昨年から、整理収納アドバイザーとして自然素材の収納タグをつくりはじめました。
きっかけは、前回の記事でお伝えした柳のカゴ編みをはじめたこと。
暮らしの中になるべく自然のものを取り入れたい。できることなら、自分の手でつくりたい。そんな気持ちが少しずつ大きくなっていったからです。

もうひとつ理由があります。
自然素材のカゴに、テプラなどのテープでラベリング※をすると、どうしても質感がなじまないと感じていたんです。
※ラベリングとは、ものに名前や目印をつけて識別・分類すること。
収納は「ものの住所」を決めること

では、なぜラベリングが必要なのでしょうか。
収納とは「ものの住所を決めること」です。人に帰る家があるように、ものにも帰る場所がある。収納タグは、その場所を示す“表札”のような役割を果たします。
わたし自身も収納タグによってものの居場所が明確になると、片づけはがんばるものではなく、自然な流れへと変わりました。
「ものを探す時間」が減ると、好きなことをしたり、家族と過ごす時間が増えたりします。暮らしに余白が生まれるんです。それがわたしが整理収納アドバイザーとして活動するなかで伝えている、メッセージのひとつでもあるんです。
使い切るという考え方
テープではないラベリング方法を探していたときに出会ったのが皮革・金工作家の竹沢むつみさんです。

竹沢さんは、タンニン鞣しの革と八王子で獣害駆除として捕られた猪や鹿の革を用い、作品づくりをされています。以前から、その自然の温もりを感じる作品に心が惹かれていました。

ある日そんな竹沢さんから、「制作過程で出る革のハギレを収納タグとして活用してはどうか」とご提案いただいたんです! 素材を循環させるという考え方はとても嬉しく思いました。
竹沢さんにお誘いいただき、鹿や猪の革がどのように鞣されるのか、私の手元に届くまでの最初の工程を見られると聞き、胸を躍らせながら八王子の「小津倶楽部」を訪れました。
小津倶楽部は、空き家や山林などの地域資源を再生しながら、里山の環境を守り、地域交流を行っている団体です。

初めて足を運んだその場所は、人も動物も植物も、同じ循環の中で生きていることを実感できる、とても心地よい空間でした。
革が生まれる背景に触れたことで、素材へのまなざしも変わったように思います。
暮らしを整えるということ
作り手の顔が見える、自然素材のカゴと、革の収納タグ。
暮らしのなかでふと目につく場所においています。この存在が、私の毎日を静かに、やさしく整えてくれています。
忙しさの中で曖昧になりがちなものの居場所を整えることは、自分や家族の暮らしを大切にすることにつながっているのかもしれません。
この小さなアイテムが暮らしの中で“ゆとりの種”となり、そっと芽吹いてくれたら、と思っています。



