予定外のトラブル、遠回りに思えた時間。でもそれは、今の幸せへとつながる「伏線」だったのかもしれない。オーブンの故障、10年越しのお茶のご縁……占星術師イルマーヤさんが日常のハプニングを通して気づいた、人生を「ドラマの観客」として眺めるまなざしと、川の流れに身をゆだねる心地よさについてのお話しです。
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「こんなはずじゃなかった」の先に待っているもの
「こんなはずじゃなかった」と思う出来事は、思いがけず起こります。予定していた流れから外れてしまったり、ショッキングなアクシデントが起きてしまったり。その度に感情が揺さぶられて、なんでこんなことになったのか、と落ち込んだりします。
でも最近、そんなトラブルが起きるたびに、わたしの中に新しい視点をもつ感覚が芽生えてきました。「これは、一体なんの伏線なんだろう?」まるでドラマの展開を楽しむ観客のようにのように、自分に起こっている出来事を客観的に観察しているようです。

占星術の知識があると「あの出来事は、どの星の影響だったんだろう」「なぜ、あのタイミングだったんだろう」と、出来事と星の動きを振り返ってみたくなることがあります。見直してみると、当時はただのトラブルや遠回りに思えた出来事が、今手元にある幸せに繋がっていることがたくさんあるように思います。
そうして伏線回収を確認すると人生というドラマを作った監督はニヤリとして、画面の前の私は「そうきたか!」と膝を叩くのです。
オーブン故障事件
最近の出来事です。少し前から夫が月に一度、ケーキを焼くようになりました。その日もバスクチーズケーキをオーブンに入れ、あとは焼けるのを待つだけ…というその時。オーブンから異音発生。
大きな音がするので愛犬はびっくりしてワンワン吠え、あわてて途中で止めて焼き直し。さっきよりは音も小さくなったけれど、生焼けのチーズケーキも困るので、オーブンにぴったり張り付きながら残りの焼き時間を慎重に見守りました。
そのオーブンは、数年前に他界した父が新築祝いに贈ってくれたものでした。なんとか焼き上がったチーズケーキをみて、「お父さん、ありがとう」と心の中で呟きました。でも、この調子じゃ使い続けるのはちょっと怖いかも。
壊れたタイミングが、頻繁に使うわたしではなく、(ほぼ)月に一度しか使わない夫の時だったことにも意味を感じました。もしわたしが壊してしまったら、修理しようか、だましだまし使おうか、となかなか踏ん切りがつかなかったかもしれません。
でも、夫のタイミングだったからこそ、わたしは父との思い出を重荷にすることなく、軽やかに「ありがとう」と手放すことを決めました。

予定外の出費にはなりましたが、新しいオーブンを迎え入れることになりました。この春から息子のお弁当作りが始まることに少し不安を感じていましたが、最新の機能を眺めているうちに「これを使ってお弁当を作ったら楽しそう!」と、心が上向き始めている自分に気づいたのです。
もしかしたら、あのオーブンの故障も「お弁当作りを楽しむための伏線」だったのかもしれない。
ハプニングが起きたときに、戸惑っている「役者」の自分の後ろで、もう一人のわたしがひょっこり顔を出して「さて、この物語は、どんな幸せな落とし所を見せてくれるんだろう?」そんなふうに、次に起こることをわくわくして待っている「観客」の自分の存在をなんとなく感じるのです。
10年越しの「お茶」のご縁
もう一つ、長い伏線のような出来事があります。ずっと習ってみたいと思っていた「お茶」。なかなかご縁がなく、気がつけば10年以上が過ぎていました。半ば諦め、忘れかけていた時にお稽古のお誘いをいただいたのです。
もし10年前の私だったら、今のように心地よくお茶を味わえなかったかもしれません。当時は「何かを身につけたい」「成果を出したい」という焦りもあり「ただ楽しむ」ということができなかった気がするのです。
何者かになろうとしなくてもいい。そう思える今の自分になったからこそ、ようやくこのご縁が巡ってきたのかもしれません。遠回りも、立ち止まった時間も、すべては今のわたしにふさわしい「これから」を準備するための伏線だったのかもしれません。
川の流れに身をまかせて
わたしたちが頭で「こうなりたい」と望んでいることと、「本当の自分」が求めている幸せは、必ずしも同じとは限らない。目に見える成果やステータスを追いかけているとき、順調に見えるけれど、それが本当に自分にとって最適な道?もちろん、それがモチベーションになって頑張れる時もあるけれど、それが全てになってしまうと重くなる。だから、時々離れる。
失敗や立ち止まる時間もあるからこそ、今の自分があって、なるべくしてなる人生へと流れていく。最近のわたしは、大きな川の流れの中で、さらさらと流れに運ばれていく自分をどこか遠くから眺めているよう。

今日もまた、何か思いがけないことが起こるかもしれません。戸惑う自分と、わくわくしている自分。その二つの視点を行ったり来たりしながら暮らしています。

