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「神楽坂で、アメリカの古材を使った家具を製作」RECLAIMED WORKS 岩西剛さん | エイミーズトーク #18

RECLAIMED WORKSの岩西剛さん

エイミーことエントリエ編集長の鈴木 栄弥が気になる人を訪ねて、自分らしい暮らし方や生き方のヒントをいただいてしまおうというこのシリーズ。第18回目のゲストはRECLAIMED WORKSの岩西剛さんです!

本質とはなにか?
スケールを変えることで見えてくる、
暮らしの在り方

岩西剛(いわにし・ごう)さん。東京都出身。アメリカ西海岸エリアからリクレイムドウッドと呼ばれる古材を輸入し、個人・法人向けに家具や什器の製作するRECLAIMED WORKS Interior and Suppliesディレクター。またDIYクリエイターとして、URBAN TUBE、DIYer(s)などのウェブメディアで個性あふれるDIYアイデアを記事にして発信している。

ただ古くてかっこいいだけではない。
アメリカ古材の歴史

岩西さんがディレクションするRECLAIMED WORKSのショールームには、古材を使ったユニークな家具やインテリアアイテムが置かれています。ひとつひとつに活かされた素材の良さを感じるRECLAIMED WORKSの家具たち。そこで古材の魅力や家具設計のこだわり、DIYクリエイターとしての今後の展望についてお話を聞きました。

 

――味のある古材家具に興味があるのですが、実はよく知らなくて。普段はどのような古材を使っていますか?

岩西さん:うちで取り扱っている主な古材は、ダグラスファーっていう米マツ材。西海岸のポートランドやシアトルから輸入しているんだ。

――ひとくくりに「古材」と言っても、たくさんの種類がありますよね。古材は、いつから使われていたのでしょうか?

岩西さん:簡単に説明すると、アメリカで古材を使う文化が生まれたのは、植民地時代……つまり1776年頃からなんだ。現在の古材の観念とは違って、製材することが大変だし、もったいないからはじまったんだと思う。ヘンリー・デイヴィッド・ソローが自身の自給自足の生活を描いた著書「ウォールデン 森の生活」(1854)に出てくるように、他人から小屋を買ってそこから必要部材を取って自分の家をつくる材料にしていた。

――意外と古くから利用されていたんですね!

岩西さん:その後、1980年代からはビジネスとしての古材の文化が生まれるようになった。

アメリカの農業地域にはBARN(バーン)と呼ばれる大きな納屋があって、中には100〜150年前に建てられたものもある。これが使われなくなったとき、解体されて出てきた大量の材木を燃やすと、かなりの量のCO2が出てしまう。

「古い材木でもまだ使えるものが多いのに、燃やして新しい木を切るのはエコじゃないよね」ってことで、90年代からは環境に優しい建材や塗料商品を「グリーンマテリアル」と呼び、エコな商材として古材が流通するようになった。それにスターバックスとか大手企業が賛同したことで、古材が広く利用されるようになったんだ。

――環境への配慮。

岩西さん:日本に古材が輸入されるようになったのは90年代からなんだけど、イメージばかりが先行して素材のカテゴリ分けが曖昧。それで「杉の足場板も古材、アメリカから持ってきた米マツも古材と一緒くたにされてしまう。

本来は、「どこで採れた、何年前の、どんな材種か」で古材のブランド価値が変わってくるものなんだよね。安価な古材を使った家具を高く売っているところもあって、扱い方がまだまだ未熟だなと思う。

――購入する側も、古材の材種や産地について知識を持つことが大切ですね!

 

スタイルは素材や規格から生まれる

岩西さんが働くRECLAIMED WORKS Interior and Suppliesのショールーム兼事務所。米マツ材を使用したオリジナル家具を体験できる。

――海外のインテリアスタイルってとても素敵ですけど、それを日本の家で取りいれるのは難しい印象があります。

岩西さん:例えば、ブルックリンスタイルを取り入れようとして、黒いアイアン家具とか象徴的なものを置くだけだと「似ているようで違う」となってしまうよね。

建物の規格にスタイルが左右される問題もあるけれど、その土地で採れた素材がインテリアに組み込まれることで、雰囲気が生まれるんだ。和室だって、素材にい草や和紙が使われていないと「なんか違う、和のスタイルじゃない」ってなるし、木に焦点を当てるとスギやヒノキが和室には必要だよね。

――素材にこだわることって大事ですね。古材という素材は取り扱いが難しいものなんですか?

岩西さん:古材は新しい材木よりもクセが強くて、当然使用する材質次第で加工方法も変えなきゃいけない。そうやって決まっていく形の方が自然だよね。

――RECLAIMED WORKS Interior and Suppliesのショールームには素敵な家具やインテリアアイテムがたくさんありますね。岩西さんが持つセンスはどう培われてきたのでしょう?

岩西さん:前職に家具を輸入する会社にいたっていうのがあるかもしれない。あと、70年代のヒッピーカルチャーに親や親戚が染まっていて、小さい頃からアメリカ文化に浸かる環境にいたのもあるね。輸入食品や古着、音楽とか。

――実際に家具を体験してみると、しっくりとくるし新鮮な印象があります。家具の設計にもなにか秘密が隠されている気がしました。

岩西さん:人って違和感があるものを見ると新鮮に感じたりするんだよね。だから素材はもちろんだけど、あえて日本人が今まで見て触れてきた規格と違うものにしている。単位も「センチではなく「インチだし、額縁の規格も「A版・B版」じゃない。

――なるほど!

岩西さん:僕らがつくる家具はオーダーメイドで、お客さんのライフスタイルを聞いたうえで、使いやすいことを第一に考えてつくってる。ショールームがあるのは、その使いやすさに説得力を持たせるため。体感してもらうことも大切だよね。

 

人間の尺度などちっぽけなもの。
神秘的な木の世界

 

岩西さん:それにしてもさ、木って本当におもしろいんだよね。すごいんだよ。

――例えば?

岩西さん:この前も古材を使ったテーブルと、人工大理石を使ったテーブルを1箇所に納品したのね。そしたら不思議なことに、いつの間にかその場にいた人たちがみんな、古材のテーブルの方に集まってきていたんだよ。

地球上で一番長生きしている生命って木だって言う人がいて、僕も確かにそう思うし、とくに日本人は木に寄り添って生きているから、DNAレベルで木の良さに対する刷り込みがされていると思うんだよね。なんで木が良いかなんて説明するのは野暮な話なんだろうなって思う。「木の文化」(1972)を書いた敬愛する小原二郎先生は、木材を「生命材料」と言ってるんだけど、惹かれる理由はここなのかもしれない。

――石より木の方に行きたくなる気持ち、すごくわかります。なぜか落ち着きますよね。

岩西さん:日本ってもともと木の文化が盛んな国でさ。木に関する本もいろいろ読んでいるけど、材木って切り出されたらそのまま朽ちていくわけじゃないんだよね。ヒノキやマツの針葉樹は200〜300年かけてどんどん強度を増していくんだよ。そのあと緩やかに下降線を下っていくんだけど、1300年くらい経って、建てた時と同じ強度に戻る。

――そう考えると、100年前の米マツの古材もまだまだこれからってことですね。

岩西さん:そう。1400年残る法隆寺もヒノキでできているけど、昔の人はよくヒノキが長持ちするってわかったんだろうか? ほんと神秘的だよね。

――時間のスケール感が人間と全然違いますよね(笑)。

岩西さん:人間のつくったシステムって、木からしてみればちっぽけなものなんだよね。木でできたものを捨ててしまうサイクルも早すぎる。

岩西さん:ちなみに新しい木って白いけど、古材って茶色いよね。

――塗料で色をだしているんでしょうか?

岩西さん:いや、実は自然と茶色くなっているんだよ。木って時間が経って古くなってくると、木の中の細胞が酸化して、茶色くなる。

一方、外で使われていた木は、茶色くなった色素が雨風で流されて灰色になる。屋外と室内で使われた木で経年劣化の仕方が違うから、色の変わり方も違う。だから外で使う家具をつくるなら外で使われた木が似合うし、中で使われた木は室内用の家具が自然と似合う。

時間や環境が織りなす色も古材の魅力のひとつだよね。

――「似合う」という感覚を大切にするって、素敵ですね!

 

根本をみつめ、社会に提案を続ける

 

――今後はどんな設計をしていきたいですか?

岩西さん:家具づくりにとどまらず、空間演出をしていきたいね。素材から提案できる空間演出をしたい。今は店舗のディスプレイ設計を中心にやっているけど、空間が良くないと何をやってもキマらないからね。そういった箱づくりからやっていきたいかな。

――DIYクリエイターとしても活躍していますよね。こちらの動きも気になります!

岩西さん:DIYはブームが過ぎて今はだいぶ落ち着いてきたよね。ブームが過ぎてもDIYをやっている人って、DIYの魅力にハマった人だと思う。だからこそ、とってつけたような安易なDIYじゃなくて、長く使うものをつくるためのDIYを提案していきたいね。

それこそ、大手飲食店でプラスチックのストローが廃止される世の中になってきているし、環境の循環作用とか、無駄をつくらないことがなぜ大切なのか? ということを伝えていくことも大切だと思う。

――お話を伺って、モノとの関わりかたを本質的に見直すことがとても大切だと思いました。ありがとうございました!

 

2人のお子さんを持つ岩西さんにとって、「布団の中で子どもと寝ている時が至福のひとときだといいます。年齢を重ね、自分のために生きるというよりも、子どものために人生を費やすことを大切にするようになったそう。そう悠然と語る岩西さんの在り方が、どことなく木の魅力に近いものを感じました!

 

【RECLAIMED WORKS Interior and Supplies 】
予約制のショールーム兼アトリエが神楽坂駅そばにございます。
◾️電話 03-5227-6055
◾️mail info@reclaimed-works.com
◾️web http://www.reclaimed-works.com/

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DIYer(s)

 

 

 

お話を聞いた人

●エイミー編集長

鈴木・栄弥(すずき えみ)。小さな頃から建築士に憧れ、建築模型つくりやチラシの間取りを見て生活を想像することが好きな暮らし妄想系女子。現在のホームテック株式会社では、2級建築士として働きながら『ライフスタイルマガジン エントリエ』の編集長を勤めている。

 

この記事を書いた人

宇治田エリ

東京都在住のフリーライター&エディター。趣味はキックボクシングと旅行。ここ数年の夢は、海外でキャンプすることと多拠点生活。毎朝ヨーグルトに蜜柑はちみつをかけて食べることが幸せ。

●編集 細野 由季恵

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