大切な人や好きなこととの向き合い方を、星が静かに問いかけてくる10月。逆行する金星は、忘れていた宝物を思い出させてくれそうです。イルマーヤさんが手にしたのは、一冊の本と編み針。手芸の仲間との時間や五感をめぐる気づきから、夢中になる時間の豊かさを見つめます。
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10月の星空は、昔から好きだったことをあらためて見つめ直し、そこから自分だけの宝物を見つける地図を与えてくれそうです。
今回はわたしにとって身近で、昔から大好きな「手芸」について考えながら、自分だけの地図を辿っていきたいと思います。
手芸のコミュニティ
月に1回ずつ、編み会と手芸のコミュニティに参加しています。両方とも手芸や暮らしの情報交換をしたり、美味しいものを食べたり、おしゃべりをしたりする楽しい時間。馴染みの方々とサークルのような感じで過ごす時もあれば、初対面の方と少し緊張しながら話す場面も。なんとなくぎこちない自分が恥ずかしく、苦手に思うこともあるのですが、「手芸」という言語がスムーズに会話の流れを作ってくれるので、すぐに打ち解けることができるように思います。

手芸のちから
手芸コミュニティへの参加と、最近読んだ山崎明子さんの著作『手芸とエンパワメント 私たちが紡ぐもの』(晶文社/2026)をきっかけに、手芸についてもっと考えてみたくなりました。この本の序盤にある「誰もが手芸を語る時、記憶のなかから一つ二つの糸口を引き出す」という一文を読んで、「誰かと手芸の話をしたい」という気持ちがふくらみ、初対面の方との会話も怖がらずにできるようになりました。
手芸の本はいろいろ読んできましたが、手芸の技法についての本ではなく、過去から現在までの女性たちがどんな思いで手芸に向き合ってきたかが書かれた本に出会ったのははじめてです。全文マーカーで線を引きたくなるくらいに共感や気づきがたくさんあり、わたし自身も手芸を愛してきてよかったと思いました。
この本はジェンダーと手芸がテーマになっているので、手芸がただ楽しくて素晴らしい趣味であることだけを主張しているわけではありません。手芸とは何か?どんな存在なのか?を一緒に追求できる意味深い内容でした。

手芸で目覚める第六感
手芸の楽しみ方は人それぞれだと思いますが、わたし自身の手芸の楽しみ方もその時々で違うことに気づきました。ただ「作りたい!」という欲を満たす時もあれば、実験的にやってみたい技術を試すこともあります。もちろん、誰かのために作ることもあるし、何を作っていいのかわからなくて、手を動かせない時もあります。そんな時は、ただ糸や布を眺めているだけでも満たされます。
ふと、手芸を五感で楽しむってどんな感じだろう?という問いが思い浮かびました。糸や布の色やデザイン、パッケージも目を楽しませてくれます。竹製の編み針がカチンとあたる音や、針が布を通る音。手仕事の時間は静けさの中にも心地よい音が隠れています。柔らかい糸を手にすると、肌に触れるものを作ろうと思ったり、ふわふわしているものはつい触れたくなるし、羊やアルパカの原毛は、思わず鼻を近づけたくなります。手を動かしていると、甘いものが欲しくなったり、お気に入りの飲み物も横に置きたくなります。こうして思い返してみると、手芸をしている時間は、五感全てを使っているんですね。夢中になって手を動かしていると、余計な思考がストップし、普段は気づかないことに思いを巡らせたりすることもあります。突然ピンと閃いて、ノートに書き留めることもあります。もしかして、手芸は第六感を研ぎ澄ませる裏技なのかも。

つながって、ひろがって
『手芸とエンパワメント』の終わりの部分にはこう書かれています。「一緒に手芸をする、共にその場で語り合う。手芸をしていれば、きっと誰かとつながることができて、私たちは強く生きられる」
子どものころから大好きで、ずっと傍にあった「手芸」をこんなに素敵な文章で表現する人がいることや、この文章に共感する人たちの存在を感じ、わたしに手芸があってよかった!と心から嬉しくて、誇らしい気持ちでいっぱいです。
そして、その手芸のおかげでつながることができたご縁で楽しい時間を過ごしたり、新たな発見や世界がどんどん広がっていくように思います。ひとりの時間も、誰かと一緒に手芸をする時間も宝物です。
もうひとつ気づいたことがあります。手芸は上手か下手かといった作品の完成度や誰かの評価のためにすることではなく、ただ「夢中になる」ことに自分自身を取り戻す鍵があるのかもしれない。何にもならない時間はどこまでも自由で豊かだと思うのです。
地図を辿ってみたら、わたしに自由と喜びを与えてくれる宝物を発見しました。みなさんも、自分だけの宝物が見つかりますように。

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