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植物の形や影の美しさを押し花で表現 FORMA 宮地健太郎さん | エイミーズトーク #52

エントリエ編集長のエイミーこと鈴木 栄弥が気になる人に、自分らしい暮らし方や生き方のヒントをいただいてしまおうというこのシリーズ。第52回目のゲストは、植物の形や影に焦点を当てた押し花を制作するFORMA・宮地 健太郎(みやち・けんたろう)さんです。

エントリエのライター村田が、昨年下北沢で開催された植物のイベント「PLANTS Collective Vol.5」でご一緒したFORMAさん。透明なアクリルに押し花を挟んで植物の形を楽しむという斬新さがありながら、生活空間に馴染む洗練されたデザインが魅力です。制作者の宮地 健太郎さんに、作品の背景や制作の上でのこだわりについて、お話を伺いました。

PROFILE

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宮地 健太郎(みやち・けんたろう)

1992年、東京生まれ。大学で都市計画、まちづくりについて学び、建築系PR会社に勤務。2021年よりFORMAとして押花製作を始める。

押し花の原点に立ち返り
植物の「形」を標本のように見せる

写真提供:FORMA

――FORMA(フォルマ)さんの作品を見ていると、植物ひとつひとつが持つユニークな形に気づきますね。作品のコンセプトを伺えますか?

宮地さん:「いつもと違う視点で楽しむ」​​というコンセプトで、植物がつくりだした自然の形にフォーカスした押し花を制作しています。

――「FORMA」という言葉の意味は?

宮地さん:イタリア語で「形」です。押し花の発祥はイタリアで、生物学者が標本として植物を残すために、水分を抜いてぺったんこにするという手法が見出されました。FORMAでは原点回帰して、標本のようにシンプルに植物の形や影を見せようと思っています。

写真提供:FORMA

――宮地さんの作品をはじめて拝見したとき、一般的に「押し花」と聞いて思い浮かぶかわいらしいイメージとは異なり、植物の形としてのかっこよさを味わえるのが印象的でした。この作風にいたるまでにはどんな経緯が?

宮地さん:最初のきっかけは、3、4年前に、珍しい正方形のガラスの額を一目惚れで購入したことです。なにを額装しようか考えたとき、ポスターだとガラスの透明感を活かせないなと思っていたところ、偶然押し花を額装しているものを見かけました。

それで、押し花を探してみたのですが、45センチ角の額に合う大きなサイズのものがなくて。ないなら自分でつくってみよう、と押し花づくりをはじめました。最初は単純に趣味でしたね。

──おうちの空間を彩るために個人的にはじめたのがきっかけだったんですね。最初に額装したのはどんな花だったんですか?

宮地さん:アリウムです。スネークボールという、自然にうねうねと曲がった品種の形が変則的で面白いなと思って、額装して飾ることにしました。

──現在、作品として額装するお花は、どんな観点で選んでいるんでしょうか?

宮地さん:季節のものということと形です。花には色や香りなど、春夏秋冬いろいろな楽しみ方がありますが、「影」を見ても楽しめると思うんです。

押し花を制作する際は、まずどういう影になるのかを考えるところからスタートします。花は立体的なので押し花にしてみると全然違う形になることもあるんですね。押し花にする前に、まず花に照明を当て落ちる影の形を確認し、角度を決めています。

──お花というと「色」に目がいきがちでしたが、「影」という視点は独自ですね。光の当たり具合や、朝や夕方といった時間帯によっても表情が変わるでしょうし、同じ作品でもさまざまな楽しみ方ができそうです。

宮地さん:植物によって押し花には向いてないものもあったりするんですが、お花屋さんに「向いてない」といわれるとむしろ挑戦してみたくなります(笑)。押し花の制作は試行錯誤を重ね、いろんな方法を試して今に至りました。花にもよりますが、1週間から1ヶ月くらいプレスしてつくります。

──開く瞬間、わーっと感激しそうですね。

宮地さん:押し花にすることで葉の生え方や花のつき方といった特徴がわかりやすいんですよね。ランダムなように見えても法則があるんだな、と気づきます。

──額も素敵です。

宮地さん:額も自分でつくっています。材木屋さんで木を選んで、額の主張が強すぎず、ギリギリ自立できる太さでカットしてもらった木に、自宅で溝加工や塗装を施しています。額のサイズに合わせて、アクリルも自分で切り出しています。

──すごい。木材から選んでいるんですね!

宮地さん:押し花もさることながら、額づくりの方もいろいろと試行錯誤していますね。インテリアとして飾っていただけることまで考えてつくっています。

押し花にすることで、大切な日の思い出を残し続けられる

──FORMAという屋号でご活動されてどのくらいですか?

宮地さん:まだ一年経っていないくらいですね。趣味でつくりはじめた押し花でしたが、以前知人に作品を見せたとき、「作家活動をされてみたらどうですか」と背中を押していただいたことがきっかけです。

──現在はどのような場で作品を発表されているんでしょうか?

宮地さん:基本的にはポップアップショップでの販売が中心です。平日は会社に勤めており作業時間が限られているので、2、3ヶ月に1度くらいのペースです。縁があって数珠つなぎで、イベントや百貨店などいろんなところに出させていただいているという感じです。

──丁寧に作品をつくってこられたからこそ、ご縁で活動が広がっていったのでしょうね。

宮地さん:オーダーメイドで、「思い入れのある花を押し花にしてもらえないか」といった依頼をいただくこともあります。最初は友だちが結婚したときに、「ブーケを押し花にしてウエディングギフトとしてお返ししたい」というオーダーでした。粋な依頼ですよね。結婚式当日に花を受け取って押し花にして、自作したギフトボックスに生花のときの状態の写真を添えて渡しました。

写真提供:FORMA

──素敵なご依頼です。

宮地さん:それを見た別の友だちから、付き合って3年目の記念に、告白したときの花束と同じ花を押し花にして渡したいというオーダーをいただきました。最初は花の形ばかりに着目していましたが、“押し花は、枯れるものを残し続けられるものでもあるんだ”と気づきました。

──生花は日を追うごとに枯れてしまいますが、押し花という形にすると思い出や花の送り主の気持ちを別の形で残せますね。宮地さんの作品は、インテリアとして生活空間に馴染む形でさりげなく残せるのもいいですね。

宮地さん:まさにそういうのを目指しています。花がドーンと主役になるのではなく、暮らしに寄り添って、そこにあるだけでやわらぐような。

建築に植物。美しさの背後にある構造を探究する

──作品もさることながら、お住まいのおうちも素敵ですね。額縁もご自身でつくられているとのこと、もともとDIYがお好きだったんでしょうか。

宮地さん:大学では都市計画やまちづくりを勉強し模型制作がメインだったのですが、あるとき大学の先輩に誘われて、築60〜70年の古民家をリノベーションしながらシェアハウスとして住むことに。

一緒に住むメンバーは、設計や現場監督など建築分野の様々な仕事につく仲間たち。改修可能物件だったので、壁を剥がしてスケルトンにして断熱材を入れるところからやって、そこで工具の使い方も学びましたね。手を動かすのって楽しい! と目覚めました。いま住んでいる家も古民家です。

──どのようなものを見て、ご自身の感性を高めてこられたんですか?

宮地さん:大学生の頃に一年休学して、バックパッカーで30ヶ国以上の様々な都市の建築を見て回ったことがありました。都市計画を専攻していたこともあり、空撮でまちのつくりが分かる写真集を見るのも好きです。

建築は平面のスケッチから立体化していき、押し花は立体的な植物を平面にしていく。プロセスは逆なのですが、平面のものが立体になったり、立体のものが平面になったりすることへの興味も、原体験かもしれません。押し花には、そういった構造物の美しさを見せられないかという思いもありますね。

──マクロとミクロを行き来して、美しさの背後にある構造や法則性を探究される視点を感じます。今後FORMAさんとしての活動で取り組んでみたいことはありますか?

宮地さん:押し花を「見せる」ということにフォーカスした展示をやってみたいですね。光が当たる位置と距離を変えて変化する影を楽しんでいただきたいです。

「ご自宅にあるアトリエで写真を撮っているときが至福のひととき」という宮地さん。特に夜の間接照明を植物に当てて影の美しさを楽しんでいるそうです。家づくりも作品制作も丁寧にこだわりをもって取り組んでいらっしゃる姿が印象的でした。

●インタビュー・文 / 村田 彩子
●編集・撮影 / 細野 由季恵

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