SABOTENSのお散歩、今回はドドンと遠征!長野県佐久市です。エントリエマガジンのデザインも担当してくれている、グラフィックデザイナーとして活躍される江村 康子(えむら・やすこ)さんと一緒に、小海線・臼田駅周辺をお散歩。アロエに溢れた呉服店に、公園の一角を耕す園芸家のおじいさん、巨大サボテンが育つ食堂。さまざまな形で植物を愛でる人が暮らすまちでした。
ラジオ付き自転車に、巨大な石臼
藤田:今日は長野県!
細野:臼田駅に来てます。ゲストに、長野県佐久市でデザイナーをされている江村さんが来てくださいました!
江村:よろしくおねがいします!
藤田:ありがとうございます。今日は江村さん作の地図を見ながらお散歩します!
村田:やったー。
細野:江村さん、意気込みをお願いします。
江村:おもしろがれたらいいなと思います!
藤田:やるぞ!
村田:イエーイ!
木の板に「臼田駅」と書かれた渋い看板が掲げられた臼田駅の前で、地図と一緒に記念撮影。各自地図を手に、歩きはじめます。
村田:臼田駅はどんな駅ですか?
江村:通勤、通学の足として使われています。佐久は基本的に車移動なので、学生が使うことが多いと思います。
歩き始めてまもなく、一台の自転車に目が留まります。
細野:この自転車、ラジオがついてる……
江村:鳴らしながら走ってる……?
村田:魔女の宅急便で、キキがホウキの後ろにラジオつけて飛んでいるやつみたい。
江村:いい解釈。
駅前広場の一角には、立派な石も鎮座していました。
村田:この石、なんでしょう。
細野:江村さんのマップによると、石じゃなくて臼。
藤田:石臼なんだ!
村田:(看板を読みながら)「この大石は2000年10月1日に新しい橋「臼田橋」が完成した折りに、工事中に千曲川河床から掘り出したものです」だって。
藤田:えー、これを!?
村田:この石臼に綱を巻き付けた綱引き大会で、領土取り合戦もしたんだって。へえ〜。
細野:戦争じゃなくて綱引きで喧嘩してほしいね。
藤田:もしくは、いかに踊るか。「テンテンテンテン……♪」って。郷土料理をお互い食べ合って踊って、汗をかいて終わる。
村田:よりいい踊りができたほうが勝ち。
石臼のすぐそばで、五稜郭や神社に混ざって気になる看板も発見。
村田:「日本で一番海から遠い地点」っていう看板がある!
江村:そうなんです。山の中に看板が立ってるだけなんだけど、たまに人が来るみたいです。
アロエが店先を飾る呉服店
駅前だけですでに見どころ満載ですが、このままでは駅前で散歩が終わってしまうので、少しずつ歩き進めていくことにします。
村田:あ、空き地にカエルの置物!
藤田:私、生き物の中でカエルが唯一苦手……前に散歩してたときに、カエルの群れに遭遇したよね(大森編)。そのときも「いやああ〜!」って鳥肌が……。
村田:よっちゃんは昔、カエルに触ってブツブツができたんだよね。
藤田:そう。それでお母さんが神社でお祓いするっていう、スピリチュアル的解決をしたの。
村田:この草、変な生え方してる。
細野:こういうおじさんいるよね。
村田:駅前の通りは、「ふたご座通り」っていうんだ。
江村:佐久は「星のまち」として売っているんです。
村田:星がきれいに見えるんですか?
江村:それもあるんだけど、向こうの山の中にJAXAの大きいアンテナがあって。ロケット型展望台もあるんです。
村田:へえ〜!
「ふたご座通り」を進んでいくと、窓の内側にぎっしりとアロエやカネノナルキが並ぶ呉服店を発見!思わず目を奪われ、お店の方にお話を伺ってみることにしました。
村田:こんにちは、アロエ拝見してもいいですか?
油井呉服店さん:いいですよ。
村田:アロエいっぱい、すごいですね。
油井呉服店さん:みんな花が咲いたんだけど、もう枯れちゃったみたい。
村田:毎年お花が咲くんですか?
油井呉服店さん:毎年咲くよ。咲くと皆さんほしがるからね。ほしいっていったお客さんには「持ってって」ってあげるんだけど、どんどん増えちゃうの。葉っぱが出てくるじゃん。それを挿しておくと根がついちゃって、困るわけ。
村田:目にとまる方、多いでしょうね。
油井呉服店さん:霜が降りなくなったら表へ出して並べるんだよ。
村田:アロエやカネノナルキは、もともと園芸店かどこかで買ってこられたものなんですか?
油井呉服店さん:小さいのをお客さんにいただいたの。それがどんどん増えていって。
村田:お店の歴史を感じますね。
店内には、大きな人形も飾られていました。
村田:大きい人形も目を引きますね。これはどうされたんですか?
油井呉服店さん:うちに双子が生まれたときに、お祝いにいただいたの。
村田:お子さんたち、こんな大きな人形があると小さい時喜んだでしょうね。
油井呉服店さん:そうね、子どもは喜びました。窓辺に飾っていると、通る人たちも「わあ、大きいね」って。
村田:たしかに、アロエの奥にこの人形がいたら目を引きますね。
油井呉服店さん:大きすぎてどうにもならない。
細野:あ、狸だ。
江村:ほんとだ、狸がいる。コロコロ付き……!
村田:移動できるように付けたんですか?
油井呉服店さん:そう。そんなに重たくないけど。
村田:移動できると便利そうですね。
油井呉服店さん:そうだよね。
村田:うちにもこのくらいのサイズの狸の置物があるから、狸好きの夫(*)に紹介してみます。
*狸好きの夫……「むらたぬき」さん。「日本たぬき学会」会長。「タヌキ大学」副事務局長。#街角狸 で世界中に散らばった狸達をSNS上で一堂に集めている。詳しくはツイッター(@tetsuro5)へ。
藤田:見て、お店の外に今年のカレンダーが貼ってある。
村田:ほんとだ!前を通る人のためかな。
細野:優しい方たちだったね。
村田:心遣いを感じた。店頭にアロエが並んだ様子も見てみたいな。
洋服や靴下などを取り扱っている油井呉服店さん。あたたかそうなレッグウォーマーを購入して、お店を後に。貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
庭づくりで公園美化につとめる園芸家 “花サクおじいさん”
油井呉服店さんを出てしばらく歩いていくと、気になる小道を発見。小道に吸い寄せられがちなSABOTENS。迷いなく進んでいきます。
藤田:わ、めちゃくちゃいい道がある!
村田:いってみよう!
藤田:見て、すっごい古い腐敗してる傘。こんな傘はじめてみた!
細野:ゾンビみたい。
藤田:「ゾンビ傘」だね。多分この傘、溶けるまで一生ここにあるんじゃないかな。
細野:第一落ちもんは「ゾンビ傘」だ。
村田:このまま苔と一体化していきそう。
江村:令和が終わるまでいてほしい。
村田:何年くらいここにいるんだろう。
藤田:久しぶりに気づかれただろうね。
村田:こんなに写真撮られることもなかっただろうね。傘にとって。君の勇姿を見届けてやったよ。
村田:小道の向こうは公園につながっていた!
江村:ほんとだ。こっちの方、来たことなかった。
藤田:祠の上に苔!
村田:苔庭が広がってるね。きれいだね。ズームして撮るとまさか祠の上だと思わない。富士山の5合目くらいに見える(いったことないので適当)。
公園の一角で、庭仕事をしている方がいらっしゃいました。
村田:こんにちは〜。お庭をつくっていらっしゃるんですか?
おじいさん:お庭をやってるの。
村田:なにを植えてるんですか?
おじいさん:いま植えてるのはスイセン。もうちょっとしたらアサガオ。このへんにはグラジオラスを植えてるの。あとはヒマワリ。
村田:季節ごとに楽しめますね!
藤田:この看板は、お父さんがつくられたんですか?
おじいさん:そうそう。中に入って盗られちゃいけないからな。
村田:お庭の手入れはお一人でやってらっしゃるんですか?
おじいさん:うん、一人。もう19年くらいになるかな。地元の新聞にも毎年取り上げられて、テレビに出たこともある。わざわざ見に来てくれる人も多いよ。「きれいだね〜」なんていってくれれば、張り合いがあるよね。
村田:お庭づくりのきっかけは?
おじいさん:自分のうちが近くだから。それまでは結構汚れていることで評判の公園だったんだよ。それではいけねえっつって、俺がやりはじめて。お金にはならないけど、楽しみでやってる。きれいだよ。季節ごとの花が咲くからな。
村田:おすすめの時期はありますか?
おじいさん:アサガオが咲くのは7月〜8月。毎年4月1日に種を蒔くの。みんな頭の中に入ってる。
村田:何色の花が咲くんですか?
おじいさん:水色と赤いのと、いろいろある。
村田:楽しみですね。
村田:お庭見られてよかったです。ありがとうございました。お元気で!
おじいさん:ご苦労さま。気をつけて帰ってね。
私たちは、臼田の公園を守るやさしいおじいさんを佐久にちなんで「花サクおじいさん」と呼ぶことにしました。
創業100周年の食堂に鎮座する、巨大サボテン!
公園を後にした一行。江村さんから「すぐそばに、大きなサボテンのある食堂がある」という情報をいただいたSABOTENSは、食堂を目指します。
藤田:わ、この食堂かな。
村田:見て、お店の中のサボテン、大きい!伊豆のシャボテン公園並のサイズだ。
入口からちらりと見えるサボテンに興奮していたところ、ちょうどお店が開店。中に入って昼ごはんをいただきつつ、近くでサボテンをじっくり見ることにしました。
村田:うわ〜……!立派だ!
藤田:でかい!
村田:神々しいね。
村田:上から見るといがぐり坊主の頭みたいでかわいい。
藤田:綿が猫みたい。
細野:お花咲くのかな。
江村:下に落ちてるのが花がらだと思う。
村田:相当たくさん咲いたんだな。
村田:サボテン立派ですね!植物園にありそうなくらいのサイズです。最初は小さかったんですか?
鈴本食堂さん:そうですね。シャボテン公園で小さいやつを買ってきて。37、8年経つかな。
村田:そうだったんですね。まさにシャボテン公園と同じサイズだ、と感動しちゃいました。いいものを見られてよかったです。ありがとうございました。
村田:いやー、立派なサボテンを見られてよかった。よくあんなサイズになるまで育てて。すごいな。
藤田:素晴らしいサボテンだったね。愛されて生きていたね。
細野:いいお店だったね。
本日の一コマ漫画
心に残る佐久の風景
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