#29 味噌
前日の夜に水につけておいた大豆は
水分をたっぷり吸って膨らんでいる
大きな鍋で柔らかくなるまでグツグツ煮る
途中アクをとりつつ
キッチンの片隅で本を読む
物語は老女の地味で退屈な日常をつづっている
途中何が起こるわけでもなく
飼っている老犬とひっそりと肩を寄せ合い暮らす
誰にも乱されない静かな暮らしは常に孤独の影が潜む
この世に存在している誰よりもこの老女に親近感を覚える
老女が倒れたところで豆が煮えた
煮えた豆を粗く潰し
塩と麹を混ぜて味噌玉を何個か作る
それを琺瑯のストッカーに投げ入れる
これは結構な重労働
この本の老女くらいになったら
できなくなるだろうなと思う
1年寝かしてこの味噌を食べるときには
私はこの老女に少し近づいている
mayamoon暮らしのエッセンス
「味噌のつくり方」
【材料】大豆、麹、塩
1、大豆は柔らかくなるまで煮る 急ぐときは圧力鍋が便利
2、麹と塩を混ぜておく
3、煮た大豆を潰して②に混ぜる 煮汁も少し入れる
4、ボールのように何個か丸め、保存容器に空気が入らないように入れる
5、すべて入れたら平らにして上からしっかり押さえる
6、家のいちばん涼しい場所で保管する