Tokyo Birthdays  

リクツで説明するのはむずかしい、
けれど「至福」を感じる場所と時間がある

私たちを芯からぐっと強く、
時に優しく包み込み、引きとめてくれる風景。

東京で日々生まれるエントリエ的な一瞬を
言葉と写真でお届けします。

#14 城跡ロマン

 

城跡に限らず古代遺跡なんかもぐっとくるものがあるが、今回は私の昔好きの原点とも言える八王子城跡について。
北条氏照の居城であり、豊臣秀吉の小田原征伐で、前田利家と上杉景勝の軍勢に1日で攻め落とされた山城とのこと。山城だからか、当時の石垣や珍しい石垣の階段は土に埋まり綺麗な状態で発掘され、リアルに当時の面影を伝えてくれる。
また、生活していた道具や側溝なんかもそのまま残っていたらしく、ロマンチストにはたまらない場所である。
単純に、昔の生活の様子がわかるのはすごいと思うし、スクラップアンドビルドされるのが普通の今、スクラップのまま残されていたことに非常に惹かれる。小学校の通学路は城下町だったあたりを通っていたので、途中に刀鍛冶がお侍さんに刀を作っていた跡地もあり、刀の原料にしていた鉄みたいな鉱物がたくさん落ちていて、昔の人もこれに触れていたと思うだけで熱くなっていた。
たかが430年前の出来事だけど、日本人同士が争っていたと思うと胸が締め付けられる。悲しいエピソードも語り継がれていて、自分はそれを子供達や周りの人に伝えたい。城跡はその存在だけで伝えてくれるから、自分が伝えることで少しでも多くの人に伝わることを願う。
この記事のため向かう途中に雨が降り出したが、撮影を始めたら雨が止んでくれた。ロマンチストは、そんな事にもロマンを感じるのである。

 

Ιスポットデータ
八王子城跡

■プロフィール■
文、写真 / Kosaku Nango
1979年生まれ、東京出身。現在、会社員として働くかたわらで、写真家としても活動中。