愛しのものたち

ひとの手で、丁寧に、ひとつずつつくられていくものたち。工場で大量に製造されたモノにはない独特のオーラやぬくもりが、私たちの暮らしに彩りや安らぎを与えてくれます。
エントリエでは、こだわりをもった手仕事作家さんに注目。ものづくりや作品への想いをお聴きします。

ガラス作家 / FUKUSHI HARUKA GLASSWORKS

愛しい日々の風景をガラスに

白い砂のある海岸、窓からのぞいた空の色、
塗装ムラのある壁、カラータイルの並び…
身近な風景の記憶に、
はっとさせられることがよくあります。
これらの風景は、人々の生活のそばにあり、
長い年月を経てより美しく見えたりして、
時にはキッチュで愛おしく感じます。
そんな情景を思い返していてふと、
すりガラスのようにマットで
細かい泡がやわらかく光るガラスの印象と結びついた瞬間がありました。
そのあたりからずっと日常の風景や
その記憶をイメージして、ガラスで作品をつくっています。

やわらかいガラスの質感を探して

ガラスは、多彩な色数に加え、
素材の調合や仕上げによって

透明感を操ることができる点が大きな魅力です。
実はすごく時間のかかるやり方なのですが、
ぼんやりした光をため込み
少しざらついたこの質感を使い作品をつくりたい。
そう決めてからは、日々試行錯誤です。
粒や粉のガラスをそれぞれの色ごとに調合し、
まぜ合わせ、石膏などの型に詰め、
電気炉の中で熱をかけて溶かしてつくってゆきます。
ガラスが空気を混ぜ込んで溶けていくので、
柔らかく、優しい質感になります。
お菓子づくりのような、理科の実験のような感じで、
仕上がるまでいつも期待と不安でいっぱいです。
日常のそばにあるもの

昨年、カフェの窓辺に作品を
設置させていただく機会がありました。
しばらく経って、お店の関係者の方が
「作品のおかげで、あたたかさが増しています」
営業時の写真を送ってくださいました。
人のそばで作品が生きているような気持ちになって、
すごく胸が熱くなりました。
わたしがすくい上げた風景が、
別の場所になじみ、

その場の人々の体験や記憶と重なって
また繰り返す日常のいち風景になっていく、
というのが目指す理想のかたちなのかもしれない。
これからも、人々の日常に寄り添い
そっとひかりが差すような作品をつくってゆきたいです。
(写真 : いしかわみちこ)

*イベント情報

【個展「composition」2箇所巡回展】
1.茨城県
■日時 | 2019年3月21日(木/祝)-3月31日(日)  
■場所 | 笠間の家(笠間市)
2.東京都
■日時 | 2019年5月22日(水)-5月27日(月) 
■場所 | dessin(中目黒)

● ガラス作家 / FUKUSHI HARUKA GLASSWORKS

【Instagram】https://www.instagram.com/fukushiharukagw/

【HP】 https://www.fukushiharuka.com