DUCK SEIRO
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DUCK SEIRO
家に住む人
2022年、エントリエに念願のリノベーションを依頼。2023年1月に完成。 夫・長男・娘+おいどんという猫と一緒に住んでいます。好きなものは、鴨せいろ。

中古住宅を購入してから、もう少しで3年が経つ。先日、何の前触れもなく、我が家の前所有者が訪ねてきた。

突然のことで少し驚いたものの、購入時、関係者との立ち合いに何度も快く応じてくださったご主人。そのときの親切な対応をすぐに思い出し、まさかまたお会いできるなんて嬉しいです! と伝えた(本当にそう思った)。

BEFOREのリビング写真。奥さまが、裏庭に来る鳥を見るのが好きだと教えてくださった場所。

ご主人は最後の契約に立ち会えなかったことを、いつもどこかで気にされていたという。たしか家族の都合で、不動産の方を介しての場になった気が。

今は遠方に住んでいるけど、偶然こちらに来る機会があり思い切って訪ねてみた、とのこと。(家族構成を覚えていてくださって、シュークリームを人数分+1個をお土産にいただいた)

せっかくなのでリノベーション後の我が家を見てほしいと誘うと、少し遠慮されていたが、玄関に入るなり、ご主人は“わ、こんなにかっこよくなるんですね!”とすこし声のトーンを上げた。“この部屋はあまり使えなかったんですよね”、“吹き抜けも、こんなふうに変わるんだ”。わたしも一緒になって以前の間取りを思い出しながら、部屋を眺めていた。

“大切に住んでもらえていて嬉しいです”と、ご主人。

築年数が経っていても、きれいな空気を感じた以前の部屋

帰る頃にはご主人の表情も徐々に柔らかくなって、やり残していたことを完了できたというような、そんな安堵がにじんでいるように見えた。

ほんの5分くらいの出来事だったけれど、なんだかすごいことが起こった気がした。

少しだけ売却時の事情を伺っていたので、ご主人にとってのこの家がどんな意味を持っていたのだろうか。想像することしかできないけど、ここに住むまでの背景や住んでからのこと、きっとさまざまな思いがあったのだと感じる。

私も年齢を重ねても、ずっと消えない気持ちや願いがあったりする。心に引っかかっていることは、きっと済ませたほうがいい。車で帰宅するご主人を送りながら、どこかで背中を押されるような気持ちなった。


▷「家族が家族じゃなくなる家」を設計した人はこちら

鈴木 栄弥
設計営業・ウェブマガジン編集長

鈴木 栄弥 / Suzuki Emi

エイミー

2級建築士、カラーコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、ファイナンシャルプランナー

静岡県富士市出身、1990.7.27生まれ。
日本女子大学 家政学部 住居学科 卒業。

小学生の頃から間取りやミニチュアが好きで、建築模型がつくりたい! と、建築士になることが夢に。
ビルや建物ではなく、人が住む家のことを中心に学びたいと思い、住居学科で学び、
「人が楽しく暮らす住まいをつくりたい」という思いで就職しました。
現在は、エントリエで設計営業 兼 マガジン編集長として所属。お気軽に「エイミー」と呼んでください!

わたしの手掛けるお家は、どれも決まったテイストはありません。
住まい手の体温を感じられるテイストに仕上げることが得意です!

●全国ジェルコデザインリフォームコンテスト
2024年 玄関・ホール部門 全国最優秀賞 受賞
2023年 リビングダイニング部門 全国最優秀賞 受賞
2020年 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会⾧賞 受賞
2020年 個室部門 全国優秀賞 受賞
2019年 リビングダイニング部門 全国優秀賞 受賞

●ジェルコ関東甲信越支部リフォームコンテスト
2022年 デザイン部門 キッチン賞 受賞
2021年 デザイン部門 優秀賞 受賞
2020年 デザイン部門 優秀賞 受賞

●RoomClip全国理想の住まいコンテスト
2022年 1000万円以上部門 全国最優秀賞 受賞
2021年 500万円以下部門 特別賞 受賞
2020年 500万円以下部門 全国優秀賞 受賞

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