級には3段階ある

まず、耐震等級というものについて整理したいと思います。新築で建築基準法で義務付けられているのは、耐震等級1レベルの耐震性能です。これは、「震度6強から7程度に対して倒壊、崩壊しない。震度5強程度に対して損傷を生じない程度」の耐震性能ということです。

ここで注意していただきたいのは、「震度6強から7程度に対して倒壊、崩壊しない。」という表現です。建築基準法では、震災で人が死なないことを重視しています。逆に言うと、人が死ななければ、そのあとその建物が使えなくても、それはそれで仕方がないという考え方です。つまり、耐震等級1レベルの住宅は、震度6強から7程度で倒壊はしませんが、そのあと住み続けられない可能性が高いということでもあります。

そのため、性能にこだわっている住宅会社では、新築では耐震等級1では不十分ということで、耐震等級3の耐震性能を標準で確保する会社が増えています。耐震等級1から3に性能を引き上げるのには、それほど、とんでもなくコストアップするわけではありません。ただ、窓の大きさや壁の位置など、設計上の制約事項が結構増えてきます。

新築の場合は、基本的には耐震等級3を確保するべきだと思います。

築古住宅で十分な耐震性能を確保することは可能なのか?

古い住宅の場合、そもそもの新築時の耐震性能が低く、さらに、シロアリ被害や腐れが生じていたりで、耐震性能が不足しているケースが多いです。ただ、そのような住宅でも、耐震補強工事で十分な耐震性能が確保できるのでしょうか。

きちんと補強すれば、たとえシロアリにやられていたような住宅でも、ほとんどのケースで、ある程度の耐震性能を確保することはできます。

耐震等級3までが可能なのかどうかは、ケースバイケースですが、その場合に問題になってくるのが、柱や梁よりも【基礎の耐力】です。

耐震性能というのは、建物の構造を強固に固め、地震の揺れに耐える仕組みです。木造の柱や梁は、十分に補強すれば、耐震性能を確保することができます。耐震補強により、柱や梁の強度を上げると、その分、基礎が耐えられるかどうかが問題になってきます。築古の住宅の基礎は、耐力が低く、せっかく柱や梁を十分に補強しても、基礎が地震の揺れの負担に耐えられないというリスクがあります。

もちろん基礎を補強することもできますが、それはそれで、コストもかかりますし、そうすると地盤が耐えられるのか等、また次の問題も出てきます。

中古住宅の耐震補強では、制震ダンパーの導入を検討したい

基礎の耐力不足を踏まえて、築古の中古住宅の耐震補強でお薦めしたいのが、制震ダンパーの導入です。制震ダンパーとは、建物に伝わる揺れを熱エネルギーに変換してダメージを軽減する装置で、最近、新築住宅では採用されるケースが増えてきています。建物の柱などの間に揺れを吸収する制震ダンパーを設置することで建物を地震の被害から守るわけです。

制震ダンパーを導入すると、単に耐震性能が上がるだけでなく、上階の揺れが軽減される、強風や台風の影響を受けにくくなる、建物損傷のリスクが少ない、などのメリットがあります。2階以上の階に伝わる揺れが大幅に軽減されるため、家具転倒を予防等の効果もあります。

そしてなによりも、制震ダンパーにより上階の揺れが軽減されるということは、建物自体の揺れが減るということです。揺れ自体が吸収されるため、当然、基礎にかかる負担も大幅に軽減されます。築古住宅の耐震補強の場合、基礎にかかる負担が軽減されますので、基礎の耐力不足をカバーできる可能性が高くなります。これが最大のメリットです。

耐震補強も含めた中古住宅購入+フルリノベを検討されている方は、エントリエへぜひご相談ください。

※この記事は、グループ会社であるリフォームプライスの「中古の戸建住宅で十分な耐震性能を確保できるのか?」(2021.10 更新)が元となっています

 

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