古くなった住まいを新しくする <Re>だけでなく、住まいを通して、ご家族の「こうありたい <Be>」という願いまで実現したい……そんなエントリエのコンセプトに共感してくれた、ファッションデザイナーKODAI YASUNOさんによる連載。愛着のある洋服を染色することで、新たな命を吹き込み、クローゼットの中に眠っていた相棒を再びあなたのお気に入りの一着に。そんな一人ひとりの物語を紹介していただきます。

KODAI YASUNOとは
安野 広大(やすの・こうだい)さんが立ち上げた染色とシルバーアクセサリーのオーダーを受けるアパレルブランド。専門学校でデザインとファッションビジネスを学んだ後、WEBマーケティング会社での勤務を経て、アパレルショップ店長へ転身。2019年より自身のブランドをスタート。

#07 押し入れに眠り続ける「大好きだったTシャツ」

今回のお客さまは普段からおしゃれが大好きな女性の方です。古着屋さんで働いていた経験があり、オーダーのロングスリーブTシャツも職場である古着屋さんで出会ったものだといいます。

デザインが気に入り、たくさん着ていたそうですが、着ていくうちに黄ばみが出てきたとのこと。白Tシャツは特に黄ばみが目立つので気になりますよね。自然と着る回数も減っていき押し入れの中にしまったままになっていましたが、捨てるに捨てられず……。

そんなお気に入りのTシャツを「デザインを活かしつつ、黄ばみを隠すように染め変えて欲しい」というご依頼でした。

“トレンドと個性、2つの染色法で表現”

普段からオシャレに気を使っているというお客さま。彼女のファッションを参考にする方も多いといいます。そこでトレンドの「タイダイ染め」と、個性を表現する「ろうけつ染め」の2つの染色方法をミックスさせることを思いつきました。

タイダイ染めとは、Tie(縛る)Dye(染める)という意味で、紐や輪ゴムなどさまざまな道具・縛り方で柄をつくる染色法のこと。道具や縛り方で無数のパターンを生み出すことができます。渦巻き柄で複数の色で染められたタイダイ染めは、見たことがある方も多いのではないでしょうか。

ろうけつ染めはロウを使って一部分を防染する染色方法のこと。日本では着物の染色などに使われることが多いです。ロウが塗られたところは色が入らないため、ロウを塗ることで柄をつくることができます。ロウの種類で質感が大きく異なるのも特徴的です。

今回のロングスリーブTシャツは、デザインがストリート感を彷彿とさせるものだったので、そのストリート感も残しつつアシンメトリーに染め変えをおこない、世界にひとつだけの特別な一着に仕上げました。

“「思い」がつまった服が、息を吹き返す”

▷お客さまの声「着たくても黄ばみのせいで着れなかったお気に入り。デザインを活かして、またお気に入りの一着へと仕上げてくれました。ありがとうございます!」

楽しいときも悲しいときも常に一緒にいるのが服です。 服は、家族や友人のようなものだと僕は思います。 けれど体型や趣味・思考、黄ばみなどの視覚的な変化によって押し入れ行きとなり、疎遠の関係になってしまうことがあります。

捨てることで縁を切ってしまう人も多いのが現実です。

服づくりにはたくさんの方がかかわり、たくさんの作り手の思いがこもっています。 何度も袖を通すことで服を着る方の、そのまわりの方々の思いも服にこめられていきます。

思いがつまった服を眠らせる・捨ててしまうことは悲しいことです。 そんな悲しい結末にならないよう、僕が「染め変え」によって命を吹き込み、再びお気に入りの一着へと変化させます。

押し入れに眠っている服がありましたら、ぜひご相談ください。

● KODAI YASUNO

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