村田 あやこ
お散歩する人/記事を書いた人
村田 あやこ / Murata Ayako
ライター
お散歩や路上園芸などのテーマを中心に、インタビュー記事やコラムを執筆。著書に『た のしい路上園芸観察』(グラフィック社)、『はみだす緑 黄昏の路上園芸』(雷鳥社)。「散歩の達人」等で連載中。お散歩ユニットSABOTENSとしても活動。
藤田 泰実
お散歩する人/イラスト
藤田 泰実 / Fujita Yoshimi
落ちもん写真収集家
グラフィックデザイナー/イラストレーター/落ちもん写真収集家。茨城生まれ、埼玉育 育ち。多摩美術大学造形表現学部卒。フリーランスのグラフィックデザイナー・イラストレーターとして活躍しながら、路上に落ちているものから人間の背景や余韻、人間味を感じ取り、そこから妄想してタイトルをつけストーリーを作り出す「落ちもん写真収集家」として活動。落とし物は人間ドラマという発想が注目され、テレビやラジオなどにも出演。
細野 由季恵
見守り人/撮影・編集した人
細野 由季恵 / Hosono Yukie
WEB編集者、ディレクター
札幌出身、東京在住。フリーランスのWEBエディター/ディレクター。エントリエでは 副編集長としてWEBマガジンをお手伝い中。好きなものは鴨せいろ。「おいどん」という猫を飼っている。

まちのミカタ、第22回目。今回の目的地は日本橋。大通り沿いはオフィスビルが軒を連ねる日本橋、いつもとはちょっと違う雰囲気のまちで、なにが見つかるでしょうか。

のんびりお楽しみください。

日本橋にできたエントリエの拠点からスタート!開始早々腹ぺこ全開

1月某日。2023年最初のお散歩の舞台は、日本橋。日本橋駅から外へ出ると、通り沿いには大きなオフィスビルや商業施設などが並んでいます。そのうちの一つ、「ビジネスエアポート」が本日の集合場所です。

村田:今日は日本橋に来ています!

藤田:新年一発目のお散歩だね。今年もよろしくおねがいします。

村田:見渡すとビルばっかり。いつもいくまちと違う雰囲気だね。

村田:いま私たちがいる「ビジネスエアポート」には、エントリエさんのオフィスが入っているんだって。

藤田:いい場所だね!

村田:ゆきえちゃん、ここはどういう場所なんでしょうか?

細野:ここは聖蹟桜ヶ丘と恵比寿に続いて、エントリエの3つ目の店舗。

藤田:3箇所もあるんだね、すごい。

細野:日本橋の店舗「entrie times nihonbashi」は、特に東東京側のお客さまと打ち合わせや商材を選んでいただくのに使っています。

村田:駅からのアクセスもよさそう。

細野:東京駅八重洲口から徒歩5分くらい。

藤田:日本橋駅からは徒歩2分くらいだった。

村田:便利!

村田:花が規則的に植えられている。

細野:都会の花だ。

藤田:きれいに整備されているね。

細野:見て、「八日(はっぴい)通り」だって。

村田:八日って書いて「はっぴい」なんだ。「はっぴい」は「HAPPY」……? 

細野:おしゃれ〜

村田:FAUCHONの鉢だ。

細野:きれいすぎるね、このへん。

藤田:ゴミとかペットボトルひとつ落ちてないね。きれいすぎてスキがない感じがするね。みんな戦っている感じ。

細野:あまり「お散歩」って思って訪れないエリアだね。

藤田:だからおもしろいのかな。

細野:リラクゼーションのお店だって。気になる……

村田:眼力がすごい。カメラ目線。

藤田:なんともいえない表情だね。

細野:こういうとこ、入ってみたいな。

藤田:このあたりのオフィスで働く疲れた人たちが、吸い寄せられていくのかも。

藤田:わ、これなに?

村田:タルタルソース!しかも2袋!

藤田:2タル。

時間はちょうどお昼時。飲食店に並ぶ人たちの姿もちらほらと目に入ります。

穴子専門店「日本橋玉ゐ本店(中央区日本橋2丁目9−9)」

細野:あ、あの穴子屋さん行ったことある! おいしかった。

村田:佇まいからしておいしそうだね。

藤田:こっちはまぐろ屋さんだって。

村田:食べるところがいっぱいある。

藤田:絶品ボロネーゼだって。おいしそう。はじまってすぐに食事の話してる。

おいしそうな飲食店が多い日本橋。歩き始めたばかりなのに、お店の看板を見ているうちにお腹が空いてきました。3人同時に目が留まった定食屋さんで、腹ごしらえすることにしました。

株のご利益がある神社で商売繁盛を願う

細野:おいしかったね。食べてよかった!元気出た。

村田:食べるって大事だね。

藤田:じつは集合したときからお腹が空いていた。

細野:お腹へってると、言葉が出てこなくなるよね。

藤田:お腹が減っているのと、暑いのと寒いのは辛いよね。

お腹も満たされ歩き出したところ、まちの至るところで、なにやら気になるステッカーが目に留まります。

藤田:これはなに?

村田:日枝神社のステッカーみたい。

村田:あ、また日枝神社のステッカーがある。

藤田:近いのかな。

細野:どこだろう……調べたらこの近くみたい。

村田:いってみよう。

日本橋日枝神社(中央区日本橋茅場町1丁目6−16 )

村田:あ、神社があった! 境内がビルに囲まれてて不思議な空間だ。

細野:日枝神社は学業や商売繁盛のご利益があるんだって。

お参りを済ませて、おみくじを引いてみることにしました。

藤田:おお、大吉だ! 今年で3回目のおみくじなんだけど、全部大吉だった!

細野:大吉先生。

村田:よっちゃん、今年ノリノリだ。

藤田:がんばります! 縁談は「多くて困ることあり。静かに心を定めなさい」って。これから爆裂にモテるのかな。

村田:モテ期到来だ。

細野:絵馬を見ていると、「億トレーダーになる」「株で儲かりますように」とか書いている人がいるね。

村田:株のお願いごとが多いね。お守り売り場を見ると、カブの絵のお守りもある……あ、「株価上昇」のお守りなんだ!

細野:なるほど。こんなのがあるんだね。

村田:株のご利益がある神社なんだね。周りのオフィス街のトレーダーがお願いにくるのかな。

すぐそばに東京証券取引所がある日枝神社。株価上昇を願うトレーダーたちが訪れるパワースポットのもよう。絵馬の謎が解けました。

藤田:3人で絵馬に寄せ書きしよう。「SABOTENSのYouTubeがはねますように」……日枝神社の神様に、3人を見守っていただいて。

村田:「みんな健康第一で元気モリモリな一年になりますように。」

細野:「エントリエの商売繁盛、WEBマガジンたくさん見てもらえますように。」

村田:お願いします!

懸垂マシンで腹ごなし

日枝神社を後にして、再び歩き始めます。

村田:見て、あのビルの屋上、秘密基地みたいでかっこいい。

藤田:自分たちのアジトにしたい!

村田:隣のビルから飛び降りれそうだね。

藤田:ジャッキーチェンだったらやってるね。

藤田:細い道に入ってみよう。

村田:いろんなお店があるな。とんかつ屋さんに、立ち飲み居酒屋……美味しそう。

藤田:さっき食べたばっかりなのに(笑)。ご飯がおいしいまちっていいよね。

細野:ご飯って、ほんと美味しいよね。

村田:ご飯最高だよね。

しばらく歩いていくと、大きな川が見えてきました。

村田:ここは「茅場町一丁目1」だって。茅場町のスタート地点だ。柵に自転車の空気入れが括り付けられてる。「ご自由にお使いください」っていうことかな。

藤田:橋の向こうに渡ってみようか。

村田:高速の下を川が流れてる。

藤田:わー、下見るとすごい。ものを落としたら大変だ。

村田:柵になにかのイラスト。昔の風景かな。

藤田:花嫁さんと花婿さんらしき絵。結婚式の様子かな。

村田:こういうふうに、川を小舟で渡ってみたいな。

村田:梅が咲いてる。

藤田:もうそんな季節なんだね。

藤田:見て、謎遊具がある!

村田:なにこれ。

藤田:どうやって遊ぶんだろう。

細野:懸垂用だって。

村田:すごい、さすが!私もやってみようかな。

藤田:がんばれ!

村田:だめだった〜。今年はこれにつかまれるようになることを目標にしよう。

日本橋のはみだす緑たち

川を超え、大きな道を渡り……嗅覚のまま歩き進めていくと、次第にまちの雰囲気が変わっていきます。

細野:ちらちら生活感が出てきたね。

藤田:たしかに。ちょっと雰囲気が変わってきたね。

村田:喫茶店も雰囲気いいところが多いね。後で入ってみたい。

村田:わ、すごいもじゃもじゃなところがある!

細野:なんだこりゃ。

藤田:はみだしてるね。

村田:日本橋一のはみだしスポットだ。空き地に置かれた鉢から育っちゃったんだろうか。

藤田:柵の内側もすごいことになってる。

村田:ビル街でここだけ茂っていて、不思議な場所だ。

藤田:こういう場所見ると、不思議と安心するな。

藤田:あ、貝塚(貝が載せられた鉢植えのこと)。お店なのかな、ここは。

細野:魚の匂いがする。

村田:魚屋さんのエプロンも干してある。

藤田:うちら、そのうち探偵になれそうだね(笑)

村田:「ここの園芸には〇〇があるから〇〇屋さんだ」って、園芸から予測する探偵。

村田:こっちには「どうぶつの森」もあるよ。いろんな動物が置いてある。

藤田:誰かがつくったんだね。印刷してシールを貼るところも最高だね。

藤田:こっちのお店の園芸も、すごくいいね!

村田:ビールのケースで台がつくられていたり、ゴミ箱が鉢になっていたり。

細野:金柑の実がなってるね。

村田:椿も咲いてるね。もりもりだ。

藤田:ここは、はみだしてるし実がなってるし!

村田:枝ぶりがかっこいい。スキマの盆栽だ。

藤田:こんなに細いところから生えるんだね。

村田:この根っこもすごいよ!直角に地面の下に入っていってる。

細野:数学記号みたい。

村田:根っこ算数。

村田:わ、2階から犬がめちゃくちゃこっちを見てる。

細野:かわいい。「誰だお前は」って言ってる。

100年以上続く老舗の寒天屋さんでお土産ゲット

しばらく歩いていくと「わらび餅」と書かれたのぼりを発見。老舗の寒天屋「近松」さんです。お昼ご飯が消化されてちょうどおやつどき。吸い寄せられるように入っていきます。

「寒天 近松」さん(中央区日本橋蛎殻町2丁目6−1)
ウサギが出迎えてくれました。

村田・藤田:こんにちは〜。

近松さん:寒いところありがとうございます。

藤田:わらび餅ください。あんみつも売ってるんですか?

近松さん:あんこと寒天を別々に売っていますよ。

村田:わたしもいただいていこう。

村田:お店はいつ頃創業されたんですか?

近松さん:もう100年以上前です。メインは寒天ですが、ところてんを買われる方もいらっしゃいます。

細野:東京都寒天製造組合という看板がかかっていますね。

近松さん:東京都で6軒しかないんですよ。それだけ色々な食べ物が豊富になっているということですね。

藤田:貴重な寒天なんですね。

近松さん:みなさん、うちのを食べたら他では食べられないっておっしゃってくださいます。

細野:私は以前、以前にわらび餅を買いに来たことがありました。すごくおいしかったです。

藤田:ゆきえちゃんに教えてもらわなかったら気づかなかった。

3人それぞれお土産に、寒天やわらび餅を購入。お店からほど近くの水天宮でお開きとなりました。

村田:このへん、楽しいな。住むとしたらビルかな。

藤田:ビル一棟を秘密基地にしたい。

村田:いいね。私は古いビルの最上階に住みたいな。屋上に登る階段もつくりたい。

本日の一コマ漫画

イラスト/藤田 泰実(落ちもん写真収集家)

心に残る明治神宮の風景

村田のミカタ :「サインポールの足元を守る重しに、細かな手仕事の気配」
藤田のミカタ :「日枝神社になった木に吊るされた虫の罠と思われる謎アイテム」

動画公開中!

お散歩した様子を動画でも公開しています。暇つぶしにぜひ!