愛しのものたち

ひとの手で、丁寧に、ひとつずつつくられていくものたち。工場で大量に製造されたモノにはない独特のオーラやぬくもりが、私たちの暮らしに彩りや安らぎを与えてくれます。
エントリエでは、
こだわりをもった手仕事作家さんに注目。ものづくりや作品への想いをお聴きします。

ガラス豆皿作家 / がらす制作室ヨネザワ よねよね

『何につかうの?』からはじまった、
小さなガラス豆皿

小さなガラスのお皿をつくり始めて2年。

手のひらに収まってしまうほどの小ささに、
手に取る方からは「これは、何につかうの?」とよく聞かれて、
「何でしょうかね・・・」と苦笑いで答えを濁していました。

そして、ある時から手づくり市に出店するたびに
お客さまに「どんな風に使いますか?」と聞いてみました。

箸置き、アクセサリーを入れ、エアープランツを置き、
職場のデスクのはんこ入れ、アロマデフューザーのお皿、
レンゲ置き、玄関のカギ置き。

私が思いつかないようなアイデアをたくさん頂きました。
気がつけば、お客さまのそれぞれの
お皿にまつわるお話を聞くのが私の楽しみに。

「四角じゃなくて丸かったら・・・」、
「もっと大きかったら・・・」「もっと深さがあれば・・・」

ご意見をひとつずつ取り入れ、せっせとお皿をつくっています。

つくる時は“絵を描くように”。ぽってりとした厚みや丸みがあるガラス皿の秘密


がらす制作室ヨネザワの作品は、
電気炉に入れて焼き溶かす「ガラスフュージング」という技法でつくっています。


厚さ3ミリの色つき板ガラスを模様に合わせて切って並べ、
電気炉で焼成して1枚の板状のガラスをつくり、
お皿の形に曲げるために再度、低い温度で電気炉に入れます。

そのため、吹きガラスのようにワイン瓶や徳利のように立ち上がった形はつくれませんが、
平らな状態で作業が出来るので、1枚の絵を描くようにお皿の模様を考えます。

板ガラス2枚の厚さにそろえてガラスを並べるので、
ぽってりとした厚みがあり、
色の重なりが楽しめます。

焼き溶かす前のガラスは断面が反射し合って、
これで完成にしたいと思うほど、キラキラと輝いてとても綺麗です。

「お皿の話がしたいのです。」

誰の家にも必ず一枚はお皿があると思います。

お求めやすい安価なもの、
一度使って捨ててしまうもの、
お祝いなどの記念品のもの、
販売促進のおまけのもの。

私の暮らしを見てもいろいろなお皿が混在しています。

お皿の機能やデザインにこだわりのある人、ない人。
家族構成で増えたり減ったり、お皿の素材を選んだり。
お皿を通じてその人の暮らしの楽しみ方やスタイルが見えてきます。

さほどこだわりのない暮らしの私にはそんなお話を聞くのがとても楽しいです。
私のガラスのお皿も手にした人の暮らしの、
ちょっとした楽しい小話になるようなものになればと思います。

「母がステンドグラスをやっていて子供の頃からガラスが好き」という方が、
私のお皿を手にされて「娘たちにも受け継いでいきたい」とおっしゃいました。

使い道さえわからなかった私のガラス皿が、綺麗なものを愛でる感性やものを
大事にする心が母から子へと継承される一躍を担うとしたら、それはとても光栄なことです。
ガラスのお皿をつくって、たくさんの人に手に取ってもらって、お皿の話を聞く。

私はこの仕事が好きです。
日本中、世界中の人からお皿の話をお聞きしたいと思っています。
まだまだ始まったばかりです。

● ガラス豆皿作家 / がらす制作室ヨネザワ よねよね
【Instagram】https://www.instagram.com/yoneyone1976/