帰宅すると、息子と娘がそれぞれにお友だちを連れて来ていた。
玄関を開けた瞬間、自由に脱ぎ捨てられた靴が目に入る。はやく遊びたくてしょうがないという、前のめりな子どもたちの様子が目に浮かぶくらいの散らかりようだ。
ちぐはぐになっている靴を1足ずつ並べながら「ひとり、ふたり……」数えてみると、全部で12人の子どもが遊びに来ているようだ。後から聞いたけど、はじめましての子も、何度もきている子も、うちは居心地がいいらしい。
なんとなくだけど、最近、すべてのものは(我が子だけではなく、広い意味での)子どもたちと共有しているものだという感覚でいる。今、自分が所有しているものは、彼らが健やかに育っていくために、偶然手のなかにあるもの。だから、自由に使ってもらえたらいい。
という一方で、こんなふうに家に自由に来てもらえるようにしているのは、もしかしたらうちに来てくれた子どもたちと一緒に遊んでもらいたいという自分の欲なのかも、とも思う。ただ最近はもう彼らの仲間には入れてもらえないのだけど。
17時になり、夕方を知らせる地域の放送が流れると、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら子どもたちが玄関のドアから出ていった。この光景を見るたび、『白雪姫』に出てくる小人たちがシゴトに向かう様子と重なって思わず笑ってしまう。
見送っているとひとり、成長してサイズが合わなくなった自転車にまたがっている子がいた。その体に合わない小さな車輪を回すために、一生懸命ペダルを漕いでいる。こういう些細な瞬間に感じる、子どもの成長はたまらなく良い。
「世界中の子どもたちが」なんて大きなことは言えないけれど、せめて我が子を通して出会えた子どもたちがずっと希望を持って生きてもらえたら。
玄関、広くしてよかったな。
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鈴木 栄弥 / Suzuki Emi
2級建築士、カラーコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、ファイナンシャルプランナー
静岡県富士市出身、1990.7.27生まれ。
日本女子大学 家政学部 住居学科 卒業。…
小学生の頃から間取りやミニチュアが好きで、建築模型がつくりたい! と、建築士になることが夢に。
ビルや建物ではなく、人が住む家のことを中心に学びたいと思い、住居学科で学び、
「人が楽しく暮らす住まいをつくりたい」という思いで就職しました。
現在は、エントリエで設計営業 兼 マガジン編集長として所属。お気軽に「エイミー」と呼んでください!
わたしの手掛けるお家は、どれも決まったテイストはありません。
住まい手の体温を感じられるテイストに仕上げることが得意です!
●全国ジェルコデザインリフォームコンテスト
2024年 玄関・ホール部門 全国最優秀賞 受賞
2023年 リビングダイニング部門 全国最優秀賞 受賞
2020年 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会⾧賞 受賞
2020年 個室部門 全国優秀賞 受賞
2019年 リビングダイニング部門 全国優秀賞 受賞
●ジェルコ関東甲信越支部リフォームコンテスト
2022年 デザイン部門 キッチン賞 受賞
2021年 デザイン部門 優秀賞 受賞
2020年 デザイン部門 優秀賞 受賞
●RoomClip全国理想の住まいコンテスト
2022年 1000万円以上部門 全国最優秀賞 受賞
2021年 500万円以下部門 特別賞 受賞
2020年 500万円以下部門 全国優秀賞 受賞