ひとの手で、丁寧に、ひとつずつつくられていくものたち。工場で大量に製造されたモノにはない独特のオーラやぬくもりが、私たちの暮らしに彩りや安らぎを与えてくれます。
エントリエでは、こだわりをもった手仕事作家さんに注目。ものづくりや作品への想いをお訊きします。
《 オンライン書店「eninbooks」主宰 / 許晏熒(キョエンイン) 》
日本のカルチャーにわくわくした
中学校時代
台湾・台北に住み日本語翻訳の仕事をする傍ら、「eninbooks」という屋号で本のイベントを行ったり、日本の風景や喫茶店など、毎回さまざまなテーマでZINE*を制作しています。
*ZINE……テーマや体裁は自由で、個人が制作する出版物のこと。
日本文化に興味を持ったのは中学校時代。
学校が終わったあと漫画喫茶に行き、日本の雑誌や漫画をよく読んでいました。
特にお気に入りだったのは、『ZIPPER』(1993年 – 2017年, 祥伝社)や『CUTiE』(1989年 – 2015年, 宝島社)などのファッション雑誌や、少女漫画の『NANA』 (矢沢あい 著, 集英社)。
『NANA』では主人公のナナちゃんが身につけていたヴィヴィアン・ウエストウッドのファッションがとても印象的で、日本のファッション雑誌だけでなく、服飾の歴史そのものにも興味が湧くようになりました。
最初に制作したZINEは、『平成女子の東京研究会 – 憧れの東京』という作品。
2016年にはじめて東京を訪れた際、印象に残ったまちの風景を一冊の本にまとめました。
その後2017年に、モデルの小谷 実由さんが純喫茶を楽しむための「純喫茶準備室」( https://meetscal.parco.jp/special/junkissa )という企画をプロデュースした際、この企画のために制作したZINEに影響を受け、『喫茶SHIBUI』という作品を制作しました。
台湾や日本の“渋い”喫茶店を集めたこの作品。
昔ながらの喫茶店は、古いけれどチェーン店にはない味わいや価値がある、ということを伝えたくて、つくりました。
完成したとき、小谷さんご本人にもお送りしました。この写真は、なんと小谷さんが撮って送ってくださったものです。
ゆったりくつろぐ時間や
考えるきっかけを作品から発信
アイデアの素材になっているのは、たとえば建物の壁や床のタイルなど、日々の暮らしで目にとまるささやかなもの。
作品を通して「地味なものや目立たない部分にも、もっとゆっくり目を向けてみよう」というメッセージを読む人に伝えたいと思っています。
作品制作は、仕事が休みの日を使って行っています。
一つの作品にかける時間は三ヶ月から、一番長かった『平成女子の東京研究会』では一年ほど。
『喫茶SHIBUI』を制作した時は、さまざまな喫茶店を訪問しました。
落ち着くお店の空間で、オーナーさんたちとお話できた時間は、楽しいひとときでした。
完成した作品を読んだ方が、私の紹介した喫茶店へ実際に行き、お店の雰囲気をゆっくり味わってもらえたことも嬉しかったですね。
今後つくりたい作品のテーマは「環境問題」や「海洋汚染」。作品の素材も再利用した材料を使い、読んだ方が、地球環境について考えるきっかけになるような本をつくりたいと考えています。
● オンライン書店「eninbooks」主宰 / 許晏熒(キョエンイン)
【Facebook】https://www.facebook.com/eninbooks
【Instagram】https://www.instagram.com/eninbooks
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