自分の内側にあるものを表現するのは、なかなか勇気がいるなぁと思う。私の場合は、言葉にせよ、絵画にせよ、“表すこと”は覚悟である。加えて、自分の内側を映し出す表現は、楽しさも苦しさもある。時に見たくない自分の一面を意識的に掘り起こして、それを無理やり外に向けて語らなければならない(これがなかなか、エネルギーを使うもので)。
それでも推敲を重ね、ようやく言葉の装いが整えばしっかりと愛着が芽生えてくる。
愛着が湧くといえば、時折、リノベーションをした家主から「自分で決めたものだから、この家はどこを切り取っても愛着がある」と話を聞くことがある。たとえ他人から見れば、不要のように映るものでも、自分で決めた以上そこには意味が宿っているのだろう。
リノベーションをしてみると、自分の生活スタイルと向き合わなければいけない瞬間が何度もある。構造としてしっかりと基礎のある家に住みたいと思うことと同じように、「どう暮らしていきたいか?」という問いに対してもしっかりとした答えを探さなくてはいけない。それは、言葉や絵画で表現することと似ていた(やっぱりエネルギーを使う作業だ)。
ただ、自己表現とは違い、リノベーションでは「どう暮らしていきたいか?」と問いかけ、推敲を重ねるように何度も何度も間取りを描いてくれる建築士さんがいる。
「それぞれにとっての『とまり木』であれ」。これは担当建築士の鈴木栄弥さんが提案してくれたコンセプトなのだけど、完成した家と同じくらい好きな言葉だ。
自分で覚悟を決めたこと、そこから選んだもの、信頼のできる人が一緒に考えてくれた時間。そうして出来上がった家だからこそ、愛着のある家になる。今回のリノベーションは、何度振り返っても豊かな時間だと思う。
【おまけ】猫の「おいどん」を探せ
今日のクイズは難易度レベル★★★☆☆
こちらは、客間。まだ何も家具は置いておらず、カーテンはとりあえずつけたニトリの商品(変える日がくるのだろうか)。
▷「家族が家族じゃなくなる家」を設計した人はこちら
鈴木 栄弥 / Suzuki Emi
2級建築士、カラーコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、ファイナンシャルプランナー
静岡県富士市出身、1990.7.27生まれ。
日本女子大学 家政学部 住居学科 卒業。…
小学生の頃から間取りやミニチュアが好きで、建築模型がつくりたい! と、建築士になることが夢に。
ビルや建物ではなく、人が住む家のことを中心に学びたいと思い、住居学科で学び、
「人が楽しく暮らす住まいをつくりたい」という思いで就職しました。
現在は、エントリエで設計営業 兼 マガジン編集長として所属。お気軽に「エイミー」と呼んでください!
わたしの手掛けるお家は、どれも決まったテイストはありません。
住まい手の体温を感じられるテイストに仕上げることが得意です!
●全国ジェルコデザインリフォームコンテスト
2024年 玄関・ホール部門 全国最優秀賞 受賞
2023年 リビングダイニング部門 全国最優秀賞 受賞
2020年 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会⾧賞 受賞
2020年 個室部門 全国優秀賞 受賞
2019年 リビングダイニング部門 全国優秀賞 受賞
●ジェルコ関東甲信越支部リフォームコンテスト
2022年 デザイン部門 キッチン賞 受賞
2021年 デザイン部門 優秀賞 受賞
2020年 デザイン部門 優秀賞 受賞
●RoomClip全国理想の住まいコンテスト
2022年 1000万円以上部門 全国最優秀賞 受賞
2021年 500万円以下部門 特別賞 受賞
2020年 500万円以下部門 全国優秀賞 受賞