感じるイタリアーロレーナ・アレッシオの世界ー

『♯2 Amy’s talk イタリアのエントリアン編』

今回の『感じるイタリア』は、エイミーことエントリエ編集長の鈴木 栄弥が、先日来日されたロレーナ・アレッシオさんに、イタリアと日本のライフスタイルについて伺った様子をご紹介します。

*感じるイタリア ロレーナさんとの出逢いはこちら【https://entrie.net/italy/lorena01/
*Amy’s talk 連載はこちら【https://entrie.net/category/amy/

 

遠くて近い日本を通じて、
イタリア文化を想う

イタリアのライフスタイルについて教えてください!

ロレーナさん:ライフスタイルはイタリアにおいても昔と今では変わりました。例えば私は、お昼も夜も家族揃ってテーブルを囲む家庭環境で育った世代ですが、今でもそのようにしている家庭はイタリア国内でも、なかなかないでしょう。
イタリアのマンマ(母親)と言えば、子どもたちの世話を献身的にすることで有名です。私の母も、私が学校の用事で遅くなっても、必ず何かしらご飯を作ってくれましたし、お昼もいつも一緒にいてくれました。
全ての家事をしっかりとこなしてくれるイタリアのマンマは、家族にとってなくてはならない存在です。お料理の仕方も家の手入れの仕方も、すべてマンマから学びます。

その点は、日本も同じですね。

ロレーナさん:私の母は家の手入れに余念がありませんでしたし、アイロンがけともなれば、タオルに至るまでしっかりしていました。そんな家庭で育った私ですので、イギリスに留学をしたときには、あまりの几帳面さで、ホストファミリーに驚かれました。洋服ダンスにお洋服をしまうにも、まず薄紙を敷いて、その上にお洋服を置いて、上にも薄紙をかぶせるようにしていましたから。
何から何まで、とてもきれいに完璧にするのです。
そうした「美」の哲学は、生活の中でマンマから学ぶものなのかなと思いますね。

▲日本の主婦目線でつくられたショールームを体感していただきました


マンマと過ごしたそうした時間は、現在の設計にも通じていたり?

ロレーナさん:家を設計するときにも、母や祖母からの学びが生きています。祖母の家にも、遊びに行く度に、物事はきちんと、きれいにするものよ、と教わっていた記憶があります。当然、私自身若い頃は、それがこんなに今にまで生きる教えになるとは思ってもいませんでしたけれどね。

他にも、設計する上で大切にしていることはありますか。

ロレーナさん:何かを設計するときには、そこに込めたストーリーがしっかりと語れるようなものにすると良いものができますね。しっかりとしたアイディアがあれば、それを突き詰めていくことで何かのストーリーが自ずとできます。そのストーリーを軸に、一貫性、論理性を持ったデザインをすることができれば、それが空間ににじみ出てくるはずです。

▲ロレーナさん設計のトリノにあるお家


それは私たちエントリエが大切にしていることでもあります!家族との関係性や考え方など、日本に近いところを感じますね。

ロレーナさん:日本は大好きな国ですし、たくさんのことを教えていただいた国でもあります。母や祖母が子どもの頃から教えてくれていた生活の知恵と通じる部分を、日本に来て改めて感じることも多くありました。イタリアの文化の意味を、日本という国に来て改めて教えてもらった気もしています。
また日本は大変豊かな歴史を通して、非常に洗練された美を作り上げて来た国でもあります。美を探求する国であるという点は、イタリアと日本の共通項だと思いますね。遠く離れた国でありながら、近い国だと思いますよ。

▲通訳さんを通してですが、終始笑顔で気さくに答えてくださいました


■Profile

Lorena Alessio (ロレーナ・アレッシオ)

創設者・建築家
プラット・インスティテュート修士号
日本大学博士号

1994年〜1998年の間、日本大学理工学部大学院博士後期課程建築専攻に在籍。現在は、母校であるイタリア・トリノ工科大学の建築・都市デザイン学部の准教授として教育に携わると同時に、トリノで建築・都市デザイン事務所を共同主宰。
トリノ工科大学での国際的な建築デザインワークショップの企画や運営、様々な地域で行なわれるワークショップなどへも積極的に参加し豊富な経験を持つ。日本、韓国、台湾、アメリカなどでシンポジウム、講演、国際ワークショップ、展覧会も積極的に行っている。また、日本の現代建築を世界に紹介する著作も多数。
日本が好きで、とても気さくな笑顔の絶えない方です。