
前回、一軒の内覧だけで物件購入を決めた話を書きました。
そんなわが家ですが、もちろんすべてが理想通りだった訳ではありません。
点数をつけたら65点という所でしょうか。
まず、内覧をしたときに気になったのは、部屋の暗さと、間口の狭さでした。
(間口とは、部屋を正面から見たときの「横幅」のことです)
その時住んでいた家が明るかったこともあり、想像した以上に暗いな、というのが最初の印象でした。

そして、間口が狭く、奥に長い形状のマンション。
間取りを大きく変えると無駄なスペースや手狭なスペースが出来てしまいそうな印象でした。
この家を、どう変えられるのだろう?
改修前の間取りも少し変わっていました。
北側の洋室(1)からウォークスルークローゼットを抜け、洋室(3)まで見渡すことができます。さらに、リビングから一続きに見える玄関。


すると「ドア越しでも、この抜け感を感じられるレイアウトにしよう」。
囲われていたキッチンスペースも開放的にする事で、床面積以上に広く感じられるはず。
そんなアイデアが出てきました。
「この家を購入しても大丈夫」という確信が得られた瞬間でした。
物件の「ここがいい」を探す
物件を見たときに感じる「ここがいいな」という気持ち。
その感覚を大切にしながら、どうすればその心地よさを暮らしの中に残せるのかを考える。
これは、自分の家に限ったことではありません。
お客さま様のお住まいを設計する時も同じです。
何気ない景色や光の入り方。
間取りを考えるうえで大切な手掛かりなど、その家ならではのいいところを見つけて
どうプランに活かすかを考える作業が大切だと思っています。
図面から、見えてくること
もうひとつ、間取りを考えるにあたって内覧時に準備していたものがあります。
それは、マンションの販売図面とリフォームに関する規約です。

ホームページに掲載されている不動産図面は、実際の形状と異なる事もあります。
その点、販売図面はほぼ正確に寸法が確認できるだけでなく、
床暖房やディスポーザーなどの設備のように、間取りだけでは見えてこない情報が載っている事もあります。
こうした条件は、リノベーションで何を残し、何を変えるかを考えるうえで、大切です。
仕事でご相談をいただいたときも、まずは販売図面を穴が開く位眺めて、
「ここはこうなっているかな?」
「この場合は、このパターンか、あのパターンで作られているから変えられるかな?」
など、ご要望と照らし合わせて、当たりをつけてから、現地を見に行きます。
今回も、今の条件を把握しながら、どこをどう変えられるか、変えにくいかを、
整理した上で内覧しました。
間取り図の中で、暮らしてみる

事前に確認した図面と、内覧したときの印象。
そこで暮らす家族が、どんな風に動き、どんな時間を過ごすのかを考えてみました。
例えば、キッチン。
私より早く出る夫が朝ご飯を準備している横で、
遅く起きた私はコーヒーを入れたい。
夜ご飯を準備している所で、
飲み物やおやつを取りたい娘。
そんなとき、キッチンの中の動きが重なりすぎないか。
子どもが一人で身支度をしたり、お風呂やトイレに
怖がらずにいけるか。
子どもが見守られている、と感じるレイアウトはどんなものなのか。
実際の暮らしを思い浮かべながら、部屋の配置や収納の場所を少しづつ考えていきました。
もちろん、すべての希望を叶えられるわけではありません。
限られた面積の中で、何を優先するかを決める必要もあります。
そうやって、家族の1日を想像しながら、わが家に合った間取りを模索しました。
今ある家を、どう作り変えるか
物件を探していると、気になるところがひとつもない家に出会うのは、なかなか難しいかもしれません。
わが家も、暗さや間口の狭さなど、気になるところはいくつもありましたが、変えられることと変えにくいことを整理し、
その条件の中でどんな暮らしができるかを考えました。
物件を見たときの直感も、図面や寸法からわかる条件も、家づくりの大切な手がかりです。
その両立を手がかりに、心地よさを暮らしの中で感じられるよう、少しずつ間取りを組み立てる。
それが、わが家のリノベーションの出発点でした。
次回は、実際にどんな間取りを考え、何を優先して形にしていったのか、
図面を見ながら、もう少し具体的にお話ししたいと思います。

菅野 絵美 / Kanno Emi
三重県出身。子育て奮闘中の一児の母。名古屋の大学で建築を学んだのち、造作家具の設… 計や職人さんの手仕事に携わる会社に就職しました。 たくさんのデザイナーや設計士の方々と仕事をする中で、「お客さまの顔が直接見える仕事がしたい」「自分の手で空間をつくりたい」という思いが強くなり、リノベーション業界へ転身。 名古屋で7年、仙台で9年、東京で1年。初回のヒアリングから設計、施工管理まで一貫して携わってきました。 転職の際に大切にしていたのは、「きちんとお客さまと向き合っている会社かどうか」「新しいことにチャレンジできる環境かどうか」。 そんな思いで探していた中、エントリエと出会い、仲間に加わりました。

