家庭菜園や手作りの食べもの、大好きなお茶、キッチンアイテム……豊かなライフスタイルがテーブル周りを彩るmayamoonさんのコラム。ありのままに生き、暮らす喜びのエッセンスをほんのりおすそ分け。

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#26 骨董市

あなたがくれた髪飾りをするには
少し年をとりすぎた
それはピンクの珊瑚でできていて
冬の日の骨董市で買ってくれた
古い木箱の奥底で輝きを失っていた髪飾りは
あなたのシャツで拭くと驚くほど綺麗になった

外の空気は冷たいけれど
あなたの隣にいるだけで満たされて
何も怖いものはないような気分になった
時々指に触れてその冷たさを分かち合った

ずっと昔の物たちを眺め歩き
それを使っていた人々の暮らしを想像する
大切な人に送った物がどれほどあるのだろう
さびた栓抜き、着物、古い地図、琺瑯のタッパー、懐中時計
私たちがいなくなっても未来の誰かがこれを手にするのか
思いを馳せながら少しずつ大きくなっている木蓮のつぼみを見た

あなたは寂しいときだけ寄ってきて突然いなくなる
ようやく不在に慣れた頃
また現れて私の心をかき乱す

箱の中にしまわれた髪飾りはあなたの帰りを待っている

mayamoon暮らしのエッセンス
「骨董市の楽しみ」

古道具が豊富に揃う骨董市は週末に神社や公園で開催されている
掘り出し物を探すには朝早い時間にいくのがおすすめ
気に入ったものは、あとで見にいくと売れてしまっていることも
ここだけでしか出会えない物との出会い、店主とのやり取りも楽しい

■mayamoon
【Instagram】https://www.instagram.com/mayamoon0000/

学生時代に国際文化を学び、バックパッカーとして東南アジアを旅する。商社で働きながら子育てしていた最中、東日本大震災を経験。食の安全、暮らしのあり方について勉強をはじめる。家庭菜園や保存食づくりなど、昔ながらの手仕事で感じることを大事に暮らす。2019年「日々の芽」を立ち上げる。日々の小さな喜びの芽を育てる暮らしを発信するコラム連載や手仕事のワークショップ開催予定。