鈴木 栄弥
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鈴木 栄弥 / Suzuki Emi
設計営業・ウェブマガジン編集長
小学生の頃から間取りやミニチュアが好きで、建築模型がつくりたい! と、 建築士になることが夢に。静岡県富士市出身、1990.7.27生まれ。日本女子大学家政学部住居学科卒業。ビルや建物ではなく、人が住む家のことを中心に学びたいと思い、住居学科で学び、「人が楽しく暮らす住まいをつくりたい」という思いでホームテック株式会社に就職しました。現在は、エントリエ事業部で設計営業 兼 マガジン編集長として所属。お気軽に「エイミー」と呼んでください!私の手掛けるお家は、どれも決まったテイストはありません。住まい手の体温を感じられるテイストに仕上げることが得意です!

こんにちは。住まいを描く建築士 エイミーです! 第2回目のエガクスマイは、埼玉県にお住まいのMさまファミリー邸です。今回は、奥さまにお話を伺いました!

今回お話を伺ったMさまご家族

Mさまの家族構成:奥さま(ヒアリング)、旦那さま、娘さん(6歳)
至福のひととき:奥さま / 焼き立て食パンをちぎって食べる 、ご主人 / サッカーを観ながらうたた寝 、娘さん / お絵かきや工作に没頭

マンションの購入にあたり「失敗はできない!」と専門書を読み込んだという奥さま。そうですよね、大きな買い物です。でも、それだけ勉強して選んだ家でも、実際に暮らしていく中で、また、家族の形が変わるにつれて、不満が出てくるものです。

今回、好きなことや家族の過ごし方をヒアリングしていると、不思議と“家族がみんなで一緒に何かをしている”という風景が全然浮かんできませんでした。

そこで、『個々で自立しているということでしょうか?』と聞いてみると……

「そう! 依存し合わない、ドライなんです。家族みんな自分の時間がないとダメなんです。おでかけしても、ずっと一緒だとイライラしちゃう(笑)」と。

その言葉を聞いて、「個人の空間が必要なんだ」と理解できました。

最近の家づくりを見ていると“個室をあえてつくらない”とか“(存在を)感じられる”とか“つながる”とか“触れ合う”とか……そんなプランが多いなって思います。

たしかに、私もそのようなご要望を頂くことも多いです。でも、それがどの家族にとってもベストとは限りませんよね。別々の空間をつくるからこそ、心から安らげて、仲良くいられる家族だってある

そんなMさま邸、現在の間取りはこちらです。角部屋で全部屋がバルコニーに接しているのが特徴的。

このお家を、Mさんご家族にとって、よりよい形にするにはどんな課題があるのか一つずつポイントをみていきましょう!

ヒアリングから浮かび上がったリノベーションポイント

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  • くねくね廊下

さまざまなお家をみてきた私が、あるあるだなあと思うのが“廊下長い”問題。玄関から続く廊下は、ふたつの個室へ直接行けるように長くなっています。しかし、娘さんが思春期になったら、帰ってきてそのまま直行されて顔も合わせない、なんてなりかねない。個々で自立している家族ならなおさらかな、と。

<<POINT 1>>
個室で自分の時間は大切にしてほしい! けれど、一度はリビングを通って個室に行けるようにすることで、みんなの「ただいま」を聞ける家に。
  • 憧れたはずの対面キッチン

対面キッチンは素敵ですが、リビング入ってすぐにオープンなキッチンの内側が目に入ってしまいます。もし、物がごちゃごちゃ出ていると目立ってしまいますよね。

もうひとつ、いちいちキッチンを出て、ダイニングまで行くまでの動作が面倒くさい! その“ちょっとした”距離だけど、奥さまにとってはそんな動きの積み重ねが、不満につながっているようです。

<<POINT 2>>
すっきり物が隠せて、見せても恥ずかしくないキッチンになったらいいな。1番家にいる時間が長い、家事を担っている奥様が過ごしやすくなるように、キッチンを中心に、それぞれのスペースへ行きやすい、そんな間取りがよさそう。家事の効率もあがれば、自分の時間や家族につかる時間が増えますね。
  • 個々のスペースの取り合い

リビングダイニングには大きなテーブルがあるそうです。このダイニングテーブルの上に物は置きたくない! けれど、そこはご飯を食べる場所であり、テレビを見る場所であり、奥さまが趣味の裁縫をする場所であり、娘さんが工作や絵を描く場所であり、ご主人さまが音楽を楽しむ場所。

お誕生日会やご両親が来たときは、大きくて便利です。でも、普段はスペースの取り合いで、いちいち何かするごとに片づけたり、また物が出たりですっきりしません。そうなるとその度に、イライラしちゃったり……?

<<POINT 3>>
混在しないように、取り合いにならないように。機能別に、個々に、スペースを分けてつくってあげるに尽きます!
  • 孤立した洗面所

廊下を通った先にある洗面所。洗濯物を汚れがひどいときは手洗いしたいのにボウルが浅かったり、収納は奥行きが深くて使いにくいとのこと。

洗面所は長くいる場所ではないため、特にマンションの洗面所は、なるべく狭くコンパクトにまとまっています。一見、うまく間取りにスペースをはめ込んでいるので、ほかのスペースを増やせて良さそうですが……。実際は、浴室や洗面台、洗濯機といった3つの機能を兼揃えるため、収納量が求められます。そのため、結局ラックなどの収納を後から設置するなど余計狭く、別の部屋に収納を設けることも。

<<POINT  4>>
スペースを広くとって収納も充実した洗面所はする。でも、ただ広くして無駄なスペースになってしまわないよう、洗面所を孤立して設けるのではなく、生活の動線の中に入れてあげて、家族が使いやすくしたい。
  • 日当たり良すぎる問題

日当たりや眺望が良い場所を選んだのは良かったけれど、東南向きの角部屋で、朝早く明るくなりすぎて、洋室(3)では寝れない……(笑)。また、高層階なので、風が強すぎて外に洗濯物を干すと飛ばされてしまうこともあります。

<<POINT 5>>
採光も考えた部屋の位置、室内干しの場所、つくってみようと思います。

立地は簡単には変えることができないので、物件を選ぶときにとても大切な条件で、ぜひ重視してほしいものです。そのうえで、建物の家の特性に合わせて、部屋の間取りや中の形を変えてあげる。

住む人に合わせて形を変えることができることももちろんですが、住居の周辺環境やその家の特徴を最大限に生かせることができることも、リノベーションの魅力!

Mさまご家族が、個々のスペースを大切にしつつ、「おかえり!」が聞こえる家にするには、いったいどんな間取りができあがるのでしょうか……?

次回、[プラン編]では、間取りとお家のイメージを大公開です!

鈴木 栄弥
設計営業・ウェブマガジン編集長

鈴木 栄弥 / Suzuki Emi

エイミー

2級建築士、カラーコーディネーター、福祉住環境コーディネーター、ファイナンシャルプランナー

静岡県富士市出身、1990.7.27生まれ。
日本女子大学 家政学部 住居学科 卒業。

小学生の頃から間取りやミニチュアが好きで、建築模型がつくりたい! と、建築士になることが夢に。
ビルや建物ではなく、人が住む家のことを中心に学びたいと思い、住居学科で学び、
「人が楽しく暮らす住まいをつくりたい」という思いで就職しました。
現在は、エントリエで設計営業 兼 マガジン編集長として所属。お気軽に「エイミー」と呼んでください!

わたしの手掛けるお家は、どれも決まったテイストはありません。
住まい手の体温を感じられるテイストに仕上げることが得意です!

●全国ジェルコデザインリフォームコンテスト
2020年 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会会⾧賞 受賞
2020年 個室部門 全国優秀賞 受賞
2019年 リビングダイニング部門 全国優秀賞 受賞

●ジェルコ関東甲信越支部リフォームコンテスト
2022年 デザイン部門 キッチン賞 受賞
2021年 デザイン部門 優秀賞 受賞
2020年 デザイン部門 優秀賞 受賞

●RoomClip全国理想の住まいコンテスト
2022年 1000万円以上部門 全国最優秀賞 受賞
2021年 500万円以下部門 特別賞 受賞
2020年 500万円以下部門 全国優秀賞 受賞

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