村田 あやこ
記事を書いた人、お散歩している人
村田 あやこ / Murata Ayako
ライター
お散歩や路上園芸などのテーマを中心に、インタビュー記事やコラムを執筆。著書に『た のしい路上園芸観察』(グラフィック社)、『はみだす緑 黄昏の路上園芸』(雷鳥社)。「散歩の達人」等で連載中。お散歩ユニットSABOTENSとしても活動。
藤田 泰実
記事を書いた人、イラストを書いた人
藤田 泰実 / Fujita Yoshimi
落ちもん写真収集家
グラフィックデザイナー/イラストレーター/落ちもん写真収集家。茨城生まれ、埼玉育 育ち。多摩美術大学造形表現学部卒。フリーランスのグラフィックデザイナー・イラストレーターとして活躍しながら、路上に落ちているものから人間の背景や余韻、人間味を感じ取り、そこから妄想してタイトルをつけストーリーを作り出す「落ちもん写真収集家」として活動。落とし物は人間ドラマという発想が注目され、テレビやラジオなどにも出演。
細野 由季恵
お散歩見守り人
細野 由季恵 / Hosono Yukie
WEB編集者、ディレクター
札幌出身、東京在住。フリーランスのWEBエディター/ディレクター。エントリエでは 副編集長としてWEBマガジンをお手伝い中。好きなものは鴨せいろ。「おいどん」という猫を飼っている。

#21 明治神宮編

2023年になりました。みなさんにとって良い一年となりますように。

いつもはまちをブラブラと歩くこの企画ですが、今回の舞台は明治神宮。パワースポットとして名高い「清正井(きよまさのいど)」を訪れ、2022年を振り返りつつ、2023年の英気を養おう! というのが、今回のお散歩の目的です。そしてSABOTENSふたりの活動も振り返ってみました。のんびりお楽しみください。

深い森が広がる明治神宮

2022年11月某日。この日の集合は原宿駅。大きな鳥居をくぐって、南参道から明治神宮境内に一歩足を踏み入れると、駅前の賑わいを忘れるくらい静か。向こうの方まで木々が広がり濃い緑陰をつくりだしています。

村田:今日は明治神宮をお散歩! 木が大きいね。

細野:気持ちいいね。

村田:渋谷のすぐ近くにこんな場所があるなんて、すごいよね。

藤田:森の中にタヌキが住んでいそう。

村田:いろんな生き物がいるみたいだよね。参道を掃いて集めた落ち葉も、土をつくるために捨てないで森に戻すそうだし。

藤田:明治神宮ってなんの神様だっけ?

村田:明治天皇が祀られているよね。

細野:長寿や健康、金運アップ、縁結びのご利益があるみたい。

村田:いいね。金運アップしたい。

藤田:最近思うんだけど、神様ってキャラクター制作の原点じゃない? 後世の人に伝えるために、「この人は剛力だ」「この人はきれい」「鼻が長くて飛べる」とか、面白おかしくキャラクターを考えてつくって。

村田:「この人がこういっているから、こうしましょう」って、人の心を動かしたり。

細野:最初はどういうふうに神様をつくったんだろうね。

藤田:近所にいる「お金持ちの○○じいちゃん」とか、「ニコニコ笑う△△ばあちゃん」とかが神様になったこともあったんじゃない。

村田:ちょっとした噂がきっかけになったりしてね。

本殿へお参りを済ませ、神様の話をしながら境内を歩いていたら、神々しい根っこを発見。

藤田:見て、いい根っこ!

村田:立派! 根っこの大海原だ。すきまに別の植物も住み着いてるね。

村田:秘密のボタンを押すと、根っこロボが出動したりして。

藤田:出動!

村田:根っこ1号!

藤田:ゴゴゴ……ゴゴゴ……

終わらない猫談義

このお散歩の少し前に、猫をお迎えすることが決まったゆきえちゃん。話題は自然と「猫」へと移っていきます。

藤田:猫の名前決まった?

細野:「おいどん」に決まった。漫画家・松本 零士の『男おいどん(講談社、1971-1973)』にちなんで、「おいどん」に決まったよ。これがおいどんです。

藤田・村田:かわいいー!

細野:いつも二人の猫トークを聞いていて、いいなあと思ってたよ。

村田:ゆきえちゃんを洗脳してしまったかも……。猫って、いるだけで本当に癒されるよね。

藤田:人ひとり増えたと思ったほうがいいくらいの存在感がある。

細野:私、猫を飼うって決まったら、語尾に「ニャ」をつけたくなっちゃって。みんなも「ニャ」っていうのを我慢してたりする?

藤田:ゆきえちゃん、「ニャ」っていうのは、さすがに私たちだけにしたほうがいいよ(笑)。

細野:気をつけよう(笑)。

村田:外で散歩中に猫に出会うと、「ニャー、どうしたの、ニャー」って話しかけちゃう。猫を飼う前のゆきえちゃんから、ドン引きされてただろうなあ。

細野:かわいいんだろうなあとは思ってたけど、心からはわからなかった。

村田:私も飼う前までは、猫を飼ってる人が猫に会うと急にスイッチが入るのに、若干引き気味だったかも。

藤田:今では猫に触るとき、思いっきり這いつくばって猫に目線を目線を合わせてしまう。後ろからどう見られようと関係ない。

思い出写真:猫を愛でるふたり

藤田:猫って自由と思われがちだけどそんなことはなくて、律儀な猫もいるし、傷つきやすい猫もいるし、人間と一緒でいろんな子がいるよね。

村田:はじめての場所が得意な猫もいれば、苦手な猫もいて。

細野:今回猫を飼うことになって、いろんな人にトイレや壁紙対策について聞いているんだけど、大体みんな違うんだよね。だから、人と一緒なんだろうな、と思って。

会話の合間にも面白いものがあれば必ず立ち止まるふたり

村田:爪とぎを置いてるからって、それで済むわけじゃないもんね。猫目線で「研ぎやすそう」っていう場所で研いでる。

藤田:うちのむーちゃん(猫)は、なかなか散歩に連れていってもらえないとき、こっちを見ながら、研いでほしくない壁にガリガリ爪を立ててるの。頭いいから、絶対わかっててやってると思うよ。「お前、散歩いかないならやってやるぞ」って。

よっちゃんの愛猫、むーちゃん(左)みーちゃん(右)

村田:そうそう、そういうアピールあるよね。タヌキ(猫)も朝4時くらいに、かまってほしいのか布団のところにやってきて、近くの机の上の本とか充電器とか、全部下に落とすんだよ。すっごいうるさい。

あやちゃんの愛猫、アロエ(左)&タヌキ(右)

藤田:かしこいよねえ。

村田:起きるまでじーっとストーカーみたいに見てて。

藤田:ちゃんとわかるんだよ、人間がどうやったら困るのか、どうやったらこっちに気持ちを向けられるか。ちっこい人間だもん。

細野:楽しみだな。おいどんはどんなことするんだろう。

清正井で新年の英気を養う

2022年を振り返りながら、いざ、清正井を目指します。

清正井は、明治神宮内にある苑内(入場料有)にあるパワースポット ※撮影禁止エリアにつき、マップでお楽しみください

藤田:2022年はあっという間だったなあ。

細野:毎年速くなっていってる気がする。

村田:みんな年末まで健康でいられてよかった。

細野:2022年はどんな年だった?

藤田:激動だったな。

村田:2022年の最初は『はみだす緑』を出版するっていう一大ミッションがあったね。

刊行記念のインタビューはこちら

藤田:ヘロヘロだったね。

村田:それが終わったら本の出版記念の展示をして、よっちゃんは個展があって、4月にはSABOTENSで大学の講師をして……。ゴールデン・ウイークまで、ほぼ休みなく動き回っていたね。

藤田:6月になった途端、二人して廃人のようになったよね。なにもやる気がおきなくなっちゃった。

村田:忙しいときはアドレナリンが出てたけど、ポカっと空いちゃうと一日中YouTube見たり、漫画読んだりしてボーッとして。

藤田:最低限の仕事だけやって、あとは泥のようにぐでーっとしてたな。

村田:よっちゃんは、デザインを担当してる「エガちゃんねる」の登録者数が300万人を超えたよね。

実はよっちゃん、江頭2:50さんの「エガちゃんねる(YouTube)」のデザインを担当してる他、ポスターデザインやグッズなども制作しています!

藤田:そう! 9月にはエガフェスもあった。

村田:エガフェス、感激したな。よっちゃんがつくったグッズをみんな嬉しそうに身に着けていて、「ああ、よかったなあ」って。

細野:つくったものを人が使ってくれるって嬉しいよね。二人は、来年の楽しみな予定は決まってるの?

村田:SABOTENSでは1月末まで、各地のロフトさんでポップアップショップをやる予定。

2022年秋に札幌ロフト(札幌市中央区北5条西2丁目 エスタ6階)で行われたポップアップショップの様子

藤田:私は1月末から2週間、友だちのアーティストとギャラリーで二人展をやる予定! (記事末にて詳細発表)

村田:いいね。どういう展示をするの?

藤田:イラストレーションとか立体とか、お互い好きなものをつくるよ。ギャラリーを抑えて、入金も完了したので、やるしかない。

村田:締め切りを決めることって大事だね。後に引けない状況にする。

細野:よっちゃんは両方やってるからすごいよね。

村田:クライアントワークと自分の創作が、いい具合に混ざり合っているよね。毎年コンスタントに自分の作品を制作してアウトプットする場をつくっていて、素晴らしいね。

細野:二人は、いままでのお散歩で一番印象的だったのはどこ?

村田:どこだろう……柴崎かなあ。八百屋をやっている自転車屋の店主さんが、その場でぬか床からキュウリを出して、水道で豪快に洗って手渡してくれて。あれは強烈だったな。

思い出写真:八百屋さんでキュウリの糠漬けをいただくふたり

藤田:出会う人出会う人、みんなパワーがすごかったよね。姓名判断もしてもらって。

村田:「よく生きてたね」なんていわれて(笑)。

藤田:当たってる部分もあったから、ザワザワしたね。

思い出写真:真剣に姓名判断の結果を聞くよっちゃん

細野:よっちゃんはどう?

藤田:私は、亀有かな。思った以上に爆買いしちゃって、最後は荷物がすごいことになったよね。

思い出写真:八百屋さんで真剣に買い物をするふたり

村田:買い物魂に火がついちゃった。最初にいった洋品店では、寒かったからトレーナーを買って。

藤田:ハリーポッターのグリフィンドールのトレーナー。私はキャップを買って。

思い出写真:手に取った服がハリーポッターだったあやちゃん

村田:パジャマも買ってたよね。

藤田:あとは、赤羽(記事はこちら)。河川敷で飲んだ汁が、部族に入るときに飲まなきゃいけない汁みたいだった。

村田:おでん屋さんで、おでん割用にもらった汁ね。

思い出写真:そのときの危険な汁

藤田:いつもなにかしら事件が起こるね。

村田:ゆきえちゃんは、この取材で印象に残ってるまちはある?

細野:前々回の大井競馬場かな。電動自転車の電源をつけないまま二人がこいでたのを、たまに思い出して笑っちゃう。つらかっただろうなって。

思い出写真:自転車をこぐ二人の後ろ姿

村田:電動自転車にはじめて乗ったから、電源を入れるなんて知らなくて。

藤田:超つらかったよ。坂をこぎながら諦めかけたもん。

村田:「ゆきえちゃん、すごい脚力だな」って、それぞれ思ってたよね。

藤田:ゆきえちゃんとの年齢差って大きいんだなって痛感したよね。

村田:そしたら電源が入っていないだけだった。電源を入れた瞬間、「文明開化の音がするってこのことか!」って感激したもんね。

これまでのお散歩を振り返りながら歩き進めていったら、目的の清正井に到着しました。

※神殿内部は撮影禁止のため、「フリーフォトストック」さんより、お借りしました。

村田:あ、清正井だ! あったあった。

藤田:きれいだねえ。触ってみよう。

村田:冷たいね。

藤田:パワーをいただいた気がする。セーブポイントだ。

村田:よろしくおねがいします。

藤田:思った以上にきれいだった。

細野:こんな場所があるんだね。元気になった。

村田:よし、これで今年一年の疲れをとって、2023年の英気を養おう。

藤田:力を得た。

村田:仕事でもプライベートでも、いいご縁がありますように。

藤田:さらなる飛躍を!

お散歩後は、原宿らしく(?)パンケーキを食べました。

本日の一コマ漫画

イラスト/藤田 泰実(落ちもん写真収集家)

心に残る明治神宮の風景

村田のミカタ :「キューピーがたちが住む盆栽」
藤田のミカタ :「保護されすぎて別の何かに改造されたかのような木」

イベントのお知らせ

藤田 泰実さんの展示が開催されます。お近くの方は是非、足を運んでみてくださいね。

展示:Vivids exhibition
日程:1/31(火)〜2/12(日)
場所:BLANK 166-0002 杉並区高円寺北2丁目18−9 ベルテンポ

お知らせ  お散歩動画公開中!

SABOTENSちゃんねる」では、過去の「まちのミカタ」の取材中に撮影した動画を少しずつアップしています。ぜひご覧ください!

●取材/SABOTENS
●執筆/村田 あやこ
●編集・お散歩見守り役/細野 由季恵

SABOTENS
路上観察ユニット

SABOTENS / SABOTENS

2016年結成。「落ちもん写真収集家」の藤田 泰実(よっちゃん)と、「路上園芸学会」の村田 あやこ(あやちゃん)による路上観察ユニット。室外機やアロエ、選挙ポスターなど、組み合わせると路上あるあるな風景が作れる「家ンゲイはんこ」をはじめ、路上をテーマにしたグッズ制作や国内外での作品展を行う。会」の村田 あやこ(あやちゃん)による路上観察ユニット。室外機やアロエ、選挙ポスターなど、組み合わせると路上あるあるな風景が作れる「家ンゲイはんこ」をはじめ、路上をテーマにしたグッズ制作や国内外での作品展を行う。

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