中古物件を購入するという選択は、正直かなり抵抗があった。新築vs中古といった価値の話ではなくて、単純に「だれが作り、どんな人が住み、使っていたのか?」というモワァァとした謎が気持ち悪く感じて。商品がほこりをかぶっているような、メンテナンスされていない商品が並ぶアンティークショップに足を踏み入れた時のような、胸がザワつくような感覚というか(体験談)。
ただ、いくつか内覧をしていく中で、築30数年経過していたこの家にはその感覚を抱かなかった。むしろ、がらんと何もなくなった静かな家の中に、以前の家族が感じていただろう光や、空気がやさしく漂っているようだった。多分だけど、大切に住まわれていた証が確かに存在していたんだと思う。
「金継ぎ」をしていると、壊れてしまったものには、これもまた目に見えるものではないけれど使っていた人の人生の一部が残っていることがある。なんだろう、人や時間、気持ちなのかな、想像しながらする作業は持ち主との対話のようで、心が穏やかになる。
年齢も社会的な流れもあるけれど、最近はみんな未来のことを考えているなと感じることが増えた。ただ、未来を考えるということは、同時に「今の何を大切にして、何を次の世代に伝えていきたいか」を自分に問うことでもあるのだと思う。人の言葉や動機ではなく、自分のなかで見つけなければいけないタイミングに来たんだろう。
家のことも物のことも、物質的な話ではなく何を残したいのかをいつも考えさせてくれる。その答えがまだ自分の中では見つかっていないんだけど。
今日のおいどん
かわいい首輪を買いました
▷「家族が家族じゃなくなる家」を設計した人はこちら
鈴木 栄弥 / Suzuki Emi
2級建築士、カラーコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、ファイナンシャルプランナー
静岡県富士市出身、1990.7.27生まれ。
日本女子大学 家政学部 住居学科 卒業。…
小学生の頃から間取りやミニチュアが好きで、建築模型がつくりたい! と、建築士になることが夢に。
ビルや建物ではなく、人が住む家のことを中心に学びたいと思い、住居学科で学び、
「人が楽しく暮らす住まいをつくりたい」という思いで就職しました。
現在は、エントリエで設計営業 兼 マガジン編集長として所属。お気軽に「エイミー」と呼んでください!
わたしの手掛けるお家は、どれも決まったテイストはありません。
住まい手の体温を感じられるテイストに仕上げることが得意です!
●全国ジェルコデザインリフォームコンテスト
2023年 リビングダイニング部門 全国最優秀賞 受賞
2020年 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会⾧賞 受賞
2020年 個室部門 全国優秀賞 受賞
2019年 リビングダイニング部門 全国優秀賞 受賞
●ジェルコ関東甲信越支部リフォームコンテスト
2022年 デザイン部門 キッチン賞 受賞
2021年 デザイン部門 優秀賞 受賞
2020年 デザイン部門 優秀賞 受賞
●RoomClip全国理想の住まいコンテスト
2022年 1000万円以上部門 全国最優秀賞 受賞
2021年 500万円以下部門 特別賞 受賞
2020年 500万円以下部門 全国優秀賞 受賞