感じるイタリア ーロレーナ・アレッシオの世界ー

『♯10 社会と自然に溶け込む空間

“イタリアの住まい” は、私たちエントリエが住まいづくりをする上で大切にしている、「家族にとっての至福の時間」 「自分らしく生きること」と共通する想いでつくられています。それを私たちに教えてくれた、世界各地で活躍するイタリア人女性建築家である、ロレーナ・アレッシオさん。
今回は、ロレーナさんが手がけた公立図書館&美術館、市文化センターについて紹介します。
*感じるイタリア ロレーナさんとの出逢いはこちら【https://entrie.net/italy/lorena01/

 

[Public Library & Fine Arts Museum in Taichung]

プロジェクト:公立図書館&美術館 市文化センターの*EN-LIGHTING
クライアント:インターナショナル・コンペティション
年: 2013年
サイト:台中市 台湾
主任設計建築士: ロレーナ・アレッシオ
プロジェクト建築士 (アレッシオスタジオ):シルヴィオ・マルサニク
建築士 (アレッシオスタジオ):ニコラ・ロザート、キアラ・ブルザーティ、エレーナ・アッバーテ、ヴェロニカ・コンバ、ジュリア・モンディーノ、フランチェスカ・ルーポ
インターン・シップ (アレッシオスタジオ):イ・ウォンソン、ぺ・ヒュンジュン
地元建築士:半畝塘 [Ban mutang Environmental Integration Group] 台中市、台湾
循環および交通コンサルタント:デビッド・ターウェイ・プー、メガ・トランス・イン
ターナショナル・コーポレーション会長、台北、台湾
全フロア面積:62,000平方メートル

(*EN-LIGHTING は「明るくすること」で、自然光を積極的に取り入れたりすることを意味するものと思われる)

 

 

このプロジェクトは、台中市とその大都市圏の新しい文化センターの、強力なアイデンティティーを定義付けする狙いがある。
敷地は、景観に溶け込んで都市エリアと対話する建築デザインで、出来上がっている。そこは、文化、感動の場所であり、精神の成長のための土台となる。

公立図書館と美術館の間にある共通エリアは、文化の中心になっている。そこには、新たな緑地、人工池がいくつか配置され、公園の上からの眺めもよく、市内が見渡せる。
私たちはこの場所を、進歩、学習、思索、アイデアの共有のための場として、*LANTERN環境[LANTERNは明かりを灯して道を照らす役割のもの]と呼ぶことにする。


何層ものスライドが文化の核である書物と芸術作品を包囲している。閲覧エリアと美術館の通路は、空間と光を体験する環境になっている。このプロジェクトが重点に置いていることの一つは、公園と都市をつなぐことである。この二つ (公園と都市) は異なったレベルで、視覚的および物理的な繋がりを定義付ける新たな景観のおかげで、周囲の環境に溶け込んでいる。屋外彫刻ガーデン、一続きの人工池と緑地帯が、波の出るプール (傑作映画 ‘ライフ・オブ・パイ / 虎と漂流した227 日’ を作る際に利用された) に隣接している。

視覚的および物理的繋がりを目指した通路は、市内と、公園、そしてレストラン、会議室、展示場のある、新しいエリアとつながっている。
上の階に上ると、公園とプロジェクト全体に広がる息を呑むような光景が目に入る。これら全空間は、公共のものであり、インドアおよびアウトドア広場として、社会関連のものに対して開かれている。

 

社会的・経済的な環境の維持

 

 

訳:穴沢ジョージ

■Profile
Lorena Alessio (ロレーナ・アレッシオ)

創設者・建築家
プラット・インスティテュート修士号
日本大学博士号

1994年〜1998年の間、日本大学理工学部大学院博士後期課程建築専攻に在籍。現在は、母校であるイタリア・トリノ工科大学の建築・都市デザイン学部の准教授として教育に携わると同時に、トリノで建築・都市デザイン事務所を共同主宰。
トリノ工科大学での国際的な建築デザインワークショップの企画や運営、様々な地域で行なわれるワークショップなどへも積極的に参加し豊富な経験を持つ。日本、韓国、台湾、アメリカなどでシンポジウム、講演、国際ワークショップ、展覧会も積極的に行っている。また、日本の現代建築を世界に紹介する著作も多数。
日本が好きで、とても気さくな笑顔の絶えない方です。