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ひたむきな挑戦から得た、フラットでオープンな生き方 JFNラジオ「Seasoning」パーソナリティー 市川美絵さん | エイミーズトーク #32

エイミーことエントリエ編集長の鈴木栄弥(すずき・えみ)が気になる人を訪ねて、自分らしい暮らし方や生き方のヒントをいただいてしまおうというこのシリーズ。第32回目のゲストは、ラジオ番組「Seasoning -Season your life with music-」(JFN系列)のパーソナリティーであり、ミュージシャンの市川美絵(いちかわ・みえ)さんです。
(※こちらのインタビューは、3月1週目に行われたものです。エントリエでは、3月中旬以降、対面での取材を自粛しております。)

ひたむきな挑戦から得た、フラットでオープンな生き方

市川美絵(いちかわ・みえ)さん。東京生まれ。幼少期よりミュージシャンである両親の影響でさまざまな音楽に触れ、小学生の頃からステージに上がり、数多くのプロミュージシャンのレコーディングやコーラスにも参加。大学卒業後は大手企業やレコード会社などで働きながら音楽活動を続け、NHKアニメの主題歌やゲスト声優としても参加するなど多方面で活躍。現在はお昼のワイド番組、JFNラジオ「seasoning」で毎週月〜木曜日までメインパーソナリティを担当。

JFNラジオ「Seasoning」の人気パーソナリティーであり、ミュージシャンの市川美絵さんは、実はエントリエ編集部・村田あやこさんの音楽仲間。取材場所としてご協力いただいたのは、市川さん行きつけの「北出食堂」さん(東京都千代田区)。美味しいタコスのランチをいただきながら、お話を伺いました。
肩書きにとらわれず、フラットに相手に接すること。感謝を忘れず、自分の正義を疑うこと。激動の20代、過酷な仕事へひたむきに挑戦し続けた市川さんへのインタビューから、人の言葉を引き出し、人に伝えるための秘訣が見えてきました。

肩書きではなく、フラットに面白がることで
相手との距離を縮める 

――市川さんの番組「Seasoning -Season your life with music-」は、毎日パートナーの方が入れ替わり、日々個性豊かなゲストの方がいらっしゃっています。色んな方々の言葉をうまく引き出し、楽しく付き合うために心がけていることはありますか?

市川さん:ただただ、相手に興味を持つことです。人にはそれぞれ素晴らしいストーリーがあり、自分のものとは違います。

知らなかった世界や考え方を得られるのは、最高に面白いんです。最初に否定してしまうと何も入ってこないから、まずは「なんだろう? なんでだろう? どういう意味だろう?」と知ろうとする。

――先入観を持たない、ということでしょうか?

市川さん:まずは肩書きや経歴ではなく、フラットに相手を知ろうとすることを心がけています。

どんな人でも直接お会いすると自分の知らないことを知っていたり、やっていたり、「すごいなあ、面白いなあ」と思える。だから、まずは相手の話をじっくり聞き、興味を持って接すると、相手も意外と心を開いてくれます。逆に、自分が閉じていたり、恐縮しすぎたりしちゃうと、開いてもらえないことが多いですね。

――放送を聴いていると、反応の仕方やリアクションなどからお話する相手に寄り添つつも、市川さんの言葉でしっかりと伝えることは伝えていらっしゃるのが印象的です。

市川さん:以前よりそれができるようになったと感じるのは、やっと最近です。放送開始の頃は、ずっとビクビクしていましたし、しばらく経ったときに放送中に起きたとある失敗が、自分の中ではかなりショックで。改めてこの仕事の難しさや気の緩みからの後悔に、悔しくて泣いたこともありました。

でも、完璧を求めるだけでない、誠実さや思いやりを持って接する事の大切さを、日々リスナーさんから届くメッセージやスタッフの言葉に気づかされ、今では飾らない「素」の自分も自然とさらけだせるようになりました。

――オープンになったんですね。

市川さん:以前よりは(笑)。また実際、そうすることで、リスナーさんとより近づけたのではと感じています。

――いまや人気番組ですが、手探りの時期があったんですね。

市川さん:当初はもちろんそうでした。でも「明日番組が終わるかもしれない」という緊張感は常に持ちつつ、それでも、今、聴いてくれているリスナーさんに言葉で笑顔や元気を届けたい。そういう気持ちで日々放送しています。

レコード会社に芸能マネージャー
仕事に奔走した激動の20代

――ラジオパーソナリティーに就く前のお仕事について、伺えますか?

市川さん:大学卒業後はデパートに就職しましたが、家庭の事情で退職しました。その後、さまざまな仕事を経験する中でご縁があり、とある外資系レコード会社に就職。秘書業務のあと、ミュージシャンを雑誌に売り込む仕事を担当しました。

――どのようなお仕事だったんでしょうか?

市川さん:ミュージシャンごとにどの雑誌に効率的にプロモーションしていくか、売り出すためにどのような雑誌で何をアピールしていくか、日々考えて、独自にプロモーション用のチラシなどを作成し、さまざまな編集部へ毎日のように営業に回りました。

――大変そうですが、面白そうですね。

市川さん:そうですね、はじめて「仕事って面白い」と思えた時期でした。自分で何かをつくり出せて、やったらやった分、形になっていって。「人が何を求めて、何を見たいのか、聞きたいのか、どうやったら興味を持ってもらえるか」をいつも考えていました。

――その経験は、ラジオのリスナーさんにどう届けたらいいか、というところにもつながっていそうですね。その後はどんなお仕事を?

市川さん:音楽業界にとって大きく変化を求められるタイミングだったり、そして働きすぎて体調を崩したりなど、さまざまな事が重なり退職することを決意しました。その後は一年間絶対働かないぞ、無職になろうって決めたんです。

――思い切りましたね。無職の期間中は何を?

市川さん:自分で自分の可能性を殺すのはもったいないと思い、これまで絶対やらないと思っていたことに挑戦しました。例えばゴルフをやったり、行ったことのない国へ行ってみたり、お酒が飲めない体質だけどバーでバイトしてみたり。

でもそのうち「このまま、何の仕事もせずに終わるのかな」と少しずつ不安になってくるんですが(笑)。一年経った頃に、前職の上司がラジオの制作スタッフに誘ってくれたんです。ラジオの仕事なんてやったことありませんでしたが、あれよあれよと制作メンバーに任命されて。

――未経験でも、挑戦したんですね。

市川さん:そうですね。いきなり「台本は書く、取材に行く、音声を編集する、明日までに納品しなきゃ」と全てがはじめてのことだらけでしたが、なんとか教えてもらいながら毎日精一杯でした。しかも、月曜〜金曜まで毎日生放送の、帯番組! また仕事漬けの日々に戻りました。その番組を一年続けたあと、パーソナリティーをやっていた方から声をかけてもらい、彼女の所属する事務所でマネージャーをやることになりました。

――これもまたラジオとは違う世界。マネージャーではどんなお仕事を?

市川さん:曜日や時間に関係なく常に担当しているタレントさんの仕事に合わせて、そしてプライベートに関してもサポートする仕事でした。これもはじめてのことだらけでしたが、身の回りのことから、送り迎えの運転、撮影現場の立ち会い、取材を受けた内容のチェック、ECサイトの開設や商品の発送まで……何でもやりましたね。

――多種多様な業務ですね。

市川さん:とにかく毎日、いろんな種類の新しいことへの挑戦の連続でした(笑)。

最初は戸惑い、正直しんどいと思うときもありましたが、どんな仕事も経験すれば自分の糧になる、そう思いながら続けていたら、いつのまにか「どうやればうまくいくかな」と自然に考えられるようになりました。あとは、相手が何を言っても対応できるように、普段から注意して話を聞いたり、好みを覚えたり、常に必要なときにすぐに出せるようにといろんなものを持ち歩くようにしていました。

――将棋みたいに、何手か先まで読んで。

市川さん:それでも100%は当たらないんですけど。

――ひとりの人と深く関わるお仕事だと、独自の大変さがありますね。でも、どんなことにも挑戦する姿勢や経験があったからこそ、現在のパーソナリティとしての引き出しの多さにつながっているように感じます。

「株式会社市川美絵」
自分を看板に仕事する

――ひたむきに挑戦し続けることができたのは、どうしてでしょう?

市川さん:20〜30代は、とにかく自分に何の力もないからと、何かを得るためにもがいていました。レコード会社を辞めると名刺も肩書きもなくなり「市川美絵」という名前だけが残った。そうすると、はじめて会った人とお話しても「無職です」というと、そこから先になかなか繋がらないという経験をしたんです。

最初はそれが辛かったんですが、「そうか、私は何者でもないんだ。市川美絵っていう名前で興味を持ってもらえるには、どうすればいいんだろう」ということをずっと考えるようになりました。

そしてマネージャーの仕事を辞めた後、自分自身を「株式会社市川美絵」というブランドにして働くことに決めました。「今までやってきた経験や引き出しを全部使って、私自身を面白がってくれる人と仕事しよう」と思ったんです。それからは色んな意味で肩の力が抜けましたね。

――スイッチが切り替わったんですね。

市川さん:ありがたいことに、自信がないなりに経験してきたことが蓄積されて、たくさんの分野での知識や人脈も広がり、ようやく「自分自身が売り物だ」と思えるようになりました。

――そこからは何を?

市川さん:フリーになってからは、まず音楽活動に専念するようになりました。積極的に外へ出て得た出会いから、いくつかバンドを組んでやったことのないジャンルへの挑戦をしたり、さまざまな会場でライブをしたり。もともと、ミュージシャンの父が会員制のライブバーを経営していたので、それまでも仕事の合間を縫って毎週ステージに立っていたのですが、せっかくだからと、真剣に音楽に取り組むことにしたんです。

市川さん:あるときライブを聴きに来てくださったラジオ局の方が私を見て、「よく話すし音楽の知識もあってなかなか面白い」と声をかけてくださって。それが、今のラジオパーソナリティーの仕事につながったんです。

とはいえ、ラジオの制作スタッフとして働いていたことはあっても、パーソナリティーは経験としてはじめてだし、月曜日から木曜日までのお昼のワイド番組なので、大変なことはたくさんあります。できる限り続けたいですし、たくさん愛される番組になれたらと思っていますが、そんな中でもどこかで「万人に愛されるというのは難しい」という思いもあります。

――嫌われてもいい、と覚悟しているということでしょうか。

市川さん:と言うより、あまり執着しない。今はラジオの仕事をさせてもらっていますが、いつまで続くかわかりません。これがなくなったら生きていけないっていう気持ちは、なるべく持たないようにしています。そうすることで、1日1日の放送を、心を込めて大切な時間にしたい、と思えるので。

――そうやって腹をくくっていらっしゃるのは、なにかきっかけがあったんでしょうか?

市川さん:長年生きていれば、多かれ少なかれこういう気持ちになれるのかなあと思うんですが、たまたま転職毎に得た経験の多さ、一般的に大変と思われる仕事や環境にもいさせてもらったことで、そういうふうに感じるようになったのかもしれません。自分や周りの本当に大切な人たちを守るためにも、あまり何事にも固執せず、過度な期待もしない。でもその分、相手の好意や言葉に、素直に心から感謝できるようになりました。

――過酷な経験をしたら、人によっては卑屈になったり投げやりになったりしそうですが、それでも笑顔で、離れていく人は離れていい、と思えるところに強さを感じます。

市川さん:それは、ただただ、自分に自信がない、キャパがないんです。だから万人に愛されるというより、自分にとって本当に大切な人たちをまずは守りたい。守れる自分でいたい。そのためにも、常に心に余裕をもてるように、あまり執着しない方がいいと思うようになったんです。

――大切にしたいものがはっきりしているんですね。

市川さん:そうですね。自分を支えてくれる人や応援してくれる人、まわりの人たちが幸せであれば、そこからどんどんその幸せが広がって、きっと他にも繋がっていくんじゃないかなと願っています。

ミュージシャン・市川美絵
何があっても、とにかくお客様を喜ばせること

――現在も音楽活動も続けている市川さんですが、とにかくお客さまを大切にされているのが印象的です。演奏そのものはさることながら、演奏の間のMCにも手を抜かず、終演後は来場者お一人お一人に挨拶されて。ライブでお客様にどうやったら楽しんでいただけるかを、常に考えていらっしゃいますよね。

市川さん:「株式会社市川美絵」のモットーは、人を楽しませ喜ばせること。人を笑顔にして、来て良かった、会えて良かったって言ってもらいたい。だから、そのために自分が出来ることで手を抜くのがすごく嫌なんです。

尊敬する方の言葉で「演奏ができる人も歌う人もいっぱいるけど、本当に人を感動させる音楽ができる人はほとんどいない。その特殊な才能は、神様からもらった大事な宝物なんだから、精一杯、最高のものを見せるのが本物のエンターテイナーだ。人に聴かせるときに手を抜いたら、お客様にも、音楽にも失礼。」

まさに、この言葉との出会いが私の音楽人生を変えてくれました。

――音楽の話をされると、言葉に力がこもりますね。なにか影響を受けた作品はありますか?

市川さん:たくさんありますが、その一つが「ショウほど素敵な商売はない」というミュージカルです。表題曲に、大好きだったおじさんが亡くなっても笑顔でステージに立つのがショーなんだ、といった歌詞があるのですが、今まで、同じように悲しい事があったその日にステージに立たなければいけないということがあって。それでも、ステージの上やお客様の前では最高の笑顔でいること、最高のパフォーマンスをすること、それがわたしの仕事なんだ、そういう仕事なんだと。それでもたくさんの人に喜んでもらえる、楽しんでもらえる、これ以上ない本当に素晴らしい仕事なんだと、この作品に教えてもらいました。

音楽は決してお腹を満たしてくれないけれど、心を満たし、夢や希望を与えてくれるもの。だからこそ、心から喜んでもらいたい、楽しんでもらいたい。そのために、自分が出来ることは何か、みんなで出来ることは無いか、ステージでもラジオでも常に考えるようにしています。

――人に何かを届けたいと思ったとき、自分で思っているものと人に響くものとの間にズレが生じることがあります。とりわけラジオや音楽では、その反応がダイレクトに返ってくると思いますが、ズレをなくすために気をつけていることはありますか?

市川さん:祖父が亡くなる前、「感謝」と書いた自分の書を残してくれました。その「感謝」という言葉はよく心に留めています。結構、突っ走ってしまうことがあるんですけど、それでも聴いてくれる人や、周りの人たちへの感謝の気持ちを忘れなければ、素直にごめんなさいって言えるんです。

あとは、おごらないこと。「自分はすごい」と思った途端、全ての感情がおかしくなると思うんです。聴いてくれる人がいる、ありがたい、というのを忘れないでいると、そのズレはわりとすぐに感じとることができると思います。

▷お祖父様が残された書

――謙虚でいるってことですね。

市川さん:皆さん色んな環境で聴いていらっしゃって、違う人生を送ってこられているから、まずは自分の正義を疑うことは、心がけています。自分の正義と、相手の正義とは違うから、自分にとっては当たり前でも、相手にとって当たり前じゃないってことはありえます。

誰かがこういっているから、みんなやっているからっていうのを疑って、こういう意見もある、とかこういう側面もある、と客観的でありながら、素直にさまざまな意見を受け入れられるように、ということは、どんなときでも意識しています。

ときには自分の意見を言うより、相手の気持ちを想像しながらきちんと話を聞く。謙虚な気持ちでいると、その言葉の奥にあるものも感じるとれるような気がするんです。

――人に何かを届けるのは大変なことですが、その中でも流されず、大切なものを見極めているからこそ、市川さんの言葉や歌は、多くの方の心に響くのですね。

47都道府県すべて旅したというほど、旅好きの市川さん。旅を通して未知の素晴らしい場所に出会え、この国・この時代に生まれてよかったな、と感じる瞬間が、一番幸せだそうです。

▷Seasoning~season your life with music~
【Website】https://park.gsj.mobi/program/show/38286
【Twitter】https://twitter.com/jfn_seasoning

▷市川美絵
【Twitter】https://twitter.com/miememe
【note】https://note.com/mieneko

●インタビュー・文/村田 彩子
●撮影場所/北出食堂(東京都千代田区岩本町1丁目13−5)
https://www.kitadeshokudo.com/
●編集・写真/細野 由季恵

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